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蔵並 貴子 院長の独自取材記事

蔵並眼科医院

(鎌倉市/鎌倉駅)

最終更新日:2019/08/28

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鎌倉駅前から徒歩3分。落ち着いた風情の住宅地に現れる、チューダー調の建物が「蔵並眼科医院」だ。外壁を上下に連なるブラウンの付け柱や温かみのある煉瓦壁がとても印象的。眼科としては広々としたスペースに、待合室や検査・診察室、手術室がゆとりをもって配置されている。院長自身の子育て経験から、母親目線での対応は患者に安心感を与えるだろう。そんな院長に、鎌倉の地に対する思いをはじめ、地域の子どもや高齢者に寄り添う真摯な診療姿勢などについて話を聞いた。
(取材日2016年1月7日)

暖簾を守る心持ちで開院、父の外科から眼科医院へ

蔵並というのは、珍しいお名前ですね。

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鎌倉に代々続いた大工の家系で、寺社の建築や普請をする宮大工でした。古くは安土桃山時代に神社の宝殿造営に関わった記録が残っています。その家業は本家が長谷で継ぎ十数代続きましたが、後継者が二代続いて早世し、私が中学生の時、途絶えてしまいました。三男だった父は既に外科の医師として小町で開業しており、代々続いた暖簾を、業種を変えて引き継いだような形となりました。その外科医院を、今度は私が眼科として継ぎました。

医師になられたのも、お父さまの医院を継ぐお気持ちからですか?

職住接近で外科の医師として身を賭している父にならい、自ずと医療を志し、純粋に興味を持った眼科を選びました。年代も男女も問わず患者さんが数多くいらっしゃいますし、内科的・外科的両方のアプローチができるのが眼科の魅力ですね。全身的なこととも関わりが深く、QOLという生活の質に関わる感覚器ということで、専門性も高くやりがいを感じました。また勤務医と開業医、どちらを選ぶことも可能で、将来の選択肢も広いように感じました。

開業されるまでは、どのような経緯だったのですか?

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東京女子医科大学を卒業後、本院の医局に在籍し大学病院や関連病院に勤務しました。心臓病、糖尿病、自己免疫疾患など重篤な内科疾患に関連する眼科の病気を始め、多くの臨床経験を積ませていただきました。特に女子医大糖尿病センター眼科の助手時代には、黎明期にあった増殖性糖尿病網膜症の硝子体手術に関わり、諸先輩方の苦労と努力を間近で拝見しながら、眼科手術の厳しさや喜びを学ばせていただきました。その後、子育てをしつつ非常勤として働いていましたが、父が患い、医院の継承を考えることになりました。大学病院で高度医療を志し一翼を担っていた外科の医師の兄に代わって、私が医院を継ぐこととなりました。1年ほど外科・眼科として父と一緒に診療を行った後、医院を全面的に建て替え、2007年に眼科として独り立ちしました。

生活者としての感覚を大事に、患者に親身に接する

開業されてみて、いかがでしたか?

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子育て時代にお母さん社会を経験したことは、開業してから患者さんと接する上でたいへん役立っていると感じます。眼科はお子さんの患者さんが多いのですが、診療の過程でご両親との会話も大切なんですね。実際、結膜炎のようにお薬を使えば症状が治まるケースもありますが、心因性の視力障害など患者さんの背景を考えながら対応するケースもあるのです。先日も、2日前から目がよく見えないという訴えで、親御さんがお子さんを連れてみえたのですが、よくよく話を聞いてみると受験を控え、周囲からの期待などのプレッシャーが原因のようでした。視力検査は自覚的なものなので、見えないと言われればそれまでですが、それで終わりにしないで時間をかけ、会話を通して患者さんの背景を思いながら、丁寧に検査を進めるように心がけています。

それは確かに、親としての経験が生きますね。

クリニックとしてこうした親身な対応ができるのは、スタッフのおかげです。それぞれ子育てや親の介護などを経験した30~40代の女性たちで、患者さんへの気遣いがこまやかなんですね。耳の遠い高齢の患者さんには、やみくもに大きな声ではなく、ゆっくりと一音一音、「このくらいで、聞こえますか?」と確認しながら話しかけてくれたりしています。子どもの誘導の仕方も、とても上手です。そして、院内での仕事を縦割りにせず、皆が内容を理解して、手が足りないところに臨機応変にスッと入るような、互いのフォロー体制を作ってくれています。スタッフの穏やかさや協調性は、クリニック全体を包む好い雰囲気として患者さんに伝わっているのでは、と思います。知識、技術だけでなく、生活から学び共生しているスタッフたちに、本当に感謝しています。

近隣の患者さんですと、高齢の方も多いのでしょうか?

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平日はお年寄りが多く、5~6割は高齢の患者さんでしょうか。実は、3年ほど前から、専門のドクターに来ていただいて、白内障の日帰り手術を行えるようにいたしました。それまで近隣の手術病院へ紹介していたのですが、視力が衰え不自由なのに、「遠いから」と手術紹介を拒む高齢の患者さんがおり、何とか当院で手術を行えないかと考えました。私自身は手術から遠のいていましたので、女子医大時代の縁故をたどり、お茶の水・井上眼科病院から、白内障がご専門のドクターに出張手術をお願いするようになりました。

白内障日帰り手術は、ご要望が多そうですね。

「日帰り手術」といっても、「簡単」なわけではなく、長年の放置で白内障が進行していたり、緑内障のため視神経が委縮し視野がわずかしか残っていなかったり、すでに片目を失明していて手術を失敗するわけにはいかないといった難症例も多く、専門家に手術を託すことができる有難さを感じています。

地域包括ケアへ参加し、眼科医師として次のステップへ

今後の展望をお聞かせください。

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鎌倉の地でかかりつけ医として長く地域の皆さまと関わっていきたいと思っています。看護師などの医療職や介護、福祉の方たちとの多職種での勉強会も始まり、眼科医師としてどのように関わっていけるかを考えているところです。高齢者が在宅で生活していくときに、「見えて」いることはとても大切ですよね。自立して、自分のことを自分で賄える健康寿命を長く保つために、足腰の運動機能も、「見える・聞こえる」といった感覚器も、もちろん内臓も大切です。バランスを取りながら歳を重ねていくということです。眼科としても、そのバランスの一翼を担う責任を強く感じています。

読者へメッセージをお願い致します

若い方は、ドライアイやスマホ老眼などを、市販の点眼薬や、眼鏡屋さんで作ったメガネで対応している方が多いかと思います。眼科では、症状に応じ良い処方薬の使い分けができますし、その人の生活習慣に合わせた眼鏡作りができるのも良いところです。通院の時間をとるのは難しいかもしれませんが、結果的には短い期間で治療につながると思います。また、高齢者に多い緑内障も、診断や治療法が大変進歩していますし、進行性の慢性疾患なので、根気よく継続して治療を続けることが大切です。私もかかりつけ医として、患者さんが生涯続ける治療を傍で見守る伴走者として、役割を果たしていきたいと思っています。当院でできない治療や検査は、専門の病院に御紹介することもできますので、何かありましたらお気軽にご相談下さればと思います。

最後になりますが、先生のプライベートでの楽しみを教えていただけますか?

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細かい作業が好きで、クロスステッチ刺繍に凝っていました。待合室に7~8点飾っているのは、その時に作り溜めた作品の一部です。またクラシック音楽を聴くのも大好きで、院内のBGMも自分で選んでいます。オーディオで聴くよりも、コンサート会場に足を運ぶのがいいですね。技量のある方たちの演奏を、聴衆がウーッと息をのんで聴き入る、その一体感がたまりません。憧れは、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートですね。毎年、お正月の中継を楽しんでいますが、いつかは行ってみたいというのが夢です。

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