生理前の便秘の悩みを
消化器内科・肛門科・婦人科の観点から診療
幕張ももの木クリニック
(千葉市花見川区/幕張駅)
最終更新日:2023/07/13


- 保険診療
周期的にやってくる生理に伴い、月経前症候群(PMS)でつらい思いをしている女性は多い。その中で、便秘やその解消法でひっそり悩んでいる人も決して少なくないという。生理と便通異常には関連性があるものの「そのヒントになかなか出会えず、皆さん苦しんでいるんです」と、「幕張ももの木クリニック」で消化器内科と肛門外科を担当する武藤頼彦副院長は話す。複数の診療科がそろう同院では、おなかからお尻まで、骨盤周りを得意とする武藤副院長が専門家の立場から診察。婦人科を担当する妻ともシームレスに連携しながら、デリケートな領域においてこまやかなサポートを行う。複合的な要因が絡む「生理」と「便通」に対し、同院ではどのように診療を進めていくのか、患者との関わり方も含めて武藤副院長に聞いた。
(取材日2023年6月14日)
目次
毎月の便秘に薬を使う場合はクリニックで服薬管理を。痔や腹痛、骨盤周辺のトラブルもトータルに診療
- Q生理前の便通異常はなぜ起きるのでしょうか?
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A
▲同院で消化器内科と肛門外科を担当する武藤副院長
生理前の便通異常には黄体ホルモンが関係しています。生理の10日から1週間前になると黄体ホルモンが上昇し、腸の動きが鈍くなるため期間中は便秘になりやすいんです。そして生理が始まると、分泌量が元に戻って便通異常は解消されていきます。また、黄体ホルモンは妊娠後期になると増えていき、おなかの張りによる物理的な理由も相まって便通障害が起きるケースもあります。中には市販薬でなんとかしようとする方もいますが、便秘のメカニズムがわからないまま同じ薬を飲み続けても適切な排便管理は難しいでしょう。月経前症候群(PMS)のタイミングで便通が乱れてしまい、便秘や下痢に長く悩んでいるという方は多いですね。
- Q放置するとどんなリスクがありますか?
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A
▲便秘によるつらい思いをしている人は少なくないという
便秘で硬くなった便によってお尻が切れると、切れ痔になる可能性があります。切れ痔になると肛門が徐々に狭くなったり排便の度に出血して痛みが出たりして、密かにつらい思いをしている方は少なくありません。また、便秘でいきむことによるイボ痔のリスクも挙げられますね。これらは大腸がんなどの消化器がんを引き起こす心配はないものの、日常におけるQOL(生活の質)は大きく低下します。また、便通異常にはPMSのほか月経困難症なども関係しており、毎月一定の時期に骨盤周りのトラブルでお困りの方は多くいらっしゃいます。対して当院では、消化器内科と肛門科の医師である私と婦人科医師の妻が連携して患者さんをサポートしています。
- Q生理前の便通異常は何科を受診すればいいのでしょうか?
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A
▲多数の診療科がそろっているからこそ、受診メリットは多い
生理が重い人はPMSによる便通異常に関連してさまざまな月経トラブルが生じやすいため、ファーストタッチが婦人科のケースは多いです。しかし当院では診療科間で情報を密に共有していますので、どの診療科を受診しても問題ありません。多数の診療科がそろっているからこそ、必要に応じて複数の医師による同時診察も可能です。特につらい症状を基準にお越しください。加えて診察時は、婦人科で採血や黄体ホルモン検査、超音波検査を行う一方、消化器内科で大腸内視鏡検査を実施することも。その際は、鎮静剤を用いた負担の少ない検査を心がけるほか、骨盤の底の筋肉が痛む肛門挙筋症候群も総合的に診ています。
- Qこちらのクリニックではどのように治療を行うのでしょうか?
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A
▲患者の病気への理解を深めながら、患者の気持ちに寄り添う
治療は服薬による排便管理が中心になります。市販薬の使用も勧めていますが、薬の種類は豊富で特徴を生かした飲み方・使い方もありますので、クリニックでの説明と管理が不可欠と考えています。当院では婦人科で患者さんと医師がよく話し合った上で治療方針を決定し、肛門外科でそれに合わせた薬を出しています。PMSによる便通異常は、基本的には治さないといけない病気ではありませんが、QOLには非常に密接に影響する状態です。便秘とPMSなどの話をして患者さんの理解を深めながら「生理が終わるまでどうしようか」と都度相談し、気持ちに寄り添っています。
- Q患者さんと接する際に大切にしていることは何ですか?
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A
▲さまざまな観点から生理や便通の悩みをフォローしている
突然お尻を見られることに抵抗がある方も多いので、段階を踏んだコミュニケーションを大切にしています。診察前にお話して意思疎通を図り、診察時はモニターでカメラの画像をお見せしながら丁寧な説明を心がけていますね。あとは不安の払拭のため、看護師に私よりも患者さんに近い位置にいてもらっています。そして診察が終わって初めて排便管理の話をします。そこで患者さん自身が「生理前は便が硬くなるな」と気づけば、私たちの話も耳に入りやすくなるでしょう。長期管理において重要なのは、ご本人が納得し、治療効果を実感し継続していただくこと。治療内容についても「薬の量や種類を一緒に探していきましょう」と最初にお伝えしています。