宮尾 晃代 院長の独自取材記事
宮尾クリニック
(柏市/柏駅)
最終更新日:2025/12/10
1990年の開業以来、子育て世代を中心に地域住民に親しまれている「宮尾クリニック」。宮尾晃代(あきよ)院長はじめ、同院で働くスタッフ全員が子育て経験のある女性で、子どもや保護者を見守るまなざしは温かい。広々とした院内にはキッズスペースが設けられ、木製の遊具も設置されるなど、小さな子どもを連れて受診しやすい雰囲気になっている。内科としての役割も大きく、新型コロナウイルス流行以前から感染症が疑われる人向けに完全隔離の診察室を設けるなど、患者が安心して受診できる環境作りにも力を入れてきた。インタビューでは、クリニックの特色や、宮尾院長の診療時における心がけ、仕事と育児に奮闘してきたこれまでの人生についてなど、たっぷりと聞いた。
(取材日2025年9月16日)
地域密着の診療を行う、すべての世代のかかりつけ医
はじめに、医院のこれまでのあゆみをお聞かせください。

義理の父が小児科医で、整形外科医であった主人とともにこちらに開業しました。私は当時、他の病院に勤めていましたが、週に1度予防接種などの処置をするためにこちらにも来ていたんです。義父から診療を引き継いだのが1993年のこと。開業時から小児科・内科・整形外科の3つを診療していましたが、2008年に主人が亡くなってからは私1人で小児科と内科を診ています。整形外科を診療していた頃のリハビリテーション室は、現在、予防接種用の待合室として使用しており、健康な皆さんに病気の方と接触せずにお待ちいただけます。また、新型コロナウイルスやインフルエンザ、おたふく風邪など感染性の高い病気の方には完全に隔離した診察室をご用意し、他の患者さんへの感染を防ぐように配慮しています。
患者さんの年齢や性別、症状に傾向はありますか?
当院は小児科・内科の医院ですので、赤ちゃんから成人の方、お年を召された方まで幅広く来ていただいています。お子さんの感染症はもちろん、溶連菌感染症のように子どもがかかるイメージの強い感染症に大人がかかることもありますので、検査キットなどを使って素早く診断できる体制を整えています。内科については、高血圧や脂質異常など「健康診断で気になる数値があった」と来られる方が中心です。私の研究のテーマが脂質代謝という分野だったこともあり、以前から患者さんが多いんです。また、小児科・内科以外にも、体調不良で受診された際に、ニキビやアトピーなど皮膚のトラブルに関してご相談いただくこともあります。専門ではないものでも、日常でお困りのことがあれば何でもご相談いただきたいですね。
どのようなきっかけから医師を志したのでしょうか?

脳外科の医師だった父の影響が大きかったと思います。小さい頃は父の勤務先のすぐ近くに住んでいましたので、乳歯が抜けそうになったらその病院の歯科に1人で行って処置をしてもらっていたくらい、病院は身近な場所でした。大学卒業時は消化器外科を希望していたのですが、父に反対されてしまいまして、父の勧めに従って小児科に入りました。しかし仕事をしてみると、患者さんの成長を見ていられるというのはとても楽しい仕事だと感じ始めました。私自身も2人の子どもを育てましたので、親御さんの気持ちや心配事なども理解しやすいと思います。大学の関連病院に勤めていると数年で異動ということもありました。今はこちらで診療を続けて、一人の患者さんを長い間、診察させていただくということは幸せなことだと思っています。
働くスタッフ全員が、育児を深く理解し寄り添う
医師になられた頃の印象深い出来事をお聞かせいただけますか。

私が医学部にいた頃や、医師になってからしばらくの間は、女性が働くことがとても大変な時期でした。「結婚・出産するなら仕事を辞めるのが当然」というような雰囲気があったのです。ですので1人目の子どもを産んだ後、10年間は2人目を産む勇気が出ませんでした。保育園は9時から17時までで、仕事をしているととてもお迎えには行けませんでしたし。私の場合、幸いにも決まったベビーシッターさんを見つけることができ、その方のおかげで仕事を続けられたのですけれども、その頃、家庭を持った女性医師が仕事を辞めたり長期の休業を取ったりせざるを得なかった例も少なくありませんでした。最近は保育園や幼稚園も増えましたし、産休や育休も比較的問題なく取ることができるようになって、良い社会になってきたと思います。
こちらのスタッフさんは全員女性なのですね。
はい。受付や看護師、事務スタッフは全員が子育て経験のある女性ですので、子どもの扱いに慣れていますし、お母さん方にも親しみを持っていただけるかと思います。皆とても勉強熱心で、患者さんがどのスタッフに何を聞いても親切に答えられる環境が整っています。新しい制度や予防接種のタイミングなども進んで患者さんに案内してくれるので、私は診察に集中でき、とても助かっているんですよ。受付・看護師・医師と3段階の目があることによって、細かな見逃しを防ぐことができていると思います。
患者さんに接する際、心がけていることを教えてください。

やはり、お話をじっくり伺うことですね。診察に関することであれば、何時にどのくらいの熱が出たのか、水分は十分に取れているか、といった細かいことまで聞いていきます。こちらにいらした時点のことだけではなく、それ以前の状態も知るために、問診はとても大切です。生まれたときの状態や小さい頃の病気が後に影響することもありますから、小さいお子さんを診せていただくときは、必ず母子手帳やお母さんのお話から病歴や普段の様子、アレルギーなどを確認しています。そして内科では、強い薬に頼り切りにならないようにし、体の自然に治ろうとする力を引き出すことをめざす治療を心がけています。
仕事や子育てに奮闘する保護者を親身にサポート
予防接種にも力を入れているそうですね。

はい。予防接種はお子さんご自身や周囲の人を守る上で欠かせないものです。例えばおたふく風邪の合併症として起こる難聴は、現在のところ治療が困難とされていることをご存知でしょうか? おたふく風邪は任意の予防接種ですが、柏市では2回の費用助成が受けられるようになりましたので、積極的に利用していただきたいですね。当院ではお子さんが痛みを感じにくいよう、できる限り細い針を使用しています。スタッフたちも、キャラクターのおもちゃなどを使ってお子さんの気をさりげなくそらすなど、抜群のチームワークでサポートしてくれています。スタッフは皆、予防接種のスケジューリングにも長けていますので、悩んだときは気軽に声をかけてくださいね。
今後の展望についてお聞かせください。
できるだけ今の状態を保って、明るく優しい雰囲気のまま診療を続けていきたいと思っています。患者さんは、皆さんそれぞれに不安を抱えておられます。「来てよかった」と思っていただくためにも、受付や待合室では、少しでも安心していただけるような雰囲気を保っていたいですね。また、時代の変化や流行している病気に合わせて、院内の機器のアップデートを続けています。最近では、エックス線を先進のものに更新したほか、専用のカメラで撮影した咽頭画像と問診をもとに、AIがインフルエンザかどうかの診断の補助をしてくれる検査機器を導入しました。こちらは従来の検査方法と比べて痛みがほとんどなく、結果も短時間で分かるためお子さんでも検査を受けやすくなっています。今後も、患者さんが安心して受診できるよう環境を整えて行くつもりです。
最後に、読者へ向けて何かメッセージをいただけますか。

ここ数年は、子育てに参加する男性の割合が一気に増えたように思います。クリニックへのお問い合わせも、半分ほどがお父さんからのご連絡です。お子さんの健康や子育てに関して不安があれば、お母さんはもちろん、お父さん方も気軽にご相談くださいね。これは私自身も感じてきたことですが、子どもはあっという間に大きく成長していってしまいます。そしてその間に、人格の基礎が形成されていきます。お子さんとせっかく一緒にいられる時には、彼らの言っていることを上の空で聞いていてはもったいないです。子育て中の皆さんは、お子さんの動作や言葉を真正面から捉えて向き合い、伝えるべきことはきちんと伝えてあげてほしいと思います。そして何よりもわが子といられる幸福な時間を楽しんでください。

