大野 司 院長の独自取材記事
医療法人 大野整形外科
(桶川市/桶川駅)
最終更新日:2026/11/04
桶川駅東口からバスで約10分、国道17号坂田交差点のそばに「医療法人 大野整形外科」はある。広い敷地に建つ2階建ての建物で50台分の駐車場を備え、バリアフリーが行き届いた院内は整理整頓されすっきりとしている。院長の大野司先生は、北里大学卒業後、大学病院で骨軟部腫瘍を専門として17年間診療を担当、救命救急センターで後進の指導にも携わった経歴を持つ。その豊富な経験を携え、祖父の代から続く同院を受け継ぎ、その歴史は100年を超えた。穏やかな語り口の大野院長は「患者さんにとって最終的に良かったと思ってもらえる診療」を信条に、科学的根拠に基づく医療と患者一人ひとりの生き方に寄り添うバランスを大切にしているという。その診療哲学と地域医療への思いについて話を聞いた。
(取材日2026年10月6日)
地域の健康を支えて100年以上の歴史を持つ医院
まず、こちらの医院についてご紹介ください。

当院は、私の祖父の代から100年以上続く医院です。父が1922年生まれで、その父が生まれた頃にはすでに祖父が診療を行っていました。足腰が悪くてお困りの方を専門的に診る整形外科として、当時かなり先駆的な医院だったと聞いています。周辺にはほとんど医療機関がなく、遠方から板に乗せて運ばれてきた方もいたそうです。祖父が往診するときは人力車だったそうで、地域とともに歩んできた長い歴史があります。もともとは旧菖蒲町に医院を構えていましたが、その後現在地に移転しました。私がこの地域で診療を始めたのは30年前のことで、代々受け継いできた「地域住民の健康を支える」という役割を今も大切にしています。
先生のこれまでの歩みについてお聞かせください。
北里大学を卒業後、大学には17年ほど勤務しました。私の専門は骨軟部腫瘍という分野でした。数万人に1人という非常にまれな疾患なので、大学病院であっても専門の医師がいなくて対応できないこともある、そんな領域です。また救命救急センターを担当した時期には、重度の外傷患者さんの治療にも携わりました。病理学教室で学んだ経験もあり、今の総合的な診療に生かせていると思います。その後、骨軟部腫瘍の診療が専門病院に集約されていく流れの中で、自分のキャリアを見つめ直すタイミングが訪れました。同時に父も年齢を重ねていたので、医院の将来についても考える必要が出てきたのです。父としばらく一緒に診療した後、正式に医院を受け継ぎました。
この地域の特徴や来院される方について教えてください。

この辺りは閑静な住宅街で、車での移動が中心の地域です。来院される方は高齢の方が多く、主な相談は腰や膝の痛み、首や肩周辺の不調などですね。家族に車で送迎してもらって通院する方が多いので50台分の駐車場を備えています。国道17号の坂田交差点のすぐそばに位置しており、院内までバリアフリーに対応しています。近隣には新しい戸建ても増え、ファミリー層も暮らす地域なので、お子さんの来院もあります。埼玉県央病院や北里大学メディカルセンター、上尾中央総合病院、伊奈病院などとも連携を取りながら診療にあたっており、私が医院で診療するようになったこの30年を振り返ると、地域の皆さんの健康意識が徐々に高まっているように感じます。
医学的根拠に基づきつつ、一人ひとりに寄り添う診療を
診療において大切にされていることを教えてください。

教科書どおりには簡単に治療は進められない、これが地域で長年診療してきた私の実感です。持病の有無、家族のサポートの有無、生活背景などを把握した上でオーダーメイドの診療を心がけています。大切にしているのは、科学的根拠に基づくエビデンスベースの考え方と、その方の人生に寄り添うナラティブベースの考え方、このバランスです。例えば腰痛の治療にはしっかりしたコルセットが最適だとしても、きつくて着けていられないという方もいます。そんなときは無理なく使えるものに調整する判断も必要です。当院に来た当初は医学的にベストを尽くそうという気持ちが強かったのですが、年々、患者さんの生き方に寄り添う診療を意識するようになりました。以前、長年通われていた患者さんが亡くなられ、ご家族がわざわざあいさつに来てくださったことがあり、患者さんにとって最終的に良かったと思ってもらえる診療をめざしたいと改めて感じました。
診察で患者さんと向き合うとき、どのような工夫をされていますか?
診察ではまず主訴をしっかり伺いますが、一見雑談のような話にもその方の人となりが表れますので、話を遮らず聞くことを大切にしています。ちょっとしたケガであっても患者さんは心配や不安をお持ちですから、きちんと丁寧に説明することを心がけています。エックス線を撮った際、けがや病気がない場合でも「ここに老化の兆候がありますね」「骨がしっかりしていますね」と必ず所見をお伝えするようにしています。また、まずはお困りの痛みに対処してから詳しく調べるという対応を取ることもあります。整形外科疾患だけに目を向けていると他の病気を見落とすこともありますので、総合的に診る視点は欠かせません。例えば別のケガで来院された高齢の方にも、骨粗しょう症の検査をお勧めすることがあります。
リウマチの相談にはどのように対応されていますか?

リウマチの相談は多いです。リウマチらしき症状で来院されても、本当のリウマチなのか加齢の変化なのか見極める必要があります。リウマチはその病状にグラデーションがあり、重症に向かいそうか軽症で済みそうかの判断も大切です。実際には少しこわばる、腫れぼったいといった初期段階でのご相談が多く、この時点では診断が難しい場合もあります。そうしたときは経過を見守りながら、適時検査を重ねて腫れの変化を丁寧にフォローしていきます。大切なのはコミュニケーションを取り続けることです。途中で通院をやめてしまう方もいますから、不安を残さないよう心がけています。判断が難しい場合は北里大学メディカルセンターなどにご紹介します。診断がついて治療方針が定まれば当院に戻って診療を続けることもできます。
歩ける100歳をめざして、地域の健康を支え続ける
リハビリテーションや診療体制について教えてください。

当院では弟の大野弥先生と交代で診療にあたっています。またリハビリでは運動器に精通するスタッフが、広いリハビリスペースで患者さんお一人お一人の症状に合った内容を個別に行っています。リハビリは効果の感じ方に個人差がありますので、楽になるという方には頻繁に通っていただきますが、やりすぎると痛みが出てしまうような場合は適切な間隔を空けながら通ってもらいます。大切にしているのは、リハビリの効果がどうだったかを診察のたびに確認することです。やりっぱなしにせず、経過を振り返りながら進めます。スタッフは長年勤めている者が多く、安定した体制のもとで日々の診療を行えていることも当院の強みだと感じています。
地域での連携も大切にされていると伺いました。
桶川北本伊奈地区医師会と北足立郡市医師会に所属しています。地域の整形外科の先生方とはよく知った仲で、互いに切磋琢磨しながら医療のレベルを上げていこうという取り組みを続けています。看護学校で教える仕事にも携わっています。医師会での仕事を通して情報交換を行うことは、予防接種や検診の体制整備、副作用情報の共有など、地域の皆さんの健康を守る上で欠かせないと考えています。日々の診療をしっかり行うことはもちろん大切ですが、そこにとどまらず、もう少し広い視野で地域全体の医療を見つめることも、この地に根差してきた医師としての大切な役割だと感じています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

骨粗しょう症の患者さんはこれまで数多く診てきましたが、人生100年といわれる時代に、寝たきりの100歳と歩ける100歳では大きく違います。80代90代になってから気づいても遅いことがありますので、心配な方は早めにご相談ください。60代に入ったら一度は気にかけていただきたいですね。今は骨粗しょう症検診も始まっていますから、そういった機会を活用して、もし指摘を受けたら早めに医療機関を受診してほしいと思います。中には別の病気が原因で骨が弱くなる方もいらっしゃいます。また、足腰が弱り要介護の一歩手前になるロコモティブシンドロームの予防にも、リハビリを通じて取り組んでいきたいと考えています。いつまでもご自分の足で歩ける暮らしを守るために、当院をお役立ていただければ幸いです。

