沖永 貴志 院長の独自取材記事
沖永整形外科
(戸田市/戸田駅)
最終更新日:2023/08/29
JR埼京線、戸田駅から徒歩4分のところにある、「沖永整形外科」。1997年に開業し、長年地域に根差して治療を行ってきた、老舗の整形外科だ。優しい雰囲気が印象的な院長の沖永貴志先生は、患者の生活の支えとなりたいと思い整形外科医の道に。自身の医院では、バリアフリーにこだわった院内で乳児から90代の患者まで、幅広く対応している。広々として開放的なリハビリテーション室を備え、水流で体をもみほぐすためのウォーターベッドやけん引器、超音波治療器など各種設備も導入している。地域に寄り添う治療を大切にしてきた沖永院長に、診療内容などについて、話を聞いた。
(取材日2023年7月21日)
地域に根差し、地元患者に寄り添い健康を守る
医師を志した理由について、教えてください。
将来の進路を考えていた高校生の頃、長く公立病院に勤務していた整形外科医の父の影響で、何となく白衣を着ることになるのかなあと漠然と考えていました。そんな折、通学中に地下鉄で足に装具をつけ松葉杖をついている小学生ぐらいの子を見かけました。その時、漠然と「将来この子が自由に走れる日は来るのだろうか?」と考え始めたのですが「この子だけではなく他にも医療で自由に歩ける人がもっといるのではないか」というように考え方が変遷しました。思えばそれが医師を志した契機になったのかもしれませんね。早いもので、1997年戸田市に父である大先生と開業して四半世紀が過ぎました。当地は以前より出生率が高く若者が多い街です。もちろん、壮年期老年期によく見られる膝痛や腰痛とともに、小児整形外科医だった父の影響もあり自然と小児整形を見る機会は多かった気がします。
こちらの患者さんに多い相談内容や、主な年齢層について教えてください。
診療内容はさまざまで、腰や膝、肩が痛いという方から、けがをした方、検診で何か指摘をされたという方まで、全身の症状に幅広く対応しています。年齢も赤ちゃんから上は90代までいらっしゃいますね。駅からも近く駐車場や駐輪場もあることや、1階建てのバリアフリーであることから遠方から通ってくださる患者さんもいます。また、長年地域に根差してきた地元の開業医なので、もう何十年と来てくださっている患者さんもいらっしゃいます。
小児整形外科も受けつけているということですが、どのようなご相談が多いでしょうか?
赤ちゃんの受診で多く見られるのは、市の検診センターや近医の小児科から依頼される股関節脱臼の診断や検診ですね。頻度は1000人に1人程度ですが見逃されると大変ですからね。いわゆる先天性股関節脱臼は今では発育性股関節形成不全といわれ、新生児健診や4ヵ月健診などで股関節の動きや股の開きが悪い赤ちゃんに診られる症状です。当院では、開業当初よりエコーによる乳児股関節検診を行っています。赤ちゃんの股関節は軟骨部分が多いので、生後4ヵ月くらいまではエックス線ではなくエコーで見ることができます。股関節脱臼が認められれば、装具を使って治療をしたり手術が必要そうであれば、小児医療センターなどに紹介することも可能です。股関節の開きが悪いだけであれば、抱き方やおむつのあて方で防止したり悪化を抑えたりすることができる場合があるので、親御さんには丁寧にご説明するように心がけています。
ウォーターベッド設置の広いリハビリテーション室
リハビリテーション室も、広々とした造りになっているんですね。
明るく開放的な雰囲気が自慢のリハビリテーション室です。車いすや足の不自由な患者さんでも通いやすいようにバリアフリーにこだわって開院しました。そのためリハビリテーション室も同じフロアにあり段差もないため、移動時にかかる患者さんへの負担を軽減できます。建物への出入り口もスロープになっており、建物内はすべてフラットに移動が可能です。またなんと言っても当院には、リハビリテーションの専門家の理学療法士が2人いるので、必要な方は医師の診察の後に理学療法を受けていただくことが可能です。理学療法士はリハビリテーションの専門家のためさまざまな症状に対応していますので、患者さんにご満足いただける対応ができるかと思います。また、いろいろな症状に対応するために設備も充実しており、首や腰のけん引器、超音波や低周波などを用いた治療器、ウォーターベッドも3台設置しているんですよ。
ウォーターベッドというのはどのような治療で使うのでしょうか?
特に腰痛の患者さんに使うことが多いですね。ウォーターベッドは患者さんに横になっていただき、下からの水圧でマッサージするような機械です。機械によるマッサージというとマッサージチェアやローラータイプのものがあったのですが、それだと刺激が強すぎて、どこか痛い場所がある方は使うことができませんでした。しかし、ウォーターベッドは症状がある方でも無理なく心地良く使っていただくことができると思います。以前は台数も少なくかなりお待たせしてしまうことがありましたが、患者さんを待たせたくないと思い3台に増やしたので、今だと待ち時間もほとんどなくウォーターベッドを使った治療を受けていただくことが可能です。
気持ちが良さそうですね。ほかにも、特徴的な治療などありますか?
他にも、オーダーメイドのインソールを作製しています。ハイヒールを履く機会の多い女性に多く見られる外反母趾や、扁平足、変形性膝関節症などの症状に対して、インソールを作製して症状の改善をめざします。歩き方や姿勢の癖、形の変形などによって、どこか特定の部位に負担がかかって痛くなったり、バランスが崩れてしまったりすることがあるのですが、インソールはそうした症状の改善をめざすものです。小児からご高齢の方、スポーツをやられている方にもインソールを作製することができます。その方の足の形や症状により合ったものにするために、既製品ではなく患者さんお一人お一人に合ったものをオーダーメイドで作ります。もともとインソールは、小児疾患である先天性内反足の治療に用いられてたのに今では老若男女に使われてるのは不思議な感じですね。
治療する過程を見守れるのが整形外科医のやりがい
診療の時に心がけていることはなんですか。
人によって区別や差別をせずに、平等に接することです。来院される患者さんは小児から高齢者まで幅広い年齢層で病状もさまざまですが、人によって態度を変えることはなくどんな患者さんにも誠実に向き合う。診察の中で患者さん一人ひとりの声に耳を傾け、それぞれの患者さんに適切な医療の提供を心がけています。開院当初から患者さんに、頼ってよかったと思っていただけるような地域のかかりつけ医をめざして、日々患者さんと向き合っています。
整形外科医として、やりがいを感じるのはどのような時でしょうか?
診療が終わった後に患者さんの笑顔が見られたとしたら、やはりやりがいを感じますね。整形外科というのは治療の過程を患者さんに寄り添いながら確認することができる、それが一つの醍醐味かもしれませんね。また、長年地域に根づいてやっているので、小さかったお子さんが大人になって成長していく姿を見守ることができるのも、楽しみの一つです。幼稚園の時にお手紙をくれたお子さんで今でも何かあると来てくださる方や、中学生の頃から通っている患者さんで、今では立派に社会に出ている方もいます。成長した姿を見せてくれた患者さんの一番最初の問診表を見返すと、大きくなったなあと成長を感じます。とても感慨深いですね。
最後に、地元の方々、患者さんに向けたメッセージをお願いいたします。
この地で開業し、長年地域に根差した整形外科医として治療を提供してきました。今後もいろいろな痛みや問題を抱える患者さんに寄り添い、皆さんの健康を守っていきたいと思っています。大きなけがだけではなく、日常生活で起きたけがや少しの痛み、赤ちゃんのことで不安に思われるかた、どんな些細なことでも気になることがあればお気軽にご相談ください。患者さん一人ひとりに合った適切な治療で健康をサポートさせていただきます。