疾患でなく患者を診てふさわしい医療を決める
総合内科の診療とは
医療法人 けやき医院
(さいたま市西区/大宮駅)
最終更新日:2022/09/13


- 保険診療
現代、医療は以前に比べ進化しているため、専門分化された医療機関は、特定の分野、その臓器や疾患の治療・管理を高い専門性を持って行えるのがメリットだ。反面、これまでの病歴や患者の全身状態を見て、必要な医療、必要な薬を判断する総合力や連続性は生まれにくい。「けやき医院」の院長で日本内科学会総合内科専門医の資格を持つ川口里江子先生は、「高齢になって慢性疾患やいろいろな不調が多くなるほど、通院の負担も大きくなる傾向にある」と指摘し、疾患ではなく人を診る「総合内科」領域の診療に力を入れている。診療の内容や強みについて聞いた。
(取材日2022年8月6日)
目次
広く深い専門性で、多種多様な疾患に対応。生活背景まで踏まえたかかりつけ医ならではの総合診療
- Q総合内科の診療とは、どのようなものなのでしょう。
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A
▲日本内科学会総合内科専門医の資格を持つ川口里江子先生
診療科や疾患で選別せず、さまざまな症状を広く診て診断・治療を行います。ただ広く浅く診るのではなく、大病院や総合病院の外来と同等の専門性の担保をめざしているのが総合内科診療の特徴ですね。複数の慢性的な疾患を持っている方にはそれぞれの疾患に適した治療や薬物療法を行いますし、既往の疾患の経過を診たり、「なんとなく調子が悪いが、どこに行っていいかわからない」という方を診て診断をつけたりもします。状態に応じて、専門医療機関にかかるべきかどうかを見極めるのも総合内科の得意分野ですね。当院で診られる範囲を超えている、専門の医療機関に診てもらう必要があると判断すれば、すぐにふさわしい医療機関に紹介します。
- Qかなり広範な領域を診断・治療できる力が必要ですね。
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A
▲常に全身の状態に気を配り、適切な診断・治療をめざしている
私は日本内科学会総合内科専門医の資格を取得していますが、それ以上にこれまで積み重ねてきた経験や知識が総合的な診療の軸になっていると感じています。大学を卒業して内科で研鑽を積み、勤務医として働き、子育てをしながら順天堂大学膠原病内科の研究生としてリウマチといった膠原病の研究を行ってきました。リウマチといった膠原病も、糖尿病、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病も、全身性のさまざまな症状、疾患と関わってくる病気です。常に全身の状態に気を配り、適切な診断・治療を判断することを徹底してきたことが、今に生きているのではないでしょうか。
- Qリウマチなどの膠原病と消化器は特に強みがある分野なのですね。
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A
▲膠原病や消化器系の疾患に強みがある
リウマチといった膠原病の治療は、新しい薬剤の登場とともにめざましい進化を遂げています。外来診療を助けてくれている長男がこの分野を専門にしているので、お悩みの方の力になれると思いますよ。気になる症状があれば、きちんと診断しますので、お気軽にご相談いただきたいです。消化器内科は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓のすべての消化器が守備範囲。胃のもたれ、喉の違和感、便秘、下血といった症状に対応するほか、大腸がんや胃がんの手術後の経過観察なども行います。胃・大腸の内視鏡検査も行っていますので、予防から治療、さらには手術の症例によっては予後まで、お任せください。
- Q総合内科診療に重きを置かれている理由を教えていただけますか?
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A
▲患者自身を診ることで、患者の負担軽減を図っている
当院の患者さんは高齢の方が中心です。当然ながら、年齢が進めば疾病も増えますから、話を聞くと「曜日ごとに違う病院に通っている」とか、「大きな手術の経過は総合病院で、日常的な症状はここで診てもらっている」といった患者さんが少なくありません。もちろん、患者さんがそれを望んでいるなら良いのですが、通院に負担を感じている患者さんや、治療に連続性がないために症状が見落とされている患者さんも多いのです。疾患ではなく患者さん自身を診ることで、患者さんの通院や説明の負担を減らし、ふさわしい医療にふさわしいタイミングでつなげていきたいと思っています。
- Q予防医療にも力を入れておられるそうですね。
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A
▲処置室。予防医療にも注力している同院
超高齢社会に突入した今、病気になってから治療するのではなく、病気になる前の予防医療の重要性が増しています。症状の有無に関わらず健診を受けて健康を維持しましょう。当院では、市の健康診査をはじめ、後期高齢者人間ドック、胃がん・大腸がん検診などに対応しています。婦人科の範囲だと思われがちですが、実は18歳から39歳までの女性を対象とした「女性のヘルスチェック」も当院で受けられるんですよ。内科で女性のヘルスチェックを行うメリットは、貧血や肝機能の異常が見つかったとき、速やかに治療に移行できることです。定期的に受診して、大きな病気になる前にきちんとケアしていきましょう。