今井 大介 院長の独自取材記事
今井眼科医院
(茂原市/茂原駅)
最終更新日:2024/10/08

茂原市高師にある「今井眼科医院」は、4代目となる今井大介医師が院長を務める眼科医院だ。白くモダンな外観が印象的な同院は、2015年に今井先生が院長に就任して以降、2度増床を行ったという。院内は、外観から想像するよりも広々とした造りで、開放感と明るさがある。印象的なのは、手術用の待合室に設置された大きな植物だ。3メートル近い高さにある葉に、天窓から自然光が注ぎ、鮮やかな緑が空間を包み込んでいる。植え込みを囲むベンチに座っていると、まるで公園で一休みしているような感覚だ。「手術を待つ患者さんの緊張が、少しでもほぐれるように考えました」と今井院長。大学病院並みの設備と技術で多くの疾患に対応し、「可能な限り当院で完結したい」と話す今井院長にその理由を聞いた。
(取材日2024年7月11日/情報更新日2024年8月16日)
地域で完結できる治療を担うクリニックに
どういった患者さんが多くいらっしゃいますか?

小児からご高齢の方まで幅広くいらっしゃいます。手術にも対応しているので、白内障を患うご高齢の方も多いですし、弱視や斜視で受診する方も少なくありません。近年は小学校低学年のお子さんも増えてきました。現代のお子さんは授業でもタブレットを使用するなど、昔と生活スタイルが変わっているので、近視が進みやすい環境下にあるといえます。近視治療には当院も力を入れているところです。
検査や手術設備も充実していますね。
はい。できるだけ幅広く疾患を診られるように、設備にはこだわっています。例えば、目の血管を検査する場合、造影剤を使用しなくてもある程度の情報を得られる機器があるので、患者さんの状態によって造影剤検査と使い分けています。治療においては2種類のタイプが異なるレーザーを活用中です。白内障の術後に生じる後発白内障という疾患に用いるレーザーと網膜に穴が開いてしまう網膜裂孔を治療するために用いる別のタイプのレーザーです。設備次第で診断や治療で有用な手段が生まれやすいため、医療機器は常にアップデートが必要です。医療の進歩に並行して機器も進化していくので、可能な限り当院でも先進のものを導入したいと考えています。
設備を整えて、幅広い疾患に対応する理由は何でしょうか。

当院で完結できる治療は、できるだけ診たいと思っています。大学病院で培った経験と先進の設備を整えることで大学病院などの大きな病院に受診しなくても地元で治療できる環境を整えています。患者さんは遠方の大学病院などに通院するのは大変です。治療を行う患者さん本人はもちろんですが、付き添いのご家族の負担も少なくありません。そうした状況を見て、自宅近くで治療できる環境の必要性を実感しました。自宅近くであっても、例えば術後数日間は連日通院しなければならないなど、患者さんへの負担は生じます。しかし、遠方に通うことに比べれば、多少は負担軽減につながるでしょう。そうした考えのもと、当院で対応できる検査や治療の幅を広げるためにさまざまな機器を導入しています。
先進の設備で、手術や近視治療に注力
手術を希望される患者が多いそうですね。

そうですね。毎年数多くの手術を担当し、手術日を増やすなどして対応している状況です。特に多いのは白内障手術ですが、クリニック規模では珍しい硝子体手術にも対応しているのが当院の特徴です。白内障とは目の中の水晶体が濁る病気で、原因のほとんどは加齢によるものです。手術を受ける方の大半は70代からですね。ただし、高齢者だけがかかるものではなく、糖尿病やアトピー性皮膚炎の合併症として発症するケースもあります。水晶体はレンズの役割をするので、濁ると視界が全体的にかすんだり、視力が低下したりします。自動車の運転免許更新に際して、視力低下が心配になり検査をしたところ、白内障がわかるケースも珍しくありません。視界がかすんで見えるようになったり、ものが2重に見えるようになったりしたら、検査を受けることをお勧めします。
白内障手術とはどういったものでしょうか。
白内障の手術は、局所麻酔で行います。超音波を使って白く濁った水晶体を除去し、水晶体の代わりとなる眼内レンズを挿入して終了です。挿入するレンズの種類によっては、近視の改善が見込めることもあります。手術中は痛みはほとんどなく、手術時間はわずか10分程度です。ただし、手術前後の準備もあるため、患者さんには2時間ちょっとお時間をいただいています。手術を待つ患者さんはとても緊張するので、手術室が直接的に目に入らないよう待合室は天井を高く取り、大きな植物を多く配置するなど、リラックスできる空間となるように心がけました。また、手術に関して詳細に書かれたオリジナルのリーフレットを用いて、丁寧な説明も行います。術前、術後の生活や経過について事前に知っておくことも、不安を和らげることにつながりますから。
近年増えているという低年齢の近視は、どういった問題がありますか?

低年齢で近視が進行すると、20~30年後の大人になった時に発症リスクが高まるとされる病気がいくつかあります。緑内障や網膜剥離、白内障が進行しやすくなるなどです。また、強度近視による黄斑変性症といった、失明の危険がある病気を発症するリスクも高まると考えられています。これらの病気のリスクを抑えるには、近視の対策を進めることが重要です。当院では、自由診療ではありますがオルソケラトロジーを採用しています。オルソケラトロジーとは、就寝時にレンズを装着することで近視の矯正を図る治療法です。日中は裸眼で過ごすことが望めるので、レンズ装着による不快感も少なく、お子さんも取り入れやすい治療法でしょう。小児の近視については、スタッフも積極的に勉強してくれていて、案内のリーフレットや二次元バーコードで情報を読み取れる仕組みもつくってくれています。お子さまの近視で不安な保護者の方は、ご相談ください。
より受診しやすい環境づくりをめざす
先生は大学病院でも勤務されていたと伺いました。

大学病院で16年ほど勤務しました。病院勤務を行いながら大学院に進み、研究も行っていた時期もあります。大学院での研究と診療を並行して行っていた時は、体力的にも精神的にもきつかったですね。ただ、その時の経験があるので、多少つらいことがあっても乗り越えられるタフさが身についたと思います。大学院では加齢黄斑変性症について、アメリカの大学と共同で研究を行うなどしました。今でもときどき大学に顔を出すのですが、とてもいい刺激をもらいます。医局で後輩が行っている研究などを見せてもらうと、勉強にもなりますし自分も頑張ろうという気持ちになりますね。開業すると新しい情報にふれる機会が減るので、自分から積極的に情報を取りに行くことが必要です。できるだけ先進の情報を取り入れ、当院の治療に生かしていきたいと思います。
患者さんと接する際に心がけていることはどういったことですか?
堅苦しくならないように、ということでしょうか。医師と対面すると、構えたり遠慮したりする方もいらっしゃるので、できるだけ話しやすい雰囲気になるように、話し方や態度に気をつけています。患者さんの数が多いので、すべての方にご満足いただくのは難しいことです。ですが、ときどき患者さんから感謝の言葉をいただくことがあり、そうした声がスタッフ全員の励みとなっています。超高齢社会になって、これまでは手術を考えなかったような年齢の方も、手術を受けるようになっています。人が得る情報の約80%は目から得ているといわれているので、いくつになっても見えやすく導くことは非常に重要です。手術後の患者さんが、にこにことして外来診療にいらっしゃったら、こちらもうれしくなりますね。
今後の展望についてお聞かせください。

これまで同様、当院で行える治療は当院で完結できるよう努めたいと思います。そのために機器の見直しを随時行い、いいものは積極的に取り入れることを継続していく予定です。患者さんやそのご家族が、遠方の大きな病院に通う負担の軽減に、少しでもお役に立てればと思います。他方、当院のような地域医療が役割を果たすことで、大きな病院の負担減にもなるでしょう。高度医療を必要とする患者さんが、専門の病院でスムーズに医療を受けられる体制づくりに貢献できれば幸いです。今後は、外来診療の対応数や手術数を少しでも増やして、より多くの患者さんを治療できるようにしていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは【オルソケラトロジー】
トライアル費用兼適応検査費用/両目1万1000円、片目7700円
月額費用/両目8800円、片目5500円(レンズ使用料、定期検査費用が含まれる。)