登坂 英明 院長、登坂 憲吾 先生の独自取材記事
登坂医院
(さいたま市浦和区/北浦和駅)
最終更新日:2026/08/12
1932年より地域医療に貢献してきた「登坂医院」は、北浦和駅から徒歩2分、商店街のビルの3階に位置する。同院では3代目の登坂英明院長と、息子で循環器内科が専門の登坂憲吾先生が患者の健康寿命を延ばすことを主眼とした診療を行っている。診療内容は一般内科と循環器内科。物忘れの診療も行い、認知症治療に力を入れている。「地域の人にはいつまでも健康で生活してほしい」と語る2人に、開業以来掲げ続けている理念や今後の目標について話を聞いた。
(取材日2026年6月30日)
地域の健康寿命延伸に走り続けてもうすぐ100年
この地で開業されて93年目だそうですね。

【英明院長】当院は1932年に祖父が浦和で開業し、1936年に現在の場所に移転しました。外科の医師だった父が院長の時代は、けん引などのリハビリテーションも行っていました。当時はできるだけ当院で治療を完結するために入院設備を備えており、患者さんが来れば夜間や休日も診療を行っていました。現在はリハビリテーションは行っていませんが、憲吾先生が循環器内科専門のため、内科とともに循環器内科の診療に力を入れています。
【憲吾先生】現在は岩手医科大学附属病院の循環器内科で勤務しながら、当院でも週に2回程診療を行っています。大学病院ではカテーテル治療を行っていますが、日々の治療で思うことは、悪化する前に何らかの対応ができなかったのかということです。当院は地域に密着したクリニックなので、常に悪化する前に対応していけたらと思っています。
患者さんの主訴や注力されている診療を教えてください。
【英明院長】ご高齢の患者さんが多く、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を筆頭に、フレイルや認知症の方が多いですね。整形外科の疾患をお持ちの方も多いのですが、当院は整形外科の医療機関と連携し、必要に応じてご紹介を行っています。また、高齢のため通院困難になった患者さんの往診や訪問診療も行っています。過去には16年間訪問した患者さんもいらっしゃいましたね。現在は以前ほど件数は多くはありませんが、訪問診療も大切にしています。さらに、物忘れの専門的な診療にも力を入れています。物忘れは認知症の治療の必要があるか、年齢のせいとしていいかの判断が必要となります。ご本人やご家族の方に気になることがあれば、早めに相談に来てほしいですね。
認知症の場合の周囲の対応を教えてください。

【英明院長】認知症の初期患者さんは不安を強く感じているため、物の置き忘れなどがあっても、ご家族や周囲の人は叱責しないでほしいですね。患者さんは失敗を強く指摘されると不安が高まり、その不安を別のものに転嫁してしまうことがあります。「怒り」の感情に転嫁する例も多く、「家族が盗んだのではないか」と興奮することもあります。また周囲が「いつものことだから」と相手にしないのもご本人の不安をあおります。ご家族には「一緒に探そう」と、患者さんの身になって優しく対応してほしいと思います。診察では患者さんのご家族からお話を伺う時間も設けています。ご本人の前では話しにくいことや、患者さんの言動や行動で気になることがあれば何でもご相談ください。
病気の芽を摘み、長く健康でいられるように
院長は浦和医師会での活動にも尽力されてきました。

【英明院長】地域で常に求められているのは、高齢者などの在宅医療です。浦和医師会では1995年、患者さんに医療、介護をつなげることを目的に「24時間在宅の会」を開始しました。その活動内容を日本医師会に報告し続けたことは、現在の日本の在宅医療の素地になっていると思います。現在は「浦宅会」として、医療・介護・福祉との連携が密になるよう活動しています。地域医療に関わる立場として、2019年の台風被害の際には災害時の医療体制の重要性を痛感いたしました。コロナ禍では、浦和医師会館でのワクチン接種や休日急患診療所でのPCR検査体制の整備に携わりました。こうした経験を通じて常に考えてきたのは、「今、地域の皆さまのために何ができるのか」ということです。その後も地域医療全般に携わりながら、地域の医療体制や医療課題と向き合い、地域医療の充実に取り組んできました。
クリニックの診療理念と、地域医療で大切にしていることは何ですか?
【英明院長】患者さんの身になって考えることを大切にしています。診療では病気だけでなく、ご家族のことなどさまざまなお悩みを打ち明けてくださることもあります。そのお気持ちを大切に受け止め、折に触れお尋ねするようにしています。そういった積み重ねも患者さんとの信頼関係につながっているとうれしいですね。地域のかかりつけ医として重要な使命は、患者さんの健康寿命を延ばすことです。悪化して手術にならないよう、小さな病気の芽を摘むことが大切です。早く発見できれば多くの対処法が考えられるので、異変を感じたらすぐに相談に来てほしいですね。また、かかりつけ医には地域の医療機関に詳しい医師を選ぶことをお勧めします。そうすれば必要な際には患者さんを適切な医療機関に結びつけてくれます。当院も長くこの地で診療しており地域医療には詳しいので、何でも相談してください。
憲吾先生の考える地域医療をお聞かせください。

【憲吾先生】院長と同じく、健康寿命を延ばすことが一番重要と考えています。大学病院では病に倒れてしまった人の治療を主に行いますが、そうなる前に地域のクリニックで早期発見し治療をすることがその後の人生を大きく変えると思います。高齢の方が住み慣れた地域で生活を続けられるよう支援すること、また働き盛りの世代の健康管理をサポートすることを大切にしています。若い人は健康診断に行かなかったり、要受診の検査結果が出ても病院に行かない人も多いのですが、放置したことで大変な思いをされる方を大学病院で目の当たりにしています。当院ではその経験を診療に生かし、患者さんが長く健康でいられるよう尽力したいと思っています。
患者第一の理念を代替わりしても受け継いでいく
憲吾先生のご経歴を教えてください。

【憲吾先生】物心ついた時には2代目院長だった祖父は闘病中で、3代目である父がすでに院長に就任していました。今の私くらいの年齢だったので、父は大変だったと思います。私が中学生の時には祖母が心疾患で亡くなりました。それがきっかけで、医師になり救急に関わる科に進みたいという思いが固まりました。東日本大震災の起こった2011年に岩手医科大学に進学したのですが、震災が起こった場所で何かできることはないかと思ったことが進学先を決めた理由です。卒業後は同大学付属病院の循環器内科に入局し、現在に至ります。当院では私が勤務年数が浅いので自分のやり方や意見などをスタッフに伝え、フィードバックしてもらっています。スタッフには地域のルールや患者さんの情報など、いろいろなことを教えてもらえて助かっています。
今後の展望をお聞かせください。
【憲吾先生】当院の歴史と地域の皆さまとの信頼関係を大切にしながら、時代の変化や地域のニーズに合わせた新しい医療の提供をめざしています。お子さんからご高齢の方まで幅広い世代の健康を支え、特に働く世代の健康管理や生活習慣病、心血管疾患の予防に取り組んでまいります。受診しやすい環境づくりの一環として、オンライン診療の導入を予定しているほか、健診結果について気軽に相談できる外来を設け、病気の早期発見・早期治療につなげたいと考えています。
さらに、同じビルで歯科医院を開いている兄との医科歯科連携も強化していく予定です。それぞれの専門性を生かしながら連携することで、治療だけでなく「病気を予防する医療」を実践し、地域の皆さまの健康を多角的にサポートしていきたいと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。

【英明院長】今後は憲吾先生が循環器と内科をどんどん担当していくと思うので、よろしくお願いします。
【憲吾先生】専門が循環器なので、循環器領域でお困りの方は当院で専門的な診療を行いますので、ぜひ頼ってほしいと思います。当院は患者さんのことを第一に考える診療を行ってきたのが特徴です。その姿勢を受け継ぎ、どんな些細なことでも気軽に相談できるクリニックでありたいと思っています。また、他院ではこんなことを行っているが、この医院でもやってもらえるかなどの意見も遠慮なく言ってもらえるとうれしいですね。今後も地域の方々の健康寿命を延ばすため、院長ともども邁進してまいります。

