村岡 光久 院長の独自取材記事
村岡クリニック
(横須賀市/北久里浜駅)
最終更新日:2022/11/07
北久里浜駅前に、1996年の開業以来、消化器内科、総合内科として内科全般を幅広く診療する「村岡クリニック」がある。村岡光久院長は、 癌研究会附属病院(現・がん研究会有明病院)などで研鑽した胃・大腸の内視鏡検査のスペシャリストで、同クリニックでも痛みの軽減と精度にとことんこだわった検査を実施。得意とする大腸内視鏡検査では2種類のファイバーを使い分け、自覚症状のないまま進行する大腸がんの早期発見に尽力している。「未病という言葉があるように、病気はいかに早期発見するかが大事」と、穏やかな笑顔で語る村岡院長に、幅広い疾患をカバーしながら、日本内科学会総合内科専門医として専門的な診療にも力を注ぐ同クリニックの診療について話を聞いた。
(取材日2022年8月30日)
専門的な検査と対話を重視した診療で適切な診断を
まずはクリニックの歩みと特徴について教えてください。
開業は1996年です。まだ勤務医だった頃、趣味の登山で知り合った男性医師がここでクリニックを営まれていて、見学させていただいたことがありました。駅前の好立地ながら、比較的院内は広く、駅周辺にマンションが、少し離れた地域には戸建ての住宅地が広がり、良いところだなと感じていました。その後、その先生が亡くなってクリニックを閉院されたと聞き、それなら顔見知りの私が引き受けようと開業を決意。勤務医をしていた父の定年と重なり、一緒に診療を始めました。父の専門は外科と皮膚科、私の専門が消化器内科だったので診療範囲が広く、一通りなんでも診てもらえるクリニックとして、近隣の方を中心に多くの方にご利用いただいてきました。昨年、父は引退しましたが、上の階にできた皮膚科や近隣の医療機関と連携しながら、患者さんのさまざまな症状に対応しています。
最近、リフォームされたそうですね。
開業時からずっと通ってくださっている患者さんたちも、だんだんと高齢になってきましたから、入り口の段差をなくして手すりつきのスロープにしました。車いすのまま診察室に入れるようになったので、患者さんやご家族の方からも好評です。また、院内の床や壁を張替え、照明をLEDに変更しました。ナチュラルな素材を使い、受診された患者さんの不安が少しでも和らぎ、気持ちが明るくなってくれるといいなと思っています。患者さんの多くは近隣にお住まいの方です。患者さんからのクチコミで来られる方も増えてきています。
患者さんと向き合う時、どのようなことを大切にしていますか?
地域の皆さんが最初に受診する医療の窓口として、健康に関することなら、どんな些細なことでも気軽に相談していただけるよう、話しやすい雰囲気づくりと患者さんとのコミュニケーションを大切にしてきました。患者さんが抱えている苦痛や不安を取り除くことも大切ですが、なぜこのような症状が現れるのか、早い段階で原因を突き止め、できるだけ早く適切な治療につなげることも大切です。そのため、当院では胃と大腸の内視鏡検査だけでなく、必要に応じてエックス線検査や腹部超音波検査、血液検査などを組み合わせながら、より正確な診断につなげるよう心がけています。また、食道にがんが見つかった時などは、たとえ少し遠くなっても、食道がんが専門の信頼できる先生がいる病院を紹介するようにしています。
精度にこだわった内視鏡検査と超音波検査
先生は内視鏡検査の経験が豊富だとお聞きしました。
開業前、私は癌研究会附属病院(現・がん研究会有明病院)や埼玉県立がんセンター、丸山記念総合病院など先端の医療現場で、胃のエックス線撮影から内視鏡検査、大腸内視鏡ポリープ切除術、CTや超音波検査の画像診断など研鑽を積んできました。内視鏡検査というのは、医師のスキルや経験数によって見え方や患者さんへの負担がだいぶ変わります。特に大腸は長いので、いかに苦痛なく短時間で的確に検査するかが重要です。私は勤務前の経験に加え、1996年に当院を開業してからも大腸内視鏡検査、胃の内視鏡検査ともに数多くの検査を手がけてきました。大きい病院では静脈麻酔なしで検査を行うところも少なくないようですが、当院では静脈麻酔を使い、検査時の負担軽減を図っています。最近は近隣のクリニックからの紹介も増えていますね。
特に大腸内視鏡検査に力を入れていらっしゃるのですね。
大腸は長く、約1.5メートルもの大腸のひだの裏側まで調べるのはとても困難ですが、大腸内視鏡検査はその隅々まで丁寧に観察できる優れた検査です。もし小さなポリープが見つかればその場で切除ができ、検査と治療を同時に行うことが可能です。当院では、朝の診察前から午前中までに胃の内視鏡検査を、昼休みの時間帯や土曜の午後に大腸の内視鏡検査の時間枠を設け、仕事などで忙しい方も検査が受けやすい体制を整えています。おなかの張りや違和感、お尻からの出血、便潜血で陽性と言われた方、身内で大腸がんを患った人がいる方、原因不明の貧血など思い当たる節のある方は、自己判断で済ませずまずはご相談いただければと思います。
腹部以外の超音波検査にも対応されていると伺いました。
私が超音波検査で診るのは肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓がメインですが、臨床検査技師のいる時であれば、腹部超音波検査のほか、動脈硬化の進み具合を調べる頸動脈、心臓、足の血管の超音波検査も可能です。動脈硬化は放っておくと脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因になりますので、検査の結果、悪玉コレステロール値や血圧が高かった方や、糖尿病の傾向がある方、喫煙習慣がある方については、頸動脈エコーで現状を確認するようご提案しています。状態によっては、脳外科クリニックと連携してMRIを撮ったり、大きな病院の脳外科に紹介したりすることもあります。
大腸がんの早期発見と健康寿命の延伸をめざす
印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?
がんが早期に見つかって手術につながったケースもあれば、残念ながらかなり進行した状態で見つかり、厳しい結果となるケースもあります。せっかく専門病院に送られてきても放射線治療しかなす術がなく、亡くなられる方をこれまでたくさん見てきました。そのたびに「もう少し早く見つけることができれば」と、何度悔しい思いをしたかわかりません。今は早期発見さえできれば消化器がんは完治もめざせる病気です。横須賀市では40歳以上の方は胃がんリスク検診で、採血による胃粘膜の萎縮度とピロリ菌に感染しているかどうかを検査し、胃がんになりやすい傾向があるとなった場合は、精密検査として胃内視鏡検査を受けていただきます。昔のようにバリウムを飲む胃透視検査を受けずに済むので、ぜひ活用していただきたいです。
今後の展望をお聞かせください。
最近は専門性を持つ先生方がどんどん開業されています。患者さんにとっても1日仕事を休んで大きな病院で何時間も待って検査を受けるよりも、さっと行ってさっと検査を受けられる近所のクリニックのほうが、気軽で時間もかからずメリットは大きいはずです。幸い、長年横須賀市での地域医療を通じて知り合った、スキルもお人柄も信頼できる先生たちとのネットワークがあるので、必要に応じて診診連携しながら地域全体で患者さんの健康を守っていければと思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
高齢になるとがんだけでなく、生活習慣病のリスクも高くなります。当院はご家族でかかっている患者さんが多いので、患者さん本人だけでなく、食事を作るご家族の方にも来ていただいて管理栄養士による食事指導を行っています。続けることが大切ですから、あれもダメ、これもダメというのではなく、「ラーメンを食べるんだったらスープは残しましょう」というように、毎日続けられそうな具体的なヒントをお伝えするように心がけています。私自身も、この先少しでも長く地域のお役に立てるよう、朝散歩など無理なく続けられる運動を意識的に生活に取り入れています。末永く、地域の皆さんのホームドクターとして、「ここへ来て良かった」と思っていただける便利な駅前クリニックでありたいと思います。