三宅 洋一 副院長、三宅 直香 先生の独自取材記事
三宅整形外科小児科クリニック
(横須賀市/浦賀駅)
最終更新日:2025/03/03

浦賀駅から徒歩約5分の「三宅整形外科小児科クリニック」は、海沿いに立つ5階建てビルで整形外科、小児科、リハビリテーション科、リウマチ科、小児整形外科の診療を行っている。三宅洋一副院長は整形外科が専門で、子どもから高齢者まで幅広い世代が訴える痛みに対応。小児科の診察は妻である三宅直香先生が担当しており、同じビルの中でスムーズな医療連携を行えることが大きな特徴。看護師や事務スタッフも2つの診療科をまたいで業務を担当しており、チームで一丸となって患者の利便性を追求している。「来て良かったと言われるクリニック」をめざしてきた同院の特徴や診療ポリシーについて、2人に話を聞いた。
(取材日2024年11月14日/情報更新日2025年3月3日)
「通いやすさ」を重視した医療体制と設備
5階建ての大きなビルをどのように使い分けていますか?

【洋一副院長】1階は総合受付と総合待合室になっており、2階は私と院長である父の2人で診療している整形外科、3階はリハビリテーション室、そして4階は直香先生が診ている小児科と4フロアを使っています。5階はスタッフ用の待機室ですね。車いすでいらっしゃる整形外科の患者さんや、小児科で来院されるベビーカーをご利用の方のために、この規模の建物ではかなり大きなエレベーターを設置していることが特徴です。
【直香先生】2015年にこちらに新築移転したのですが、フロアごとに診療科を分けていたことが感染症対策に役立っています。小児科は風邪をはじめとする感染症でいらっしゃるお子さんが多いため、ご高齢の方が多い整形外科の患者さんが快適に過ごせるような空間づくりを心がけています。
どんな患者さんが多いのでしょうか?
【洋一副院長】横須賀市は高齢化が進んでいるので、お年寄りが非常に多いです。主訴としては、肩・腰・首の痛みが目立ちますね。また、小児整形外科の診療も行っているので、小学校低学年くらいまでのお子さんもよくいらっしゃいます。小児患者で一番多いのは足の痛み。主に偏平足が原因で、靴底に入れる治療用のインソールを、週1回来てもらう医療用装具の業者さんに作ってもらう患者さんはたくさんいます。小児整形外科に対応するクリニックが少ないからか、他県から足を運んでくださる患者さんもいます。
【直香先生】小児科は感染症が圧倒的に多いのですが、意外に多いのが便秘のご相談。小学校の修学旅行前などのシーズンは、夜尿症を心配する親御さんもいらっしゃいますね。また、予防接種にも力を入れています。
2つの診療科での連携はよくあるのですか?

【洋一副院長】整形外科と小児科の連携は日常的にあります。例えば首の痛みを訴えるお子さんでリンパ節が腫れていた場合は、感染症が疑われることがあるので、そのままフロアを移動して小児科を受診していただきます。1ヵ所で両方の科にかかれるというのは、仕事や育児で忙しい親御さんにとって、とても便利だと思いますよ。
【直香先生】私は近隣の小学校の校医を務めており、まれに側弯症などの機能障害の傾向が見られるお子さんがいるのですが、大学病院ですら小児は診られないという整形外科がある中、主人は小児整形外科の経験を積んできているので安心して受診を勧めることができます。また、子育て中の親御さんで腱鞘炎や腰痛に悩んでいる方いらっしゃったら、小児科でお子さんの診察が終了後、整形外科に移動してご自身の診察を受けることも可能です。
スタッフ同士の連携、近隣の大型病院との連携に注力
クリニック内の連携体制を強化するために工夫していることはありますか?

【直香先生】小児科に保育士資格を持つスタッフを常駐させていることが当院のこだわりの一つです。例えば、きょうだいの1人が熱を出してしまった場合、留守番させることができず一緒に連れてこられた子がいれば、保育士資格のあるスタッフがその子の対応にあたります。ご要望に応じて、スタッフがお子さんの対応をしている間に親御さんが一人で整形外科を受診していただくことも可能です。私も3児の母なので、忙しい親御さんに寄り添えるクリニックでありたいと思っています。
【洋一副院長】当院は看護師も事務スタッフもシフト制で整形外科と小児科の業務を担当するため、お互いの業務内容を熟知しています。そのため、診療科をまたいで診察していただく際も連携がスムーズですし、一人のスタッフが体調を崩してしまった場合も無理なくほかのスタッフがカバーできる体制になっています。
近隣の大型病院との連携にも力を入れていると聞きました。
【洋一副院長】整形外科は週に1度、水曜に横須賀共済病院の先生が地域医療のサポートとして当院に診察にいらっしゃいます。近隣でも大きな病院である横須賀共済病院と密にコミュニケーションを取っているため、大がかりな手術が必要な患者さんを紹介する際も話が早いですし、手術を受けた患者さんのリハビリテーションを当院で請け負うこともできます。
【直香先生】横須賀は地域医療との連携に熱心な大型病院が多く、小児科の場合、専門的な診察が必要な場合は横須賀市立総合医療センターに紹介させていただくことが多いです。当院が小児科を立ち上げてから約10年たちますが、患者さんの紹介を断られたことはありません。人手不足の病院が多い中で、これは驚くべき状況だと思います。
混雑を緩和するために心がけていることは?

【直香先生】小児科ではホームページから診察や予防接種の予約を受け付け、近年はSNSを利用した情報発信にも力を入れています。例えば急な停電で医療機器に不具合が出てしまった緊急時など、「今日の午前中は混雑が予想されます」とお伝えすれば、患者さんが待ち時間の少ない時間帯に来院しやすくなります。
【洋一副院長】整形外科は高齢者の患者さんが多いためデジタル化の推進には慎重なスタンスですが、当院はスタッフ同士のコミュニケーションが盛んで混雑状況や患者さんの情報を共有しているため、少しでも待ち時間を短縮するために診察やリハビリテーションの順番を臨機応変に調整しています。
患者の話をよく聞くことを心がけ雑談も診療に役立てる
日々の診療で意識していることはありますか?

【洋一副院長】患者さんのお話にしっかりと耳を傾けることです。こちらの見解を一方的に伝えて診察を終えるのではなく、「気になることはありますか?」と尋ねて遠慮なく不安や悩みを語っていただけるよう働きかけています。お子さんの場合は、怖がらせないことが第一。笑顔で接し、痛みを訴える患部をいきなり触らないように注意しています。
【直香先生】子育ての悩みなど、病気に直結しないような雑談も大切にしています。患者さんのライフスタイルを知ることが、治療のヒントになることがあるからです。例えば、共働きのご家庭の場合、通っているのが幼稚園か保育園かを伺っています。保育園だと1日に3回のお薬を飲むのが大変なケースが多いので、より患者さんに合ったお薬を処方するようにします。
ところで、お二人が医師をめざしたきっかけは?
【洋一副院長】やはり当院の院長である父の影響が大きかったと思います。もともと外科を希望していたのですが、消化器外科と整形外科で悩んだ結果、最初はどちらの科にも関係のある麻酔科を選びました。そこに4年在籍後、スポーツが好きでアスリートをサポートしたいという思いから整形外科を選びました。
【直香先生】私は子どもの頃から病気がちの母を見ていたので、人の役に立てる医師になりたいと思うようになりました。小児科を選んだのは、小学校時代から保育士になりたいと言っていたほど子どもが好きだったから。学生時代は海外ボランティアに参加し、フィリピンの乳児院で活動していました。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

【直香先生】開院当初からめざしているのは、患者さんに「来て良かった」と言っていただけるクリニックであり続けること。小児科は親御さんにとっての「なんでも屋」ですから、困ったときは気軽に相談できる存在でありたいと考えています。できる限り皆さまのお悩みに寄り添い、場合によっては適切な病院をご紹介して地域のファミリーをサポートしていきたいと思います。
【洋一副院長】「今朝はなんだか少し変なんだよね」と何げなくポツリと言った一言で脳梗塞の兆候に気づくということもあります。大きな病院にすぐにお送りすれば、早期発見・早期治療につなげ、大事に至る可能性を減らすことができますので「こんなこと聞いてもいいの?」と思わず、気になることは何でも遠慮なくお話しください。