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小林 悟 院長の独自取材記事

小林整形外科医院

(杉並区/浜田山駅)

最終更新日:2021/10/12

小林悟院長 小林整形外科医院 main

目の前には公園のある落ち着いた住宅街の中、「小林整形外科医院」は周囲に溶け込むように立っていた。この土地で開業して40年以上。小林悟院長は父親の後を継いだ2代目になる。膝や腰の慢性的な痛みや骨粗しょう症といった疾患を中心に、異常や不安を感じたらまず最初に訪れる場所として地元の人々に信頼されてきた。話を聞いている間も、昼休みにもかかわらず、ドアを叩いて訪れる人あり、電話をかけて来る人あり。次々にもちかけられる患者の相談に、院長は丁寧に応えていた。「お優しいですね」と言うと、「時には厳しいことも言いますよ」と笑った院長に、さまざまな話を聞いた。

(取材日2016年12月14日/更新日2020年12月11日)

開業して40年以上。地元に信頼される整形外科

1972年から40年以上続く整形外科医院ですね。

小林悟院長 小林整形外科医院1

開業したのは父で、私は2代目になります。大学を卒業してから15年ほど大学病院などで勤務医として経験を積んだ後、父と一緒に診療するようになりました。患者さんは地元の方がほとんどです。引き継いだ当初は小学校の友達のお父さんお母さん世代が多かったのですが、この頃は同級生が来るようになりました。ちなみに父もまだ週1回診療にあたっています。父でなければという患者さんもいらっしゃいますので。

どのような症状の方が多いのでしょうか。

高齢者の方に関してはやはり、膝、腰が痛いといった慢性的な疾患、それから骨粗しょう症ですね。お子さんのケガも多い。ここ5年ぐらいは肩関節の腱板を傷めた高齢者の方が増えているように感じます。腱板は腕を持ち上げたときに働く筋肉の束で、長年使っているうちに摩耗してすり切れてしまいます。昔よりも現役でいる時期が長くなり、スポーツや仕事で傷めるようです。

骨粗しょう症にはどのような治療を行っていますか。

小林悟院長 小林整形外科医院2

骨粗しょう症の場合、大学病院でもクリニックでもほとんど同じ治療が行えます。ですから近くで気軽に治療をしてほしいと思っています。特に骨折した方には「2度目は避けたいですよね」とお話すると、たいてい検査を受けていただけますね。治療のメインは服薬です。ただ血圧や糖尿病と違って、薬を飲み始めてもすぐには効果が期待できません。5年かけて骨密度を9%、10%上げようという治療で、1年で2%上がれば大成功なんだとお話ししますが、なかなか理解していただけないのが残念です。薬で効果の見込めない2割ぐらいの方には注射という方法もあります。それでも効果につながらない場合でも、放っておけば骨密度は下がるばかりですから、服薬で現状維持ができれば、とお勧めしています。

食事の指導もなさっていますか。

もちろんです。「乳製品をたくさん取りましょう。質だけでなく、量が必要です」とアドバイスしていますが、中性脂肪やコレステロールが高くなって、内科のクリニックで怒られてもいけませんし(笑)。そのあたりはケースバイケースです。近所の内科の先生とはみな顔見知りですから、そのへんはうまくバランスをとっています。

治らない疾患と付き合っていく心構え

診療の際にどのようなことを心がけていらっしゃいますか。

小林悟院長 小林整形外科医院3

患者さんのお話をよく聞くことと、きちんと触診することです。お話の中に診断のヒントが隠されていることは多く、例えば「何メートルぐらい歩くとどこが痛くなり、歩けなくなる」という話から腰部脊椎管狭窄症という疾患だと推察できます。またお話やレントゲンだけではわからないことが患者さんの体に実際に触れて痛みや腫れなどを知ることでわかることがあります。ただ、レントゲンやMRIではひどく変形していても、長い間歩くことができて困っていないということであれば、それはそれでいい。治療の対象にはならないんです。整形外科は機能とご本人の満足度を重視しますので。

変形していても機能が働いていればいいわけですね。

勤務医の時にはノミと金槌を手に手術をしていて、他の科の医師から「大工さん、今日はどこを治したの?」などと言われていました。目に見えてよくなるという面白みがあったわけですが、開業してからはそこが一番違うかもしれませんね。慢性の患者さんが多いですから、「風邪は治ります。骨折も治ります。でも膝の変形は治りませんよ。治すというよりは、疾患と付き合っていきましょう」とよくお話ししています。

膝の手術は成功しても必ずしも患者さんが満足するとは限らない印象がありますが。

小林悟院長 小林整形外科医院4

手術のタイミングがむずかしいんですよ。あまり高齢になってからですと、筋力や理解力が落ちて、手術そのものは成功してもリハビリテーションがうまくいかない場合もあります。どなたでも心肺機能は落ちてきますし、他の疾患との兼ね合いもあって、手術あるいは麻酔のリスクも高まります。かといって、あまり早い時期だと、ご本人にそれほど切実さがないのでその気にならない傾向はありますね。最後に決めるのはご自身ですが、やはり手術はしたくないという方が多いかもしれません。

地道にコツコツと誠実に診療を続けたい

医師になられたのはお父さまの後を継いで自然なことでしたか。

小林悟院長 小林整形外科医院5

父が医師でしたから、なんとなくその後ろをついてきた感じはあります。ただ後を継いでくれとはまったく言われませんでしたね。進学したのが学年の半分は医学部に行くという高校だったので、周りの影響は大きいです。余談ですが、同じ学年に整形外科の医師だけで10人ちょっといるものですから、年に2回整形外科だけの同窓会を開いています。これが面白いんです。開業医半分、勤務医半分ぐらいで、それぞれ利害関係がありませんから、好きなことを言って、情報交換をしています。専門を決めるときも父は私に任せてくれました。学生時代には精神科や一般外科にも興味があったのですが、最終的にはやはり整形外科を選んでいましたね。

高校時代のお仲間の集まり以外に、どのようなことでリフレッシュなさっていますか。

昔は淡水の釣りが好きで、かなり一生懸命やっていましたが、最近はなかなか時間がとれずあまり出かけられなくなってしまいました。釣りを始めたのは世代的に、有名な少年漫画の影響が大きいかもしれません。主人公の少年が実在の人物ならちょうど同じぐらいの年齢なんですよ。最近は淡水魚を釣るのではなく、もっぱら食べています。鰻、鯉、ワカサギといったあたり。東京の蒸す鰻があまり好きではなく、地焼きの鰻を求めて、月に2回ぐらいは浜松まで車を飛ばして出かけています。

これからの抱負をお聞かせください。

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今までどおり、地元の方たちの慢性疾患や骨粗しょう症を中心に、地道にコツコツと診療していきたいですね。開業医というのは、大学病院などに比べて気楽に訪ねられるところです。軽い異常や骨粗しょう症がご心配でしたら、あるいはどこへ行ったらいいかわからないという場合でも、気軽にお越しください。分野ごとに得意な病院がありますから、必要な先をご紹介することもできます。そうして、地元の方のお役に立っていけたらと思っています。

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