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悳 武人 院長の独自取材記事

イサオクリニック

(さいたま市浦和区/北浦和駅)

最終更新日:2025/11/14

悳武人院長 イサオクリニック main

北浦和駅西口から徒歩約1分のビルにある「イサオクリニック」が開業したのは、1987年のこと。当時はまだ「メンタルクリニック」という言葉も一般的ではなく、精神科に通うことへの偏見も強かった時代だという。そんな中、初代院長である悳智彦先生は、50年にわたり精神科医療に従事。多くの著書を通じて、心の医療への理解を広めてきた。息子である悳武人先生に院長職を引き継いだ後も、週1回診療を続け、長く付き合いのある患者からの信頼も厚い。そんな智彦前院長の背中を見て育ち、志を引き継いだ武人院長。患者の気持ちに静かに寄り添いつつ、時代に合わせた医療の提供をめざす同院の取り組みなどについて語ってもらった。

(取材日2025年10月16日)

開業から38年、父から受け継いだ理念を軸に

医師をめざした理由についてお聞かせください。

悳武人院長 イサオクリニック1

父が医師で、医療の仕事が身近にあったことは大前提ですが、私にとっての原点は「死ぬことへの恐怖」でした。幼稚園の頃、強い不安に包まれ、夜眠れなくなった経験があります。けれど同時に思ったのです。――死を避けられないのに、なぜ人は生きるのだろう、と。その不思議さが恐怖の奥で、静かに私を惹きつけました。思春期には、この問いは単なる思索から、切実な問いへと変わっていきました。やがて気づいたのは、人が最も真摯になり、最も脆弱になる瞬間――それは心や体が不調に陥った時だということです。そこでこそ「なぜ生きるのか」という問いが、単なる思索ではなく、切実な実感として浮かび上がるのです。その瞬間に寄り添いたい、その問いを一緒に抱えたいという想いが、医療という道へ私を導きました。特に精神科を志したのは、ここにおいて「死」「苦しみ」「なぜ生きるのか」という問いが最も直接的に浮かび上がる領域だからです。

2009年頃から、こちらで働かれるようになったそうですね。

はい、医学部卒業後、獨協医科大学病院に入局し、博士課程を経て精神科医としての道を歩み始めました。栃木県内の複数の病院で研鑽を積み、2009年に父の仕事を手伝うかたちで当院に加わりました。2017年に院長を、2025年に理事長の職を引き継ぎ、今に至ります。父は50年以上にわたり精神科医療に携わり、多くの方の心に寄り添ってきた人です。開業の際も「精神科に通うことを知られたくない」という患者さんの気持ちを尊重し、あえて目立たない場所を選んだと聞いています。同時に「心の不調は誰にでも起こり得ることであり、恥ずかしいことではない」という思いを、ずっと発信し続けていました。その考えは、今の私にも変わらず受け継がれています。そして現代に合ったかたちで、その思いを実践していきたいと考えています。

こちらではどのような診療を行っているのでしょうか?

悳武人院長 イサオクリニック2

当院は精神科・心療内科として、心や体の不調を感じる方々の診療を行っています。精神科ではうつ病・不安障害・統合失調症・双極性障害などを、心療内科では心身症など、心理的要因が関係する症状に対応しています。「頭痛や動悸がひどくて」と受診された方が、検査では異常がなく、実はストレスや不安が原因だった――そんなケースも少なくありません。心の問題か体の問題かを、自分で判断するのは難しいものです。だからこそ「少しおかしいな」と思ったときに気軽に相談できる場所でありたいと考えています。

社会的要因も多い「心の病気」だからこその向き合い方

今と昔では、通院される方の理由も変わってきていますか?

悳武人院長 イサオクリニック3

精神医学は、生物心理・社会との関わりの中で大きく変化する分野です。当然、時代の変化とともに、病気の内容も変わってきます。例えば近年増えている発達障害についても、少し前まではそれほど多くの相談があったわけではありません。また、高齢者の親が中年の子どもを支えるといういわゆる「8050問題」で相談に訪れる患者さんも増えました。人によってストレスの感じ方が異なり、症状もさまざまだからこそ、常に学び続け、情報を更新していくことが大切です。患者さんには、眠れない・気分が落ち込むといった症状を感じたときだけでなく、普段と違うちょっとした変化でも来院してほしいです。精神科というとハードルが高く感じるかもしれませんが、体調不良で医療機関に行くのと同じように、心の不調を相談できる場所です。早めの治療が、悪化を防ぐ鍵になることも多いのです。

診療にあたり、重視していることを教えてください。

診療で最も大切にしているのは、患者さんの話をしっかり聞くことです。言葉にできることも、しにくいこともあります。沈黙が続いても急かさず、その時間ごと受け止める。そこからようやく、必要なケアが見えてきます。当院では医師も看護師も白衣を着ません。「病院に来た」ではなく「話を聞いてもらいに来た」と思ってもらえるような空間をめざしています。精神科の診断は数値で決まるものではなく、心の状態は環境や時間で変わります。病名も治療の指針になる大切な情報ですが、それをゴールとせず、その人の不安や状況を理解することをより大切にしています。

医師だけではなく、チームで支える体制を取っていると伺いました。

悳武人院長 イサオクリニック4

当院では医師のほか、看護師・作業療法士・臨床心理士・精神保健福祉士・事務スタッフなどが連携して診療にあたっています。訪問看護では外出が難しい方のもとへ看護師と精神保健福祉士が一緒に伺い、デイケアではグループ活動を通して社会とのつながりを取り戻すお手伝いをしています。スタッフ同士の情報共有や意見交換を重ねることで、一人では気づけなかった視点が生まれることもあります。誰もが安心して声を出せる職場環境が、患者さんへのより良い支援につながっています。

時代に合わせた新しい診療を提案していく

地域自治体と連携を取りながら「暮らしやすさ」の提供を重視しているそうですね。

悳武人院長 イサオクリニック5

2014年に日本が障害者権利条約を批准して以来、精神疾患のある方々の自由や尊厳がより明確に保障されるようになりました。当院では「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」に基づき、地域の医療・福祉・介護・住まい・就労支援などと連携しながら、その人が自分らしく暮らせる社会づくりを支えています。めざしているのは、利益のための医療ではなく、「暮らしに寄り添い、明日へとつながる医療」。患者さんの安心、スタッフの生活、地域との調和。そのバランスを大切にしながら診療を続けていきたいと思っています。

AIなどの新しい技術については、どのようにお考えですか?

AIなどの新しい技術は、診療を支える大きな力になります。診療記録やデータ分析をAIが担うことで、私たちはより多くの時間を「人と向き合うこと」に使えます。ただ、AIは言葉の処理は得意でも、言葉の間にある感情や沈黙の気配までは読み取れません。精神科医療では、その「言葉にならない部分」こそが大切です。AIにはAIの役割を、人には人の責任を。技術を生かしながらも、最終的な判断は人が担う――それが私の基本姿勢です。

最後に、読者の方々へのメッセージをお願いします。

悳武人院長 イサオクリニック6

心の不調は、特別なことではありません。誰にでも起こり得ることです。「精神科に行くほどではない」と思っているうちに、症状が悪化してしまうこともあります。心が疲れたら、まずは話しに来てください。ここは、急がず、決めつけず、必要な医療を必要な分だけ丁寧に届ける場所です。困ったときは、どうぞ気軽に声をかけてくださいね。

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