井口 正道 院長、井口 真帆 副院長の独自取材記事
井口小児科クリニック
(草加市/獨協大学前〈草加松原〉駅)
最終更新日:2026/08/10
「井口小児科クリニック」は、一般小児科をはじめ、食物アレルギーや花粉症、気管支喘息などのアレルギー疾患、アトピー性皮膚炎を中心とした小児皮膚科まで、小児の困り事を診療している。井口正道院長は、処方する薬を必要最小限に留め、丁寧に説明することを、副院長の井口真帆先生は、まず気持ちを受け止めることを大切にし、夫婦それぞれの専門性を生かしながら、子どもと家族に寄り添う。かつて同院に来た患者が、親となって子どもを連れて訪れることも多いという。「子どもの成長を長く見守れるのが小児科医の喜び」と穏やかに語る2人に、小児診療に込めた想いについて話を聞いた。
(取材日2026年7月10日)
夫婦二人で実現するのは「断らない小児医療」
開業から現在までの歩みを教えてください。

【正道院長】当院は先代院長である父が1964年に開業しました。この辺りは昔も子育て世帯が多かったんですが、当初は小児科専門のクリニックがほとんどありませんでした。「地域の子どもたちを専門的に診たい」という想いで開業したと聞いています。当時は今より子どもが多く、一人ひとりに十分な時間をかけるのが難しい時代でしたが、父はいつも子どもの目を見て寄り添う診療を大切にしていました。その姿勢は、今も私の診療の基本です。父とは5年くらいしか一緒に仕事ができませんでしたが、2009年からは妻の真帆副院長も加わり、それぞれの専門性を生かしながら診療を続けています。
医師を志し、小児科医をめざした理由とキャリアについてお尋ねします。
【正道院長】父の背中を見て育ったことが一番大きいですね。将来は地域医療を引き継ぎたいという思いが自然と芽生え、同じ道に進みました。大学病院や基幹病院の小児科での勤務を経て、食物アレルギーの子が多く通院する国立病院機構相模原病院で研鑽を積み、一般小児科の他、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー分野を専門的に学んできました。
【真帆副院長】医師が多い家庭で育ちましたが、とりわけ小児科医として働く母の姿に憧れてこの道へ。私も小児科医として診療を行っていましたが、結婚を機に義父から「小児皮膚科は必要な分野」と勧められたことが転機となり、小児皮膚科医へと転身しました。今は子どもの全身状態を理解しつつ、皮膚疾患まで診る診療を大切にしています。
クリニックの特徴、診療方針についてお聞きします。

【正道院長】建物が老朽化した上、もっと安心して過ごせる環境をつくりたいという想いがあったことから、2015年にクリニックの全面リニューアルを行いました。国内外の知育玩具を扱う専門メーカーと連携し、待合室や診察室には木製玩具や絵本を数多く配置。また、院内は靴を脱いで利用するスタイルを採用し、ハイハイする赤ちゃんも安心して過ごせるよう、清潔な環境づくりを徹底しています。私たちが大切にしているのは「断らない小児医療」です。小児皮膚科は予約制ですが、小児科とアレルギー科、乳幼児健診や予防接種は予約制にはせず、困ったときにすぐ受診できる体制を維持しています。リニューアル前にアンケートを実施したところ「予約なしで受診したい」という声が多く寄せられました。困ったときに気軽に頼れる存在でありたいという想いから、今もその方針を続けています。
小児皮膚科とアレルギー、互いの強みを生かして診療
診療内容について教えてください。

【正道院長】私は一般小児科とアレルギー疾患を担当しています。感染症はもちろん、食物アレルギーや気管支喘息、花粉症まで幅広く対応が可能です。特に食物アレルギーは専門的に診られる医療機関がまだ少ないので、乳幼児期から成長するまで一貫して治療が行える点は当院の強みだと思っています。
【真帆副院長】私は小児皮膚科を担当していて、アトピー性皮膚炎を中心に、湿疹やニキビなど子どもの皮膚トラブルを診療しています。単に皮膚疾患だけを診るのではなく、小児科医として全身の状態も含めて診察するよう心がけています。「これはアレルギーが関係していそう。皮膚から診たほうがいいね」というように、正道院長とは診療中も相談しながら診察を行います。小児皮膚科で診察を希望される場合は別途枠を取って予約制となり、急な肌トラブルの場合には正道院長が対応しています。それぞれの専門性を生かし、二人三脚で診療を続けています。
薬の処方について、思われることはありますか?
【正道院長】薬は必要最低限しか処方しない方針です。特に抗生剤は検査結果や診察所見を踏まえ、必要と判断したときだけ出しています。その代わり、病名や今後の経過も伝え、「熱が2日続いたら再受診してください」など、次にどうすればいいか明確に説明するように努めています。
【真帆副院長】使用する薬自体は一般的なものですが、独自配合を行っています。例えば通常はチューブのまま処方される薬でも、当院では保湿剤の組み合わせ、塗り心地を調整するなど工夫しています。またステロイド薬に不安を感じている親御さんも多いので、私はまず「どうして使いたくないと思われるのか」をお聞きします。決して否定せずに「お気持ちはよくわかります。でも今のお子さんには、こういう理由で必要なんです」と、一つ一つ説明しながら、一緒に治療方針を考えています。お互いに納得した上で治療を進めることが、結果として安心につながると思っているからです。
診療で大切にしていることは何ですか?

【正道院長】まず子どもと距離を縮めることですね。それから全身をよく診ることを大事にしています。子どもは自分の症状を話せないからこそ、診察室に入ってくるときの様子や表情なども見逃さないようにしています。親御さんには、安心して帰っていただくことを意識し、不安を残さない診療に努めています。
【真帆副院長】わかりやすく話すことを心がけています。専門用語を並べるのではなく、本当に理解していただけたかを確認しながら診察しています。聞きたいことを忘れてしまう方も多いので「気になることはメモにして持ってきてくださいね」とお伝えしています。皮膚のことだけでなく、子育てや生活のことも含めてじっくり話を伺いながら、一緒に納得できる治療を進めたいと思っています。
子ども、家族、そして地域とともに長年かけて育む信頼
小児医療の醍醐味はどのようなところにありますか?

【正道院長】小児科医として何よりうれしいのは、子どもの成長を長い期間見守れることです。かつて当院に通っていた子が親となり、子どもを連れて来院してくれたときは、小児科医冥利に尽きる瞬間ですね。地域に根差した診療を続けてきた当院だからこそ生まれる、世代を超えた信頼関係があると思っています。
【真帆副院長】皮膚疾患は一度治療して終わりではなく、成長に合わせて付き合っていく必要があり、通院が長期にわたることもあります。思春期特有の悩みにぶつかることもありますが、小さな頃から知っているからこそ、成長した姿を見るとうれしくて仕方ないですね。生後3ヵ月で初めて来院した子が中学生になっていることもあり、感慨深いです。
スタッフについてお聞きします。スタッフの力があってこそ、今があるとおっしゃっていますね。
【正道院長】職種の垣根がなく、私たちも「みち先生」「真帆先生」と気軽に名前で呼んでもらうほど、信頼関係が築かれています。長く働いてくれるスタッフが多く、診療の流れを熟知しており、指示を出す前に必要な準備が終わっているなど、息の合った連携が自然と生まれています。他院の医師が見学に訪れた際に「スタッフの動きが素晴らしい」と驚かれたほどです。
【真帆副院長】スタッフ全員が、子育て経験のある母親であることも強みです。診察中は兄弟姉妹と遊んだり、親御さんが安心して話せるようサポートしたり、それぞれが自発的に行動しています。母親だからこそ、親御さんの気持ちを理解し、一歩先を読んだ気配りができる。優秀なスタッフが当院を支える大きな力となっています。
めざすクリニックのかたちをお聞かせください。

【正道院長】小児の困り事について、何でも頼れる場所でありたいです。地域の皆さんが安心していつでも受診できる体制を整え、「悩んだらまず来てください」という姿勢を大切に守っていきたいです。
【真帆副院長】どんな小さな悩みでも、気軽に相談してもらえるクリニックでありたいです。皮膚のことだけでなく、子育てや生活の悩みも含めて一緒に考えられる存在となり、お子さん一人ひとり、そしてご家族にも寄り添いながら、誠実な医療を提供し続けたいです。

