後藤 秀人 院長の独自取材記事
後藤内科医院
(藤沢市/藤沢本町駅)
最終更新日:2024/10/11

「後藤内科医院」は、小田急江ノ島線・藤沢本町駅より歩いて8分ほどの国道467号沿いにある。隣には調剤薬局、近隣には地域の基幹病院である藤沢市民病院があり、医療体制の整ったエリアだ。1944年に開業した同院の3代目院長となる後藤秀人先生は、日本呼吸器学会呼吸器専門医の資格を持つ呼吸器内科のエキスパートとして長らく大学病院をはじめ横浜市の基幹病院で活躍した後、2018年に前院長である父から医院を継承した。「新型コロナウイルス感染症流行の際にも積極的に発熱者専用の外来を行ってきました。通常の外来と動線を分け、十分な感染対策のもと診療しているので、安心して受診してください」と語る後藤院長に、同院の特徴や診療の際に心がけること、今後の展望など、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2024年5月15日)
歴史ある医院で内科・呼吸器内科・アレルギー科を診療
たいへん長い歴史があるそうですね。

私の祖父である後藤昌人先生が1944年に開業、1982年に父・後藤隆人先生が継承した医院を、2018年4月にさらに私が継承し、おかげさまで80周年を迎えました。地域に根差した医院として、長く通い続けてくださっている患者さんや家族ぐるみでご来院いただいている患者さんも多くいらっしゃいます。内科ですが小学生以上の患者さんは診ていますので、ご家族での受診も歓迎です。患者さん同士や患者さんとスタッフは長年のお付き合いになるので、まさに気心が知れた関係というのでしょうか。以前勤務してきた大学病院にはなかった患者さんとの距離の近さを心地良く感じています。
後藤院長の専門は呼吸器内科と伺いました。
はい。気管支や肺に関わる疾患を長く専門に診てきました。こちらでは風邪をはじめ、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の診断・治療、生活習慣病の管理などを行う一般内科と並行して、呼吸器内科の専門的な診療も行っています。呼吸器内科の受診で一番多いのは、長く続く咳です。咳といえば感染症やアレルギーなどによるものが多いのですが、肺の病気以外にも、鼻や心臓の病気が原因の咳、胃食道逆流症や薬剤による咳など多岐にわたります。たかが咳と侮ることなく、速やかに原因を突き止めて治療することが大切です。「咳で困ったら後藤内科医院に行けば何とかしてもらえる」と言っていただける医院をめざしています。なかなか治らない咳などでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
咳の診断はどのように行うのでしょうか?

咳の診断で重要なのは、問診と聴診です。まずは問診で「いつから出ているのか?」「どんな咳なのか?」「一日のうちどの時間帯によく出るのか?」などを伺い、その性質を突き止めます。同じ咳でも痰が絡んだ咳と乾いた咳、あるいは昼間の咳と夜中から明け方にかけての咳では原因が異なるからです。さらに家族歴や生活環境なども伺って、アレルギーの可能性が疑われるかどうかを判断します。その上で、実際に聴診器を当てて胸と首の音を聞きます。喘息の場合、来院される日中には症状が落ち着いていることが多いので、初回の外来で見分けるのは難しいこともあります。また、咳に加え、坂道などで息切れを感じる喫煙歴のある方は慢性閉塞性肺疾患(COPD)が原因の可能性がありますので、注意が必要です。
発熱者専用の外来設置で、呼吸器系の感染リスク低減を
呼吸器疾患の診断は、とても繊細で難しいものなのですね。

そうですね。私の場合、約20年専門で診療してきた経験から見極められるところもあると感じています。さらに、当院では胸部のエックス線などの基本的な検査に加え、必要に応じて呼吸機能検査や呼気NO測定、喀痰培養・細胞診の検査、血液検査などの専門的な検査も行い、精密に診断し治療につなげています。現在でも国内で年間1万人以上の新規感染者がいる結核についても、多くは痰の培養検査とエックス線検査で診断可能です。より高度な医療が必要な場合には、速やかに藤沢市民病院や湘南藤沢徳洲会病院をはじめとした地域の基幹病院へ紹介いたします。
発熱者専用の外来も設けていらっしゃいますね。
2009年に新型インフルエンザが広がったタイミングで、当時院長であった父が新設しました。通常の出入り口とは別に入り口を設け、待合室も診察スペースも別にすることで完全に動線を分けた、十分な換気が取れる環境です。とはいえ、今回感染が拡大している新型コロナウイルス感染症は無症状でも感染している可能性があり、症状で患者さんを完全に分けることが難しいもの。そのため通常の診療室にもHEPAフィルターつきのクリーンパネルを設置するなど、必要な感染症予防策を講じて診療しています。呼吸器の病気を専門にしている当院だからこそ、より徹底した感染対策が必要ですので、しっかり実践しています。
アレルギー疾患の患者さんへの診療について教えてください。

呼吸器の病気である咳喘息・気管支喘息に加え、アレルギー性鼻炎、じんましんなどを診療しています。アレルギー体質や原因検索のため、採血による検査も行っています。ただし検査結果ですべてを診断できるとも限らず、その解釈には注意が必要です。また、食べ物や薬、ハチなどから、かつてアナフィラキシーを起こした方に、出現時の対処法の説明やアドレナリン自己注射薬の処方を行っていますので、ご相談ください。
診療にあたり、心がけていらっしゃることはありますか?
常に初診の気持ちで患者さんと向き合い、些細な症状も見逃さないことを心がけています。またしっかりと検査を行い、適切な診断をすることと疾患や治療についてのわかりやすい説明を心がけています。現在、さまざまな医療に関する情報はテレビやインターネットにあふれていますが、有益な情報だけでなく、誤解を招きやすい誇張した表現も含まれています。例えば、加熱式タバコは紙巻きタバコに比べて有害成分を90%低減しているといわれますが、有害なものが体に入ってくることに変わりはありません。また、加熱式タバコには紙巻きタバコにはない有害成分も確認されています。そのような情報もわかりやすく患者さんにお伝えするようにしています。
「かかりつけ医」と二人三脚で免疫力アップをめざして
院長が医師を志したのは、やはりご家族の影響でしょうか?

ここで生まれて、ずっと祖父と父の背中を見て育ちましたから、医師を志したのは自然な流れだったように思います。それとともに、祖父の闘病を見守った経験も大きかったと思います。80歳まで現役で診療を続け、山登りやマラソン、囲碁、バイオリンなど多趣味でアクティブだった祖父が、突然大きな病気に罹患し、家族で支えた経験です。その時に「まさか!」とショックを受けると同時に、病気には予防していても避けられないものがあり、患者さんが悪いわけではないこと、大切なのは発症後の生活をどう支えるかであることなどを実感しました。あの時の経験があるからこそ、医師としてだけでなく、患者さんやご家族の立場に立って診療できると思っています。
今後の展望について教えていただけますか?
開院80周年を迎え、身の引き締まる思いでいます。地域に支えられ今があるからこそ、地域の一員として「かかりつけ医」としての役割を引き続き担っていきたいと考えています。病気のコントロールはもちろん、新型コロナウイルス感染症の流行を経て、私自身を含め、患者さん一人ひとりの健康管理の重要性を再認識しました。バランスの取れた食事や適度な運動、適切な睡眠時間などの規則正しい生活習慣とワクチン接種などの感染症対策、さらに気になる自覚症状がある場合の早期受診など、健康に向けた助言をこれからもかかりつけ医として続けていきたいです。禁煙など生活習慣の改善に取り組みたい方やワクチン接種などで感染症予防をしたい方、また、いつもと違う症状が見られる方は、ぜひ受診してください。私たちかかりつけ医と二人三脚で、健康をめざしていきましょう。
最後に、読者に一言メッセージをお願いします。

祖父が始め、父が継続してきた、地域に根差した医療とともに、大学病院や基幹病院で培った呼吸器専門医としての診療を、今後も大切に続けていきたいです。当院のような地域のかかりつけ医は、皆さんにとっていわば「医療の入り口」として、広い医療の世界の道案内の役割を果たすべきものと考えています。「どの診療科を受診すべきか迷う」、「受診すべきかどうか判断がつかない」などといったケースも、気軽にご相談いただきたいです。かかりつけ医として、当院をぜひご活用ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは一般健康診断(雇用時・定期)1万円前後、肺炎球菌ワクチン(3種類)8000円〜1万1500円、インフルエンザワクチン3600円、RSウイルスワクチン2万5000円、帯状疱疹ワクチン2万1000円×2回