杉浦 康広 院長の独自取材記事
杉浦眼科 春日部本院
(春日部市/春日部駅)
最終更新日:2025/05/28

1989年に春日部に開院してから37年目を迎えた「杉浦眼科 春日部本院」。開院時は東武野田線がまだ単線だった時代だ。その頃から先進の眼科医療に対応し、「見えるを守る」をポリシーに地域眼科医療に貢献してきた。同院のほか、武里分院・豊春分院を含めた全3院を統括する杉浦康広院長は今も、母校である東京大学医学部眼科学教室に関わり、先進技術を持つ医師が同院での手術を担当しているのだそう。「正確な診断・適切な治療・的確な説明の3つを追求し、衛生管理にも徹底した体制をつくっています」と語る杉浦院長。取材では、現在の診療内容や今後の抱負について語ってもらった。
(取材日2019年6月20日/情報更新日2025年5月22日)
専門性の高い技術を地域でも提供できるようにしたい
こちらは、東京大学医学部眼科学教室と連携しているそうですね。

私は東京大学医学部卒業後この眼科教室に在籍していまして、1989年に当院を開業してからも、関係性が続いているのです。例えば、大学周辺のクリニックの皆さんと年2回開催している病診連携会や、外部から講師を招いて同教室内でTokyo Ophthalmology Clubという勉強会を行う際などに、お手伝いをさせていただいています。そうした経緯もあって、当院に同教室の先生方が診察に来てくれています。春日部にいながら、東京大学医学部の眼科で受診しているように、こちらでも診療を受けていただける、というのが当院の特徴とも言えるでしょう。
先生は、さまざまな取り組みをされてきたと伺いました。
当院を開業した頃、この春日部周辺では先端の眼科医療を受診できるクリニックはほとんど見当たりませんでした。そのため、この地域の患者さんにも専門的な眼科治療を受けていただきたいと思い、糖尿病網膜症の治療でアルゴンレーザーを用いたり、後発白内障にヤグレーザーを用いたりするなど、新しい技術に取り組んできました。白内障の日帰り手術や、二診制にしたのも、この地域の中では早い取り組みだったかと思います。その後、現在は午前・午後ともほぼ五診制で行っています。また、本館のほかに新館ビルを建設することにしたのも地域ニーズに応えていった結果です。
患者さんをお待たせしないような工夫を行っているとか。

工夫や努力をしているのですが、待ち時間に関してはまだまだご迷惑をおかけしています。それでも、できる限りのことはしたいとホームページとSNSで混雑状況をお知らせするようにしました。結膜炎、ものもらいなど短時間で治療が終わるものもありますが、白内障や緑内障のようにお一人の検査や処置に時間がかかる患者さんが増えていますので、4、5人の医師で診察していても、どうしても待ち時間は長くなってしまいますね。
地域で安心して専門性の高い診療を受けられるように
武里駅や豊春駅の近くにそれぞれ、分院を開院されたそうですね。

2002年に武里分院を開院しました。私は学校医を11校受け持っていまして、たまたま武里の学校医を前任の先生から引き継いだんです。しかし結膜炎や斜視などを見つけても、治療は春日部まで通ってもらわなければなりません。大人の感覚からすれば2駅ですが、小さなお子さんには通院も負担だろうということで、治療の受け皿として武里分院をつくったのです。2016年に開院した豊春分院も同様でして、距離的には近いけれども商圏としては春日部と別なんです。しかも眼科以外の診療科はすべてそろっているのに、なぜか眼科だけが不足している。そこで買い物帰りに通えるようになれば、患者さんの利便性もより向上すると考えて、オープンしたのです。地域への恩返しのつもりですね。
どのような治療に力を入れているのでしょうか?
特に多いのが白内障の手術で、緑内障や加齢黄斑変性の治療もたくさんの症例を行ってきました。地域住民の「見えるを守る」、これが地域に根づいて眼科診療を行うクリニックの務めであると考えています。人が外部から得る情報は目からが8割といわれていて、快適に暮らすためにはまず「見える」ことが必要です。できるだけ長く、よく見えるように医療の面からサポートするのが私たちの務めですね。当院では、多くの研鑽を積んできた医師が手術を担当しています。専門家に任せる部分は任せきる、というのも私の方針です。
改めて診療ポリシーを教えてください。

開業当時から、「正確な診断・適切な治療・的確な説明」の3つを掲げて常にめざしています。そして「清潔に、明るく」も大事にしています。そのわけは、眼科では術前と術後の管理は特に大事でして、白内障なども感染症に最大限神経を使う必要があります。どんなに高性能な滅菌機材を使用するにしても、院内でシステマティックにそれが運用されていなければ衛生体制は築けません。例えば当院のスタッフは、滅菌機にかけたことがわかるインジケーターをその都度、声に出して確認してから使用するようにしています。これが安全の基本です。こうしたシステムをつくり、それが守れるような仕組みや体制づくりも院長である私の務めですね。
これからも長く地域に医療サービスを提供していく
「診察を受けないお子さんを連れてこないように」という注意書きが気になりました。

小さなお子さんを持つお母さん世代にはとても不評なのですが、ここは病気でつらい思いをしている方のための空間だということです。実際に以前、待合室でお子さんが駆け回って、目の見えない高齢の方とぶつかって転んだ事故が起こりました。また、むずかるお子さんをお母さんが待合に置いて診察に行かれた際に、お子さんが屋外に歩き出てしまったことも。たまたま交通事故には遭いませんでしたが、当院のスタッフたちもヒヤリとした出来事でした。そこからお子さん本人の安全のためにも、他の患者さんのためにも、診察を受けないお子さんは連れてこないようお願いをするようになったのです。もちろんお子さん自身が診察を受けられるのでしたら、ぜひ診察させていただきたいですし、患者さんを第一に運営させていただいております。どうかご理解いただければと思いますね。
休日などに楽しまれているご趣味は?
海に出ているのが楽しいですね。今はエンジンつきのボートに乗っていますが、いずれリタイアしたらヨットに乗りたいと考えています。ヨットによるクルーズには、3つの条件が必要なんです。1つ目にお金。2つ目に体力。3つ目に時間。1つ目のお金はまあそこそこ。2つ目の体力は、ヨットは潮風に向かって進路を取るため非常に体力を使います。私は60歳を越えていますが、体力はそこそこはある(笑)。3つ目の時間は、休日の土日の海が荒れていないかどうか、これはかなり天候に左右されます。今後、平日も休めるようになれば、時間はなんとかなるかなと思っています。とはいえ経営者ですので、完全にリタイアはできませんが、そういう時間がつくれるようになって、ヨットでクルージングを楽しむのが今後の夢ですね。
医院としての今後の抱負はいかがでしょうか?

残念ながら、まだまだリタイアできるような体制はつくれていません。医師やスタッフの採用や運営全般のほか、例えば重い眼科疾患で来院された方を、安全・確実に院内で手術可能なのか、あるいは提携先に紹介するのか、それらの重要な判断は私が行っていますので、その役割をしっかりと果たせる後継者が早く育ってほしいなと思っていますよ。また今後は地域包括ケアや医療と介護の連携など、さまざまに解決すべき課題もありますし、令和の新しい時代に当院が地域にどのように貢献できるか、それを考えながらも、当院自体はできるだけ長く永続的に地域で医療活動ができるよう、そのための体制を整えていきたいと考えています。