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阿部 啓次郎 院長の独自取材記事

あべこどもクリニック

(八千代市/勝田台駅)

最終更新日:2024/01/19

阿部啓次郎院長 あべこどもクリニック main

京成本線勝田台駅、東葉高速鉄道東葉勝田台駅の北口から徒歩2分、屋上に設置されたクマの看板が目印の「あべこどもクリニック」。一般的な小児科診療や乳幼児健診・予防接種はもちろん、発達や心の問題を抱えた子どもの診療にも積極的に取り組んでいる。院長の阿部啓次郎先生は大学病院の小児科で研鑽を積んだ小児神経の専門家。その知識と経験を生かして、千葉県や八千代市の障害児・障害者施設の嘱託の医師や療育機関の校医、保育園の園医を務めるなど、地域医療に貢献している。病児保育室も併設し、地域の子育てファミリーを幅広くサポートしている阿部院長に、同院の特徴や診療内容を中心に話を聞いた。

(取材日2023年8月9日)

発達障害のある子と親を支える小児科クリニック

まずは阿部院長のご経歴をお聞かせください。

阿部啓次郎院長 あべこどもクリニック1

私は福岡市の出身で、鳥取大学医学部を卒業後、福岡大学医学部小児科学教室に入局し、研鑽を積みました。小児神経を専門に選んだのは、小学生の時に家族が神経の病気を発症したことと、小児神経の分野で知られ恩師でもある故・満留昭久福岡大学名誉教授から、「君にしかできない小児科診療があるのではないか」と言われたことがきっかけです。福岡のほか、山口県下関市などでも診療していたのですが、父が亡くなったことを機に地元から離れてみたくなり、千葉県に移ってきました。釣りが好きだったので、海のある千葉を選んだという裏話もあります。

開業されたのはなぜですか?

こちらに移ってきた当初は病院の勤務医だったのですが、かかりつけ医として患者さんやご家族と深く関わる診療をしたいという思いから開業を決意し、1993年に当院をオープンしました。以来30年間、患者さんやご家族との信頼関係を積み重ねながら「お互いを思いやる気持ち」を大切にした医療を心がけています。

診療面の特徴を教えてください。

阿部啓次郎院長 あべこどもクリニック2

発熱や鼻水・鼻詰まり、腹痛、気管支喘息などの一般小児診療のほか、予防接種・乳幼児健診も行っています。また、私の専門分野である、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症(ADHD)などの発達障害の診療にも力を入れています。開業からしばらくは、通常の外来診療が終わった後に夜間に外来を設けて、発達の遅れや不登校の相談に対応できるようにしていたのですが、相談を希望される方が増えてきたため、2015年に同じビルの3階に「発達相談室 こんぺいとう」を開設しました。長年、市役所などの行政機関で仕事をしてきた看護師のほか、臨床心理士・臨床発達心理士との多職種チームで、お子さんの発達や行動についてのさまざまな悩みに向き合っています。

発達の遅れに関して、どのようなきっかけで受診や相談に来る方が多いのでしょうか?

保護者の方がお子さんの発達に違和感を持ち、インターネットで検索して当院を受診される場合もありますが、風邪などの症状で受診された際や乳幼児健診の際に、必要だと感じたら私のほうから専門の外来の受診や相談を勧めるようにしています。ただ、1歳半や3歳での乳幼児健診で発達の遅れを指摘したとしても、お子さんが10歳くらいになってから、発達の遅れが顕著に現れ始めて受診するということもあるようです。保護者の方には、お子さんを心配しながらも「発達の問題があると認めたくない」という思いもあるでしょう。しかし、受診を先送りにしているうちに、お子さんの行動について周囲からの理解が得られず、そのストレスから不登校や暴言・暴力などの二次的な問題が起こる可能性もあります。早期に支援を始めることで、さまざまな困り事の軽減をめざし、二次的な問題の予防につなげていくことが大切だと考えています。

教育・行政機関とも多職種で連携し家族ぐるみで支援

発達の遅れが気になるお子さんを診ていく中で、心がけていることを教えてください。

阿部啓次郎院長 あべこどもクリニック3

小さなお子さんには自覚はありませんが、ある程度大きくなっているお子さんに「なぜ病院に来たかわかる?」と尋ねると、「自分が悪いことをしたから」「自分はダメな人間だから」などと答える子は多いです。自己否定や劣等感を抱えているんですね。ですから私は「僕もダメな人間だよ。一緒だね、仲間だね」と言うようにしています。また、親御さんには、ある思想家の言葉を引用して、頭ごなしに叱ったりせず、まずは子どもの行動を「そうしたかったんだね」と受け止めて、その上で「でも、それをやると周りの人が悲しむよ。それってかっこいいことかな?」などと教えてあげてください、とアドバイスするようにしています。

行政機関とも連携を取っておられるそうですね。

はい。発達障害のお子さんが直面する問題の多くは、家庭や学校で起こっています。ですから診察するだけでなく、地域の福祉・教育施設や行政機関と連携しながら、子どもたちの成長と保護者の方の子育てをサポートしていくことが大切です。遠方にお住まいだと行政機関との連携が難しいため、当院では、発達障害の診療や支援に関しては八千代市内など近隣にお住まいの方を対象とさせていただいています。ご理解いただけますと幸いです。

保護者の方への支援も重要なのですね。

阿部啓次郎院長 あべこどもクリニック4

そうです。周囲から「しつけの問題」だと誤解されて、傷ついている親御さんもおられますし、保護者の方自身が発達の問題を抱えている場合もあります。親御さんの精神状態が不安定だと、お子さんの発達に気を配ることは難しく、家族ぐるみの支援が必要です。そうしたご家庭をサポートするため、当院では2016年に訪問看護ステーションを開設しました。精神科での看護経験者や子育て相談経験者、小児看護の経験者など専門のスタッフが在籍し、ご家庭を訪問してご家族の悩みや困り事を直接聞き取り、アドバイスや生活のサポートを行います。利用を希望される場合は、一度お問い合わせいただければと思います。

豊かな遊びが子どもの健やかな成長を育む

病児保育室を併設されているほか、先生は行政のお仕事にも携わっておられると伺っています。

阿部啓次郎院長 あべこどもクリニック5

1999年に同じビルの3階に、病児保育室「くまさん保育室」を開設しました。同僚の女性医師が懸命に育児と診療を両立されている姿を見てきましたので、病気のお子さんを預ける場所がなくて困っている保護者のお役に立てればと思ったのです。私個人が公的機関の仕事に携わるようになったのは、八千代市の乳幼児健診を集団から個別へ切り替えるよう提案したことがきっかけでした。私の地元である福岡では個別健診が一般的で、日頃から診てもらっているかかりつけ医が診察するため、安心して健診を受けることができ、小さな悩みも相談しやすい体制になっているのです。そのほか、八千代市児童発達支援センターの嘱託医師や千葉県立八千代特別支援学校の校医、八千代市教育委員会の特別教育支援チームの委員なども務めています。また、鎌ケ谷市からの受託で、障害のある方からの相談支援業務を行う施設の運営もしています。

地域の子どもたちや保護者のために奮闘する原動力は、どこから湧いてくるのでしょうか?

とにかく、子どもはかわいいですよ。特に健診の診察は本当に楽しいですし、新米パパ・ママさんたちが、ぎこちなく赤ちゃんを抱っこする様子を見ると、応援したくなります。また、学校では担任の先生が1、2年でどんどん変わっていくのに対して、かかりつけ医は患者さんであるお子さん・保護者の方とのお付き合いが長くなります。小児科の対象は一般的に15歳までですが、大人になって自分のお子さんを連れて来てくれることもあり、本当にうれしいですね。小児科の医師としてのやりがいを感じます。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

阿部啓次郎院長 あべこどもクリニック6

最近気になることは、拒食症の患者さんが増えたことですかね。おそらく、新型コロナウイルス感染症の流行で動画閲覧や、ゲームをする時間が長くなったことが子どもの体と心の成長に悪影響を与えているのではないかと考えています。そのため、学校の先生方とお話しする際には「子どもたちに遊びを教える時間を1時間作ってほしい」とお願いしています。子どもの遊びは家庭任せではなく、学校など地域全体で関わっていくことが大切です。子どもたちには豊かな遊びを経験し、友達と一緒に遊ぶことに楽しさを見出してほしい。それが健やかな成長を促し、豊かな人生を送る礎になると思います。当院は、たくさんの患者さんに支えていただいて30周年を迎える事ができました。信頼して通ってくださっている皆さま、忙しくしていると私の体を気遣ってくれる皆さまには本当に助けていただいています。これからも皆さまの支えになるようスタッフ一同尽力して参ります。

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