野本 一臣 理事長、野本 智永 先生の独自取材記事
川越大東医院
(川越市/南大塚駅)
最終更新日:2024/10/28
西武新宿線・南大塚駅より徒歩10分の住宅街にある「川越大東医院」は、開院以来60年近く地域住民の健康を支え続けてきたクリニックだ。もともとは院長の野本智行先生が外科医院として開院したが、2018年の建て替えを機にリニューアル。現在は、野本院長の甥で内科の医師である野本一臣(かずおみ)理事長と、院長の長男で整形外科の医師である野本智永(ともひさ)先生が、曜日・時間交代で内科・整形外科を中心とした診療を行っている。内科では風邪や発熱、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病に加え、心不全など心疾患の治療や管理も行う。整形外科では、腰痛や肩凝りなど身近な症状のほか、骨粗しょう症の治療や予防などにも積極的に取り組む。診療において大事にしていることや力を入れていることなどを2人に聞いた。
(取材日2024年9月17日)
内科と整形外科の協力体制で地域住民の健康をサポート
こちらの医院ではどのような診療を行っているのですか?
【一臣理事長】当院は、叔父である院長が1966年に外科医院として開院しましたが、50年以上経過し老朽化してきたため、2018年に建て替えして一新しました。それを機に「大東外科医院」という院名を現在の「川越大東医院」に変更。診療体制も見直し、現在は智永先生と曜日・時間交代で、内科と整形外科を中心とした診療を行っています。
【智永先生】昔は地域の診療所でなんでも診るという時代で、それこそケガから風邪や生活習慣病まで一人の医師がすべて対応することが自然でしたが、今は医療も細分化の時代。無理せず、理事長は内科、私は整形外科と、自分たちの強みを生かした診療をしながら互いの専門領域を尊重し、協力、連携して診療を行っています。
どのような患者さんが多く来院していますか?
【智永先生】近隣の方が中心で、若い方も来られますが、やはり超高齢社会ということでご高齢の方が多いです。開院してから60年近くたちますので、長く通ってくださっている方や、祖父母とその息子や娘、孫たちと、ご家族皆さんで受診される方もいます。病気や症状でいえば、内科では頭痛や発熱、咳などの体調不良から高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、心不全など心臓病の方も多くいらっしゃいます。整形外科では、肩凝りや腰痛などが多いですが、骨粗しょう症による骨折で来られる方もいます。私は現在も大学病院での勤務を続けていますので、背骨や大腿骨などの大きな骨折の患者さんは大学病院に紹介し、そこで私自身が引き続き治療を行っています。
先生方のご経歴やご専門を教えてください。
【一臣理事長】私は、医師になって最初の4年間は大学の循環器内科にいました。医学部の実習でさまざまな診療科を回ったのですが、循環器の場合、心不全などですごく苦しそうな状態で運ばれてきても、適切な処置を行うことで見違えるほどの回復が期待できるんです。そこに循環器診療の醍醐味(だいごみ)を感じ、専門に選びました。特に心臓病の超音波検査は多く経験しています。ほかにも、救急医療や在宅医療にも携わってきました。
【智永先生】私は、学生時代にはずっと水泳やテニスなどのスポーツを続けてきたこともあり、最初はスポーツ障害の治療をしたいという思いがあって整形外科を選びました。実際に整形外科の医師になってからは高齢の方の運動器疾患などを診ることが多く、最初は自分がイメージしていたこととのギャップも感じましたが、今では少しでも患者さんが健康で自立して暮らせる年数、いわゆる健康寿命を延ばすことをめざしています。
患者さんをしっかり診て病気の予防や早期発見をめざす
内科ではどのような診療をしているのでしょうか。
【一臣理事長】これまでさまざまな医療に関わってきた経験から「広くいろいろな人を診る」を信条に、特に高齢の方は複数の病気を持っている方も多いので、全身を診ることを心がけています。内科での診療のメインとなるのは高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の治療です。40~60代の、いわゆる働き盛り世代の方では、健康診断の結果に何らかの異常があって受診する人も多いですね。もともと循環器が専門ということもあり、心臓の病気の治療や管理も積極的に行っています。最近は心不全の患者さんも増えていますし、狭心症や心臓弁膜症などの病気は若い人にも多く見られます。必要であれば超音波検査で腹部、心臓、頸動脈などをチェックし、心臓でいえば心臓弁膜症や心房細動などの病気の早期発見に役立てています。
整形外科ではどのような診療をしていますか?
【智永先生】腰痛や肩凝りなどの改善、骨粗しょう症や骨折の治療はもちろんのこと、まずは病気にならないように、骨折しないようにと予防を大事にしています。近年では骨粗しょう症の治療薬も出ていますが、高齢の方はほかの病気でいくつも薬を飲んでいる方も多いですし、きちんと長く薬を飲み続けることが難しい方もいます。社会の高齢化や核家族化が進み、当院を受診する方でもご高齢で一人暮らしをしている方や、老々介護の方が多いのが現状です。できるだけ病気にならないように、また要介護や寝たきりになるのを防ぎ、健康寿命を延ばせるように、食事管理や運動指導のほか、生活上のアドバイスをさせていただくこともあります。運動については機器を使った理学療法や、患者さん自身ができるラジオ体操やウォーキングなど、それぞれの患者さんに合った指導を行っています。
診療で大事にしていることを教えてください。
【一臣理事長】昔、医師になったばかりの頃に教授から言われたのが「自分の親・家族を安心して任せられる医療機関になりなさい」ということでした。その言葉を胸に、「ここなら家族を安心して任せられる」という気持ちになってもらえるような医療を提供するというのが私のモットーです。近年は電子カルテなど便利なツールも増える一方で、「先生がカルテばかり見て私の顔を見ない」と不安になる患者さんも少なくないと聞きます。私は、短い診察時間であっても患者さんの目を見て話を聞き、聴診器を当てて心臓の音を聞く診察を大事にしています。当院には自動血圧計はなく、血圧も私が測ります。そうやって患者さんに触れ、患者さんを診ることで医師の経験から感じ取れる患者さんの変化もありますし、患者さんにも安心していただけると思っています。
地域の病院との連携も大切にしていきたい
智永先生が診療で大事にしていることは何でしょうか。
【智永先生】患者さんは、何か困っていることやつらいと思う症状があって受診されているのだと思います。ですから、何に困っているのか、どのようなことがつらいのかをしっかり聞き、適切な治療やアドバイスを行うことを大事にしています。それがしっかり相手にも伝わり、「本当に治そうとしてくれているんだな」と患者さんが安心してくださることが重要だと思っています。
ご自身のリフレッシュ法や健康のために心がけていることはありますか?
【一臣理事長】私は卓球が好きで中学生の時からやっていて、川越のクラブチームにも入り、時々卓球をしています。また、自宅では専らアマチュア無線のモールス通信で海外と交信しています。
【智永先生】もともとスポーツが好きで、医師になってからはゴルフや電気自動車の運転などが趣味でしたが、今の一番の楽しみは歩くことですね。歩きながらよく考え事をするのですが、歩いていると自然と考えが整理されてまとまっていきますし、健康にも良いので、結構長い距離を歩きますよ。運動は大事ですが、特に高齢の方はケガをしないことも大事。患者さんにも「無理せず、無茶せず、我慢せず楽しく続けられることを」とお勧めしています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
【一臣理事長】当院の守備範囲の中で、できることを最大限生かして地域に貢献していきたいです。皆さんが元気で長生きするためのお手伝いをしたいと考えていますので、不調があるときはもちろん、「病院に行こうか、どうしようか」と迷うようなときにも、ぜひ気軽に受診し、ご相談いただきたいですね。
【智永先生】これからも患者さんとのコミュニケーションを大切に、病気のことだけでなく日々のちょっとしたことも気軽に話してもらい、患者さんの生活背景にまで目と気を配りながら診療していけたらと考えています。また、地域の病院やクリニックとの連携も大切に、協力し合って患者さんを診ていく関係を築くことで、地域の皆さんに安心して生活していただけたらうれしいですね。