丸山 哲生 院長の独自取材記事
丸山医院
(藤沢市/辻堂駅)
最終更新日:2025/03/24

住みたい街として人気の湘南・辻堂。映画館を併設したしゃれたショッピングモールに真新しいマンション群が立ち並ぶ駅北口から徒歩15分の住宅街に、内科・小児科を掲げる「丸山医院」はある。1969年に夜間治療院として開業し、現院長の丸山哲生先生が2009年に先代院長の父から継承。長年にわたって親しまれる、まさに地域密着型のクリニックだが、それだけではない。超音波診断装置にホルター心電図解析器つきの心電図計など、院内に配備された機器は多くが新型のもの。取材中、それらの間を飛び回りながら、丸山院長は丁寧に用途と機能を説明してくれた。「検査から結果のお知らせまで、基本、院内で完結するシステムをめざしました」。すべては患者の安心のためだと語る丸山院長に、地域密着型クリニックの理想型について話してもらった。
(取材日2025年2月17日)
かかりつけ医として、できるだけ精密な診断と治療を
先生はもともと辻堂のご出身ですか?

生まれは東京です。父がもともと北千住で開業していて、僕は新宿赤十字病院で生まれました。小学生までは自宅兼診療所で、父が仕事をしているところにランドセルを背負って帰っていました。医師としては僕で3代目になります。それだけでなく、祖父が9人きょうだいで、うち7人が医師になっていて、それぞれの子どもがまた医師になり、正月の親族の集いは医師だらけでした。そういう環境で育ったので、僕も自然と医師をめざしましたね。面白いのは、北千住で開業していた後に、父は生命保険会社に就職したんですよ。それで、仕事終わりの夕方以降に診察するために、辻堂のこの拠点を開いたんです。もともと会社の経営者と知己だったそうで、それもあって非常に珍しい働き方ができていたのでしょうね。
その頃、先生はおいくつでした?
10歳ぐらいですね。家族で辻堂に引っ越してきて、朝は出勤する父を見送って、夕方学校から帰ってくると、毎日患者さんが30人ぐらい来られていて、帰宅した父が診察しているという状況でした。普通に日中働いて、夕方から患者さんを診るなんて、相当タフだったんでしょう。特に今、自分が医師になってから考えると、到底自分ではそんなことはできないと思います。その後、父は昼間も診察するようになり、40年以上、この場所で患者さんと向き合ってきましたね。家族3代で来ていただいている患者さんもいらっしゃいますし、そういう意味ではよくある「昔からある町のお医者さん」だと思っています。
いわゆる「町のお医者さん」にしては、検査機器の充実ぶりがすごいですよね。

せっかく開業医として地域の皆さんに来院いただくわけですから、できる限り精密な診断を下し、より良い治療を選びたいと考えているんです。そのために、新しい機器をそろえることにはこだわりました。例えば、保護者の方と話していると、皆さん病気の名前を具体的にお知りになりたいんですね。一見「風邪」と診断できても、そうじゃないケースがあるし、肺炎につながったり、重病が隠れていたりする可能性も否めません。だからできる限り検査は入念に行って、適切な診断を下したい。迅速な検査結果は、患者さんやご家族の安心や治療のモチベーションにもつながると考えています。おかげさまで地域に密着して、地元の皆さんに来院いただけていますが、だからこそ日常の診察をきちんと行っていくことが信用につながると考えています。
日々の積み重ねが患者の信頼と医師のスキルを上げる
そうした診療体制を確立されたきっかけは何かありますか?

まずは医師になったばかりの頃の恩師ですね。学生時代は「医師のスタンス」なんてよくわかっていなかったんです。それが、新米医師だった僕の指導を担当してくれた先生から、非常に厳しく真摯にたたき込まれました。医師ってよく「いい生活をして社会からあがめられている」みたいなイメージがありますが、現実はそんなに気楽なものではありません。人に対して細かく気配りをし、きちんと仕事を積み重ね、失敗は許されない。われわれのような町のクリニックでも、うっかり何かを見落とすと患者さんの命に関わることだってないわけではない。常に緊張感を持ち、免許を得たからといってそれは終わりではなくスタートなんだと。ずっと勉強も欠かさず新たな情報を得ていかないと、置いてけぼりになると。本当に口酸っぱく指導されたんです。しかも、実際に先生方もそれを実践されていました。
何か一つのきっかけというより、積み重ねの中で培ってこられたのですね。
実際、自分が医師になってみると、命に関わる仕事だと身にしみて感じました。大学病院に勤めていた時もそうですし、こうした町のクリニックに来る患者さんの場合は特に「自分が重病だ」という認識を持たれている方はほとんどいません。だからこそ、そこに何かしら重大な病気が隠れていると大変なんですよ。初動の失敗は大事故につながります。なので、検査の体制を整えて、とにかくきちんとした仕事を続けていくことを肝に銘じています。クリニックの看板を掲げて明日も開業していくには、そのぐらいの緊張感を持ってやらないといけないという、その思いだけです。特に自宅兼用で開業している場合は、「患者さん=ご近所さん」です。ごみの当番でご一緒したり、ショッピングモールで顔を合わせたりする方の命を預かることになりますから。
先生がこちらを継がれたのは2009年ですよね。それはどのようなタイミングだったのですか?

大学卒業後は8年ほど大学病院にて、糖尿病の病棟勤務や築地にある国立がんセンター中央病院で習得した内視鏡検査を担当させてもらいました。それから100〜200床の規模の小さめの総合病院に勤務したのですが、その病院には内科の常勤医師が3~4人しかおらず、外来も病棟もすべて診察していましたね。そこでは糖尿病の患者さんも多く、糖尿病専門の外来も担当しました。専門性を追究するのもよかったのですが、いろいろな分野の診察ができるようになりたかったんです。その最たるものが町のクリニックなんですよね。一つのことを詳しくというより、総合的にいろいろな病気を診る必要がある。大学病院である程度の専門性を習得し、小規模の病院でいろいろな患者さんを診ることができて、それらが間違いなく今に役に立っていると思います。そして、継承時にクリニックを改装し、検査機器の充実を図りました。
スタッフ一丸となって通いやすく治しやすい環境を提供
近年特に生活習慣病の治療に力を入れていると伺いました

2024年6月より、高血圧・糖尿病・脂質異常症に関わる「特定疾患療養管理料」が廃止になり、「生活習慣病管理料」へと移行しました。これは患者さんにとっては治療方針の大きな変更ともなりました。患者さん一人ひとりに合わせた療養計画を立て、病状の変化に合わせた、より専門的で総合的な治療管理を行うことになったんです。具体的には、体重やBMI、腹囲測定や、食事の内容、運動の頻度、喫煙、飲酒量などのヒアリングも含まれます。それらを踏まえて治療計画を立て、実践していくのですが、当院では、より患者さんにモチベーション高く治療を進めてもらえるよう工夫をしています。
例えば、どのようなかたちで実践されているのですか?
患者さんにとって、医師にご自身の生活習慣をあれこれ聞かれるのは結構なストレスだと思うんです。そうした精神的負担を軽減できるよう、当院では電子問診システムと看護師による予診を活用しています。電子問診票なら書き込むだけですし、年配の方やデジタルが苦手な患者さんは別室で看護師がお話を伺うようにしています。その後、医師が診察して、生活習慣の改善に関してアドバイスする際もひと工夫しています。患者さんごとに特に重視すべきポイントを抽出するんです。生活習慣病は長く付き合っていくことになるものです。重要な点に絞ってお話ししたほうが患者さんに響きますし、制度が改訂されてから血圧や脂質コントロールの数値が、改善傾向にあると感じます。また、院内検査も充実を図り、迅速に結果をお知らせできることも、患者さんの治療へのモチベーション向上に寄与していると思います。
では、地元の皆さんにメッセージをお願いします。

この地域は医療機関も非常に多いですし、優秀な先生方も大勢いらっしゃいます。そんな中でも丸山医院は、患者さんに決して上から目線で接することなく、適切な診察を提供していきたいと思っています。症状を詳しく説明してほしいといったご希望にもお応えします。何か気になることがありましたら、お気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック