普段の頭痛やしびれも慎重に精査
脳神経外科だからできる診療
久里浜横井クリニック
(横須賀市/京急久里浜駅)
最終更新日:2025/06/17


- 保険診療
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳動脈瘤……どれも命に直結する恐ろしい病気だという認識はあっても、自分に起こることを想像できている人はどれくらいいるだろうか。今自分を悩ませている頭痛やしびれが、そんな恐ろしい病気の前兆かもしれないと考える人は少ない。しかし、日本で寝たきりに至る原因の多くは、脳卒中であることも事実だ。横須賀市にある「久里浜横井クリニック」で脳神経外科医を務める横井育宝(やすたか)先生は、「元気に見えたのに、検査をしたら命の危機にある状態だったというのは、脳神経外科では日常茶飯事です」という。自分や家族の命を守るためにも、脳神経外科にかかるタイミングや、脳神経外科を受診するメリットについて知っておきたいところ。そこで、脳神経外科の受診について横井育宝先生に聞いた。
(取材日2025年5月22日)
目次
慢性的な頭痛やしびれなど、なんとなく我慢できてしまう疾患に、脳神経外科として向き合う
- Qどんな症状の時に脳神経外科を受診すべきですか?
-
A
▲脳神経外科を専門に研鑽を積んできた横井育宝先生
頭痛やめまい、手足のしびれ、手足が何となく動かしにくい、認知機能に不安があるといった場合に受診されるケースが多いかと思います。当院の場合、若年から中年層の方では頭痛やめまいを訴える方が、ご高齢の方ではめまい、しびれ、認知症状を訴える方が多い印象です。受診する際には、その症状がいつ頃からあるのか、どういったタイミングでどのように痛むのかなどを、できるだけ詳しく医師にお話しいただけるといいでしょう。頭痛の場合、痛みを言葉で説明するのは難しいですが、患者さんの言葉でお伝えいただいて結構です。頭痛を診ている医師であれば、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛などの、それぞれ特有の痛みを判断できると思います。
- Qしびれも脳神経外科を受診していいのですね。
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A
▲日常の些細な症状から、病気が見つかることもある
はい。しびれは、脳梗塞などの中枢神経疾患が原因となっていることもあるので、しびれを感じたら脳神経外科もしくは脳神経内科を受診してください。特に脳神経外科の場合、その日のうちに画像検査ができる体制を整えているところがほとんどです。緊急時に素早く対応できる点でも脳神経外科の受診がいいでしょう。一方で、慢性的なしびれの場合「年のせい」として、放置あるいは我慢してしまう方も少なくありません。私は、しびれを専門とする医師のもとで多くの患者さんを診てきました。また、当院では神経伝導検査といった詳細な神経機能の検査も実施しています。原因不明のまましびれを我慢して生活している方は、一度当院にご相談ください。
- Q治療はどのように進めるのでしょうか。
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A
▲MRI検査にも鯛生。結果を見極め、適切な医療の提供をめざす
まずは症状をお聞きし、当院では即日にMRIやCTといった検査を行います。検査結果が脳卒中など緊急性が高い場合や手術、入院治療が必要な場合はすぐに高度医療機関を紹介させていただきます。私は近隣の横須賀市立総合医療センターや、横浜市立大学附属病院で勤務していたため、そうした病院との連携も密に行えます。これらの病院には信頼できる医師がたくさんいますので、緊急時にも安心してお任せできます。とはいえ、多くの患者さんは緊急性が高くありません。その場合は予防医療が治療の軸になります。患者さん一人ひとりの症状や背景を把握し、今後、重症な疾患に罹患しないよう、適切な処方、指導、定期的な検査を行います。
- Q脳神経外科で診てもらうメリットは何でしょうか。
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A
▲不安な症状や転倒などのケガがあった場合は、相談を
やはり一番は、命に関わる疾患がないか見極められる点だと思います。脳神経外科では、本人は元気であまり心配なさそうに見えたのに、実はくも膜下出血で命が危険な状態だったということは日常茶飯事です。現在の医療では、一度障害を負ってしまった脳は元に戻せません。だからこそ、脳の病気は怖いのです。ですので、まずはその症状が緊急性のあるものか、命に関わるものか、あるいは日常生活に直結する病気なのかという判断を行うことがとても大事です。また、認知症の原因の中には、正常圧水頭症といって外科手術で回復が見込める病態もあります。こうした病気を見つけることができるのも、脳神経外科を受診するメリットでしょう。
- Q脳振とうに特化した外来も行っていると聞きました。
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A
▲先生自身の経験からも、患者に寄り添った診療をめざす
はい。画像検査で異常が見られない脳振とうは、通常、安静にしていれば回復する障害です。しかし、1〜3割の方に、4週間以上、頭痛やめまいなどの症状が続くことがあります。特に若年層の女性が陥りやすく、また不適切な初期対応が長引く原因になることもあります。そのため脳振とうは初期管理が肝心です。同様に、学業・社会復帰、競技復帰のタイミングも重要です。脳振とうは画像検査で異常がないため、”治ったように見えて”実はまだ万全ではないことがあります。だからこそ適切な評価が重要になります。私は国立スポーツ科学センターで脳振とうの診療に携わっていた経験もあり、適切な診療に力を入れています。お気軽にご相談ください。