木本 瑞穂 院長の独自取材記事
河野医院
(さいたま市北区/日進駅)
最終更新日:2026/09/10
さいたま市北区の閑静な住宅街にある「河野医院」は、1953年に開業して以来、70年以上にわたり地域の健康を見守ってきた診療所だ。祖父、父から続くこの医院を3代目として継承し、コロナ禍の2021年に本格的に診療を始めたのが木本瑞穂院長。継承前から勤務していたさいたま北部医療センターで現在も週1回糖尿病の診療を担当するなど、生活習慣病、特に糖尿病の診療に力を注ぐ。白と茶色を基調とした院内には穏やかな空気が漂い、地域に根づいた医院ならではの温かみが感じられる。「かかっていただいた患者さんは、なるべく最後まで診ていきたい」と実直に語る木本院長に、医院を受け継いだ思いや診療で大切にしていることを聞いた。
(取材日2026年7月24日)
祖父・父の背中を追って、3代目として医院を受け継ぐ
まずは、こちらの医院の成り立ちについて教えてください。

祖父が1953年頃にこの地で開業したのが始まりで、その後父が継ぎ、現在は私が3代目の院長として診療に携わっています。もともとはすぐ隣の場所に診療所があったのですが、建物が古くなったことから、2011年頃に現在の場所へ移転して新築しました。移転にあたっては、将来的に私が引き継ぐことを前提に間取りなどをより使いやすいように設計しました。私が本格的にこちらで診察を始めたのは2021年で、ちょうどコロナ禍の最中のことでした。現在も前院長である父は診療を続けておりますので、医師2人の体制で時間帯を分けながら診察を担当しています。いずれは私が完全に継承することになりますが、地域の方々に長く支えていただいてきた医院を、しっかりと守り続けていきたいと思っています。
先生が医師の道を選ばれた経緯を教えてください。
小学校2年生の時に、父がこちらの医院を継いだタイミングでこの地域に引っ越してきました。それ以来ずっとこの辺りで暮らしていて、自宅と診療所がほぼつながっているような環境で育ちました。診療時間外に時間があれば診療所を出入りすることもできましたので、祖父や父が患者さんと向き合う姿を間近で見てきたんですね。その背中を追いかけたいというのが、私が医師を志した出発点だったと思います。大学卒業後、自治医科大学さいたま医療センターを経て、さいたま北部医療センターの内科に勤務しました。ずっと埼玉近辺の病院で研鑽を積んできましたので、この地域の医療事情にもなじみがあり、その経験を当院の診療に生かしています。
こちらには、どのような患者さんが来院されていますか?

当院は内科と小児科を標榜しています。来院される方はご高齢の方が中心で、生活習慣病で長く通院されている方が多くいらっしゃいます。3代にわたって続いてきた医院ですので、ご家族ぐるみで世代を超えて通ってくださっている方もいらっしゃいます。最近は近隣に新しい住宅が建ち始めたこともあり、若い世代やお子さんの受診も少しずつ増えてきました。場所は住宅街の中にあり、最寄り駅からは距離がありますが、駐車場を備えていますので、お車や自転車で来院される方も多いですね。
生活習慣病は、症状が出る前の対応が大切
診療の中で、先生が特に専門とされている分野を教えてください。

自治医科大学さいたま医療センターで学んでいたのが糖尿病や内分泌の分野で、それが今の診療の土台になっています。大学病院時代は内分泌疾患全般も診ていましたが、現在はほとんど糖尿病を中心に診ています。今も週に1回、さいたま北部医療センターに非常勤で糖尿病の診療を担当しており、病院での診療経験を当院にも還元できるよう努めています。当院でも糖尿病をはじめ、高血圧や脂質代謝異常といった生活習慣病の患者さんが多く、そうした方々の日々の体調管理を担うのが私の大きな役割だと感じています。病院とクリニックの両方で診療していますので、患者さんの状況に応じた対応ができればと思っています。
生活習慣病の患者さんに対して、どのようなことを心がけていますか?
なるべく説明を丁寧にするよう心がけています。例えば検査の項目一つ一つについて、なぜ数値が悪くなったのかを患者さんとよくお話しし、思い当たるところがあれば「そこを直してみましょうか」とつなげるようにしています。少しでも悪い兆候が見られたら、状況をきちんとお伝えし、生活の中で変えられるところから変えていただきます。糖尿病をはじめ生活習慣病は、症状が出る前の対応がとても大切です。健康診断で異常を指摘された段階でぜひ受診していただきたいですし、重症化する前に介入していくことが大切だと考えています。
生活習慣病のほかには、どのような診療に対応されていますか?

風邪や発熱といった急な症状にも、初期対応という形で診ています。その際は待合のスペースを分けるようにして、ほかの患者さんとの接触をなるべく減らす工夫をしています。小児科としてはお子さんの予防接種も行っています。また、長年通院されていた方が通うことが難しくなった場合には、往診で対応させていただくこともあります。件数としては多くはありませんが、なるべくお受けするようにしています。ただ、病状によってはしっかりとした訪問診療が必要な場合もありますので、その際は専門の先生にご紹介します。腹痛などで外科的な対応が必要と思われるケースも、早めに適切な医療機関にご紹介しています。
気になる症状を一緒に考え、最後まで支えたい
地域のかかりつけ医として、どのような思いで診療されていますか?

かかっていただいた患者さん、特に生活習慣病で長年通院されている方は、なるべく最後まで診ていきたいと思っています。通っていただける間は、必要なときには適切な医療機関にご紹介しながら、継続して診ていけるといいなと。そう思うようになったきっかけの一つに、以前とある地域で継承せずに閉院された診療所があり、その患者さんが紹介状を持って当院にいらしたという話を聞いたことがあります。通い慣れた医院がなくなり行き場を失う方がいる現実を知り、自分の代でおしまいにしたくないという思いが強くなりました。だからこそ、できる限りではありますが祖父から続くこの医院を途絶えさせることなく、地域のかかりつけ医として患者さんを支え続けていきたいと考えています。
医師としてやりがいを感じるのはどのようなときですか?
治療を通じて生活習慣病のコントロールの改善が期待できると感じたときは、やっていて良かったなと素直に感じます。患者さんと一緒に取り組んでいけることは、やはりうれしいものですね。もう一つ印象に残っているのは、患者さんが長年悩んでいた症状の原因に気づくことができたときのことです。「なんでだろうね」と一緒に考えていく中で、実はこういう病気だったとわかったときには、医師としてのやりがいを感じます。そうした経験の一つ一つが、日々の診療を続ける原動力になっています。お休みの日はまだ子育て中ということもあって、子どもたちと過ごしたり、家族でちょっと出かけたりすることが多く、そうした何げない時間が私にとっての大切なリフレッシュになっています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

気になる症状があれば、一緒に考えて一緒に解決していけるといいなと思っています。私自身もまだまだ勉強が足りない部分はありますが、患者さんお一人お一人と向き合いながら、できることを一つずつ積み重ねていきたいと考えています。当院は予約制ではありませんので、基本的にはそのまま来院していただければ大丈夫です。ただし、発熱や風邪の症状がある場合は、事前にお電話をいただけると助かります。当院には高齢の患者さんが多く、待合のスペースにも限りがありますので、なるべく接触を避ける形で対応したいと思っています。お電話をいただければ、ほかの患者さんと重ならないよう調整いたしますので、ご協力いただけるとありがたいです。

