菊地 崇 院長の独自取材記事
新八柱整形外科内科
(松戸市/八柱駅)
最終更新日:2024/09/17
松戸市常盤平陣屋前、県道51号沿いに立つ「新八柱整形外科内科」は整形外科とリハビリテーションを中心に内科診療も行う地域に密着したクリニック。1階にある外来診療用のリハビリ室に加え、2階にも広いリハビリ室を備え、運動指導や介護サービスにも対応している。院長の菊地崇先生は、地域に元気な高齢者を増やしていきたいとの思いで、日々、患者に寄り添いながら診察している。同院のスタッフも患者に対して目配り気配りを欠かさず、例えば迎えのタクシーまで付き添ったり、会計の自動精算を手伝ったりしている。「当院のスタッフは優しいとよく言われます。特に何か指導したわけではないんですよ」と穏やかな笑顔で話す菊地院長。そんな菊地院長にクリニックの特徴や診療への思いなどについて聞いた。
(取材日2024年7月24日)
充実したリハビリに加えて、運動指導にも注力
先生が継承・開業されて13年がたちますね。
当院は1989年に開業して以来、整形外科と内科の診療を行ってきました。2011年に私が継承し院長に就任しましたが、その前に週1回勤務していた時期があり、その際、地域の中で患者さんを診ていくことに自分なりのやりがいや楽しみを感じました。それで、このクリニックを引き継いで、より地域の方々のニーズに応えられるよう努めてきました。以前のクリニックが手狭で段差などもありましたので、2020年にここに移転リニューアルし、患者さんがより快適に治療やリハビリを受けられるよう環境を整えました。1階には外来診療用のリハビリ室、2階にもデイケア用の広いリハビリ室があり、エレベーターも設置しています。
そのリハビリはとても充実していると聞きました。
当院では運動器リハビリと脳血管リハビリを提供しています。それぞれ専門の理学療法士や作業療法士が患者さん一人ひとりに合わせたメニューを考えています。リハビリは担当制で、治療期間中は担当者が責任を持って対応しています。運動器リハビリや脳血管リハビリは、受けられる上限日数が決まっているのですが、その後のフォローとしてデイケアのリハビリや疾病予防運動施設でのサービスなども提供しています。デイケアは、要介護・要支援認定を受けた患者さんが対象で、医学的管理のもと心身の回復を図ります。要支援の患者さんは要介護にならないよう、また、要介護の方は介護レベルが上がらないようにすることが大きな目的で、より元気で長生きできる体づくりをめざしています。
疾病予防運動施設でのサービスはどのようなものですか。
医療法に基づいて疾病予防のために生活習慣病やその予備軍の方などに運動指導を行うもので、デイケアが休みの日や空き時間を利用して行っています。健康運動指導士や理学療法士などによる医学的な管理のもとで運動しますので、生活習慣病の改善のために運動が必要だけれど一人で体を動かすのは不安などと思われている方でも、安心して運動に取り組めると思います。最近では40代でもロコモティブシンドロームになる方が増えています。ロコモティブシンドロームは運動機能が低下した状態で、内臓肥満型の肥満や生活習慣病とも深く関わっています。ロコモティブシンドロームに陥らないためにも、地域の方々にはぜひこの施設を活用していただきたいですね。
スタッフで全員で情報共有、チームで患者を支える
最近の新しい取り組みや力を入れていることを教えてください。
最近では交通事故や労災事故でケガをした方なども積極的に受け入れています。そのような方々は接骨院に行かれるケースが多いですが、場合によっては後遺症や障害が出ることも考えられます。接骨院を否定するわけではありませんが、できれば整形外科を受診して医師による診断のもと医学的根拠に基づいた治療を受けたほうが良いと、私は思います。また、骨粗しょう症の診断や治療にも力を入れています。骨折しやすい腰椎と大腿骨の骨密度を調べるためのDEXA法の検査機器を導入し、従来よりも精密な検査・診断をしています。さらに当院では疾病予防運動施設の新しいサービスとして体組成計による筋肉量・体脂肪量の測定、柔軟性やバランス能力などの運動機能測定などの結果から個人に合わせた運動内容の紹介や指導を行っています。最近、歩くのが遅くなった、少しの階段でも疲れるなどという方はぜひ一度受けていただきたいですね。
こちらはスタッフさんも多く、患者さんに優しく接する姿が見受けられました。
当院のスタッフは自主的によく動いてくれて優秀な人ばかりだと思います。患者さんからも優しいとよく言われます。特に何か指導・教育したわけではないのですが。理学療法士はじめリハビリのスタッフとは随時カンファレンスを開いているほか、責任者会議やスタッフ全員のミーティングなどを開いて情報共有しています。やはりスタッフとの情報共有がとても重要で、医師、理学療法士、作業療法士、看護師、クラーク、リハビリアシスタントなどスタッフ全員がチームで患者さんを診ていくことを重視しています。スタッフ同士も風通しが良く、仲が良いと思います。スタッフ同士が良い関係でないと、患者さんはすぐに気づきますから。志の高いスタッフも多く勉強会や研究会にもよく参加しています。また、医療や介護の人材育成にも取り組んでいて、医療事務員や理学療法士の実習受け入れなども行っています。
診療の際、どんなことを大切にしていますか。
患者さんの話をよく聞くことです。患者さんが一番困っていることや悩んでいることを丁寧に聞き取るようにしています。継承・開業して10年以上たちますから、患者さんの中にはご家庭の事情などがある程度わかっている方もいて、その方の背景なども考慮しながらお話ししています。患者さんお一人お一人診察してきた中で、自分自身、いろいろなことを勉強することができ、人間的にも成長できたのではないかなと感じています。
これからも地域に元気な高齢者を増やすことをめざして
先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
私の家は代々医師で、母方の曽祖父が現在の福島県いわき市で内科医院を開業していました。曽祖父ですから明治時代の頃でしょうか。以降、祖父、父、そして親戚も医師ばかり。そんな環境で育ちましたので、医師になるのはごく自然の流れでした。子どもの頃から祖母に「将来は医者にならならきゃ駄目よ」とずっと言われ続けていましたね。整形外科の医師になったのは、祖母の影響が大きいと思います。祖母はいわき市で病院を経営していたのですが、1970年代後半頃、これからは高齢者医療が重要であるとの考えから、当時はまだ数少なかった高齢者介護施設をつくったのですね。そんな祖母の姿を見て、高齢者医療の中でもリハビリテーションや整形外科の必要性が高いのではないかと思ったのです。
ご経歴を拝見しますと最初は内科からスタートしていますね。
はい。整形外科の診療を行うにしても、まずは体全体を診られることが大切だと思い、大学卒業後、東京都立広尾病院の内科で勤務しました。その後、他の病院の麻酔科に勤務していたのですが、ある時、いわき市で整形外科の開業医をしていた叔父が病気で倒れてしまい手伝ってくれないかと相談されました。そこで本格的に整形外科を勉強し、その後国立障害者リハビリテーションセンターや介護老人保健施設ジェロントピア菊華などに勤務しました。最初に研修した東京都立駒込病院で、脊椎損傷の手術を受けた患者さんがリハビリを行っている姿を目の当たりにして、とても感動したことを覚えています。整形外科疾患は治療できる病気であり、整形外科の医師は患者さんの元気を取り戻すための仕事なのだと思い、自分に合っていると感じました。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
何か体に不調を感じたら、我慢したり一人で抱え込んだりせずに、気軽に相談に来てください。最近は20代でも首痛や肩凝りを訴える方も多く、放置しておくと他の部位にも影響が出てきます。骨粗しょう症も早期に診断して、適切な治療を受けることが重要ですので、ぜひ検査を受けていただきたいと思います。要介護や要支援の軽度の方は重度にならないよう通所リハビリなどもぜひ利用してほしいですね。このようなリハビリやデイケアサービスなどを通じて、将来寝たきりにならないような元気な高齢者を地域にもっと増やしていきたいと思います。