蓮見 謙司 院長の独自取材記事
蓮見ペインクリニック医院
(さいたま市北区/土呂駅)
最終更新日:2025/03/26

2024年12月に移転したばかりで、新しいながらも落ち着いた雰囲気の院内が優しく迎えてくれる「蓮見ペインクリニック医院」。蓮見謙司(はすみ・けんじ)院長が、長年の経験をもとにさまざまな治療法を駆使し、患者の痛みに真摯に向き合う。院内には蓮見院長の家族が制作したり、旅先で入手したりした絵画が飾られ、華やかさを添える。日本麻酔科学会麻酔科専門医および日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医であり、専門的な治療の提供に努める蓮見院長に、さまざまな話を聞いた。
(取材日2025年1月15日)
つらい痛みの改善をめざし、さまざまな方法を駆使
先月こちらに移転されたばかりとうかがいました。

以前は賃貸でしたが、自宅の隣に移ってきました。少しコンパクトになりましたが、動線を工夫したことで患者さんの動きもスムーズで、私たちにとっても効率的で使い勝手の良いクリニックになりました。以前と変わらず、院内のあらゆる場所に私の家族が描いた絵や旅先で求めたものなど、さまざまなテイストの絵画を飾っています。少しでも患者さんがリラックスしてくださると良いのですが。以前の場所からそんなに離れていないので、患者さん方は継続して通ってくださっています。
どんな疾患を扱っているのですか?
例えば腰痛、頭痛、肩凝り、腱鞘炎、腕や足の痛みなど、全身のさまざまな痛みが対象です。初診では具体的な痛みの内容を伺います。どんな痛みなのか、いつから痛いのか、どんなきっかけで痛み出したのかなどを細かく問診し、痛みの原因を診断していきます。ここで大切にしているのは、患者さんがどうしてほしいか、私たちに求めているものは何か、を丁寧にお聞きすることです。できる限り笑顔で接してコミュニケーションをとりたいと思っています。時には世間話などを交えることもあります。ご高齢の方は何らかの持病をお持ちの方も多いですから、丁寧にお話しします。
どんな患者さんが来院していますか?

やはり体の痛みを訴えるご高齢の方が多いですが、部活などのスポーツで何らかの痛みを感じた高校生などの若い方もよく来院されます。柔道、空手、ウエイトリフティングなど種目はさまざまですが、結構遠方からも来てくれています。お一人来院されるとクチコミで広がるのか、同じ学校の部活動の方が次々と来てくれたりします。私もマラソンをやっているので、スポーツをする子どもの気持ちはよくわかります。もうすぐ引退ならこの大会は出たいよな、とか。学生さんでもドーピングの問題などがあります。薬については、学生さんの代わりにこちらで気をつけるようにしています。また、時々はメンタルの相談を受けることもあるんですよ。
患者の思いをくみとり、寄り添った診療を
神経ブロック(伝達麻酔)療法に注力されていますね。

神経ブロック療法は、原因となる神経に局所麻酔をすることで痛みにアプローチします。麻酔というと手術の際などに使うイメージがあるかと思いますが、麻酔科の担う役割は大きく分けて3つあります。1つ目が手術における麻酔、2つ目が救急集中治療における麻酔で、これらの場合は局所麻酔や、痛みだけでなく意識を取り除くために全身麻酔を行うことがあります。そして3つ目がペインクリニックの外来で行うような麻酔です。この外来で行う麻酔処置として神経ブロック療法があります。痛みの原因に合わせた箇所に麻酔注射を打つことで、痛みの緩和をめざします。
注射が苦手な方もいらっしゃると思いますが。
最近の患者さんの多くは、主に注射を打つことをご存じで来院されますが、中にはよくご存じない方や、どうしても注射が苦手だという患者さんも当然いらっしゃいます。そんな場合は、何が何でも神経ブロック療法をお勧めするようなことはしません。当院では、星状神経節近傍照射療法という近赤外線照射を利用したケアも行っており、これは頭痛や肩凝り、腱鞘炎などの痛み、さらには抜歯後痛や舌痛症などのお口の症状など全身的な疾患に対応が可能。また、状況に応じて、痛みとうまく付き合う方法を考えていくこともあります。
患者さんが自分の要望を伝えることも大切なのですね。

私は「あるがまま」「置かれた場所で咲く」というマインドを大切にしています。世の中にはさまざまな考え方がありますので、患者さん自身ががどうしたいか、それが大切なのです。痛みというものは、ご本人以外誰も感じることはできません。そして多くの場合は目にも見えません。だからこそお悩みは深い。そのつらさをいかに理解して差し上げるか、それをいつも考えています。こちらの意見を一方的に押しつけるのではなく、現状を受け入れた上で、その患者さんにどのような治療が適しているのか?どういった治療の進め方を望まれているか?を見極めます。そのためにも患者さんには笑顔で接し、世間話なども交えつつコミュニケーションを図っています。お互いに笑顔でいることができれば、おのずと信頼関係も築けると思うのです。
治療を受けて喜ぶ患者の姿を見て、麻酔科医師の道へ
ペインクリニックを始められたきっかけは?

順天堂大学在学当時の麻酔科の教授が、早くからペインクリニックを始めた方でした。麻酔科の臨床実習を受けた際に、ぎっくり腰で歩くことも困難になった患者さんに教授が神経ブロック注射を打つところに立ち会いました。ペインクリニックに興味を持ったのはその時ですね。開業し30年以上、幼い頃から育った地域の皆さんに貢献したいという思いを強く持っています。近隣の小学校の学校医も担当していますが、今後も地域の皆さんのお役に立つ存在でありたいですね。
開業して良かったと感じる瞬間はどんな時ですか?
患者さん一人ひとりと向き合い親身になって診療する、それは勤務医時代と変わりません。しかし手術や研究なども行う勤務医時代に比べて、外来だけを行う開業医になり、より多くの患者さんの痛みを解消するためのお手伝いができるようになりました。患者さんに喜んでいただける、それが何よりのやりがいですね。また、クリニックを支えてくれているスタッフの存在にも日々感謝しています。長く勤務しているスタッフが多く、連携を取りながらスムーズに診療を行うことができています。そのスタッフとの関係性が、患者さんとより良い信頼関係を築けている大きな理由になっていると考えています。
先生は麻酔科専門医とペインクリニック専門医の資格をお持ちです。

麻酔科の仕事の中に手術麻酔、集中治療と並んでペインクリニックという仕事がありますが、私は麻酔科専門医とペインクリニック専門医の資格を併せ持つ医師です。痛みというのは体が発する危険信号。しっかり原因にアプローチすることが大切です。麻酔科の医師はさまざまな疾患の手術に携わるという経験から、幅広い科目の病気の知識を持ち併せています。だからこそ痛みの原因を見極め、適切な治療ができる科目へ患者さんを導くことが図れるのだと思います。信頼のおける医師をご紹介することもできますから、痛み以外でもどこの医師にかかったら良いかお悩みの方もご相談ください。
読者へのメッセージをお願いします。
例えば画像診断上、ヘルニアを患っていても、実際に出る痛みの症状と病気が一致しない場合があります。ヘルニアがあるのに痛みがない。そんな疾患と症状が一致しない患者さんが多くいらっしゃるように感じます。それは体ではなく脳や心が感じているつらさや苦しさが痛みとなって体に現れることがあるからとも考えられます。だからこそ痛みの原因を全身的に診ることが大切。当院では病気と一致する痛みはもちろん、心の問題から起きる痛み、生活習慣が要因の痛みなど、あらゆる痛みのお悩みにも応えられる診療を行いたいと思っています。さらに、知識や技術を常に上をめざすことで、患者さんにより良い医療をご提供していきたいと思っています。