歩くと足が痛いなどの足の疾患に
オーダーメイドで作るインソール
沖永整形外科
(戸田市/戸田駅)
最終更新日:2024/07/29
- 保険診療
扁平足や外反母趾、変形性足関節症など、日常の歩行に支障を来す疾患に長らく悩んでいる人は少なくない。歩き方や姿勢の癖、履いている靴から受ける負担などによって起こるそれらの症状について、改善をめざすための手立ての一つが、靴の中に敷くインソールだ。「沖永整形外科」の沖永貴志院長は、「足の症状は人それぞれ、アプローチも複合的な方法を用い一人ひとりオーダーメイド。症状改善をめざす有力な手立ての一つがインソールです」と話す。実際にインソールを作製するプロセスや、どのような疾患に対してインソールの効果が期待できるのかなどについて、沖永院長に教えてもらった。
(取材日2023年10月30日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q足のどのような症状に、インソールは適応するのでしょうか?
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A
さまざまな症状に対して、インソールは効果が期待できます。例えば扁平足は、足裏の土踏まずを作るためのアーチが崩れて平らになり、痛みや疲れやすさを生じる症状ですが、インソールを用いてアーチを整えられれば改善が見込めます。また、親指が人差し指側に曲がってしまう外反母趾は、つま先が三角形の靴を履いていると生じやすいと言われますが、そうした靴を履かなくなってからも進行してしまう疾患です。この外反母趾もインソールを使うことである程度、予防や矯正が望めます。他にも足底腱膜炎や変形性足関節症、変形性膝関節症、変形性股関節症、シンスプリントなどに対しても、インソールでカバーすることが期待できるのです。
- Q足の疾患を診る際にはどのような検査や治療を行うのでしょうか?
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A
症状によってさまざまですが、例えば外反母趾であればエックス線撮影をして、変形の度合いなどを評価して治療方針を決めていきます。インソールもその選択肢の一つですが、あまりに進行していれば外科手術が必要となる場合もありますし、他にも理学療法士によるリハビリテーションや消炎鎮痛薬や湿布の使用など、症状に応じて複合的なアプローチをしていきます。治療方針を決めるにあたって何より重要なのは、痛みをとってもらいたいのか、変形を直したいのかといった、患者さんご自身の目的をお聞きすることです。
- Q症状の軽減・予防のために、日常生活でできることはありますか?
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A
外反母趾であれば、ホーマン体操やタオルギャザーと呼ばれる足の指を使った体操があり、痛みの軽減や予防のためにお勧めしています。また、扁平足については裸足で生活できる時間を増やすことが大事だと思います。裸足保育を実施している保育園の園児たちの足をチェックした際、扁平足の子がほとんどいませんでした。裸足で歩行すると、指で地面を掴む習慣がつき、扁平足になるリスクを減らすことが期待できます。幼少期に扁平足になると、大人になって以降の足の形にも影響しますので、子育ての中で裸足の時間を多く作ることを意識してみてはいかがでしょうか。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1医師による問診
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まずは現在の足の症状、困りごとなどを問診しながら確認。この時に重要なのは、患者が何を解決したいのかを共有すること。痛みをなくしたいのか、足の変形を改善したいのかといった目的によって、治療の方針を固めていく。患者が普段履いている靴の状態もチェック。歩行時の上半身と下半身の連動の仕方や傾き具合など、靴から得られる情報量も多いという。
- 2触診をして足の症状をチェックし、治療方針を決める
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実際に足を触診して、痛みの場所を見極めていく。エックス線撮影も用いて、扁平足や外反母趾の程度などを確認。外反母趾の変形の角度によっては手術したほうがよい場合などもあるなど、患者によって状態はさまざまなため、治療方法は一人ひとりオーダーメイドだ。
- 3裸足で立位状態になりバランスをチェックする
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マットの上に裸足で立ち、立位状態でのバランスをチェック。片足立ちの姿勢などから、前方・後方いずれに体重がかかりやすいのか、浮いている指はあるかなど多くの情報を得ていく。加えて歩行状態も確認。内科の疾患に起因する運動機能の低下が疑われる場合には、整形外科とは別に他のクリニック受診を勧められることもある。
- 4装具業者による型採りから仮合わせまで
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装具業者によって、インソールを作るための足の型採りが行われる。同クリニックでは型採りをして一週間後に、できあがったインソールの仮合わせを行う。仮合わせではインソールを靴の中に入れて歩行し、高さなどに違和感がないか確認。違和感があればその場で削って調整して再度試し履きをし、問題がなければ仮合わせのデータをもとに再調整した完成品を制作する。
- 5最終確認して完成。以後は必要に応じてメンテナンス
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同クリニックでは仮合わせからさらに一週間後に完成品ができあがる。完成したインソールで最終的な歩行確認を行い、必要ならば微調整を行って完了となる。インソールは作製時に用いた靴に合わせて制作されており、基本的にはその靴にしか適合しないため注意が必要。以降、使用を続ける中で状況に応じて修理・メンテナンスを行う。