大高 行博 院長の独自取材記事
前橋ふじみ内科
(前橋市/群馬総社駅)
最終更新日:2026/09/29
JR上越線・群馬総社駅から車で15〜20分、畑が広がり古墳が点在するのどかな環境の中に「前橋ふじみ内科」はある。以前は整形外科クリニックだった場所を引き継ぎ、2025年に開業した。院長を務めるのは大高行博先生。腎臓疾患・糖尿病を専門とする医師だが、同院は内科の診療に対応し、「何でも診ます」をモットーに地域住民の健康を支えている。たとえ専門外の症状でも断らずに診療をするのがポリシーだ。大高院長の原点となっているのは、ドラマなどで見る、飛行機や列車で急病人が出て、乗務員が「お医者さんはいませんか?」と声をかけるあの場面だと言う。名乗り出て颯爽と患者の治療にあたる医師に憧れ、どのような状態の患者さんでも断らずに診る「総合診療」の道を追求し続けてきた。その熱く真っすぐな思いを聞かせてもらった。
(取材日2026年9月3日)
地域の医療を総合的に支える新・内科クリニック
まず、先生のご経歴を教えていただけますか。

私は昭和の生まれで、群馬県桐生市の出身です。地元の小中学校を卒業し、高校からは前橋、大学は地元の群馬大学へと進みました。医師となってからは、高崎総合医療センターで2年間の臨床研修を積み、その後は群馬大学の総合診療部に籍を置きながら、総合診療医としてのキャリアをスタートさせました。これまでに急性期の救急病院から、回復期、療養病院まで、県内のさまざまな医療機関で研鑽を積んできました。訪問診療専門クリニックの院長を務めたこともあります。内科医として、また総合診療の専門家として、多様な臨床業務を実践できたことは、大きな経験となりました。
ベルギーに研究留学された経験もおありだとか。
大学院生時代に半年間、ベルギーの大学に研究留学しました。群馬大学の薬理学講座にいた際、交換留学プロジェクトの一環として選ばれたのです。当時はアパートの契約から何からすべて一人でこなし、多国籍な研究チームの中で、英語を共通言語としてコミュニケーションを取る毎日でした。医学的な知識を得るだけでなく、生活環境の異なる世界で働くことは大きな人生経験になりました。近年では、群馬県内でも外国籍の患者さんが増えています。当院にも、フィリピンやインドネシアからの労働者の方が来院されます。私の英語は拙いものですが、断ることはしません。言葉が通じにくい場合は、クラウドカルテの翻訳機能を活用しながら臨機応変に診察を行います。このような時、外国での体験が生きていると感じます。
以前ここは整形外科のクリニックだったそうですが、どのような経緯で継承されたのですか。

以前は「あべクリニック」という整形外科でした。約30年間、地域医療を支えてこられたのですが、先生がご高齢となりリタイアされることに。私自身も開業を考えていた頃で、ご縁をいただき2025年1月に第三者継承という形で同院をスタートしました。継承にあたり大きく変更したのは、業務のIT化でした。以前は紙カルテで、レジも昔ながらの手動精算という環境でしたが、効率化とミス防止のためにDXを導入しました。一方で、大切にしたのは、患者さんにとってのわかりやすさです。長年通院してくださる方も多いので、受付から会計までの動線を、なるべく変えないように配慮しました。新しいシステムを導入しつつも、患者さんが戸惑わない「変わらない安心感」も提供したかったのです。
検診の結果を叱らない、薬だけに頼らない診療
現在、どのような症状で来院される患者さんが多いですか。

生活習慣病で来られる方が過半数です。前のクリニックの頃からそうだったようで、整形外科だったにもかかわらず、内科的な疾患で長年通院してきたという方が非常に多いです。そこを内科として引き継げたのは、非常にありがたいことです。当時からの患者さんで、整形外科疾患の方は全体の2割ぐらいですかね。あとは突発的な発熱や、じんましん、春期は花粉症の人など。今夏多かったのはハチに刺された人。天気の良い日に草刈りをしていて刺されたという人が1日に何人も来院されましたね。農家さんが多い地域ですから。一方で、熱中症などは想定より少なかったです。皆さん、飲み物などで対策しながら作業されているのだなと。
診療で大切にされていることや、検診の結果が悪くても放置している人へのアドバイスを教えてください。
医師に食事や生活習慣のことで怒られたりしたら、患者さんは嫌になってしまいますよね。病院に行きたくない気持ちもわかります。でも、放っておくとそれが数年、数十年という単位で命に直結するような何かにつながる恐れも……。私はいつも患者さんに言うのです。「私は怒らないからね」と。だから、まずは気軽に来院してほしいです。また、私は「薬を出すことだけが治療じゃない」と考えています。食事や運動習慣などの改善を図ることが、治療の土台だということです。できる限り生活改善のサポートをし、患者さんの負担にならない治療提案を心がけています。特に腎臓病や糖尿病については、悪化させないことが何より重要です。数値が気になり始めたら、一度ご相談ください。
御院のスタッフの方々についても聞かせてください。

現在は、常勤の看護師が2人、看護助手が1人、事務スタッフが2人、私を入れて6人の体制でやってます。皆、仕事が丁寧でスキルも高く頼りにしています。私自身が一人ひとりの患者さんと向き合う時間を「多く取らなきゃ」と思う一方で、患者さんの数が増えれば、待ち時間が長くなってしまったり、初診の方に症状を十分に聞けなかったりすることにもなりかねない……。それでは患者さんが不満を抱えてしまいますよね。スタッフを増強することで、診察の前後にも患者さんからお話を聞いたり、薬の中身についてしっかりと指導することもできます。患者さんにより満足いただけるサービスを提供できるよう、取り組みを進めています。
「お産以外は何でも診る」というポリシーで
ところで、先生が医師をめざした理由をお聞きしたいです。

当時のテレビドラマに影響されたのだと思います。飛行機とか列車の中で急病人が出て、乗務員が「この中にお医者さんはいませんか?」と聞いて回る。そこで名乗り出る医師を「すごくかっこいい」と純粋に思いました。実際に医師になってからも、その憧れは変わってないですね。今のところ、何度飛行機に乗っても、そういうシチュエーションはないのですけれど(笑)。だからというわけではありませんが、私は医師に救急救命の講習を行う仕事もしています。「お医者さんはいませんか」に魅力を感じた自分というのは今でもいて、どのような状態の患者さんでも断らずに診る「総合診療」をモットーにしているのです。
老若男女、どのような患者さんも受け入れておられるのですか。
一般内科を中心に、専門は腎臓病と糖尿病ですが、乳幼児から婦人科疾患、泌尿器、耳鼻咽喉科、皮膚科、整形外科まで「当院では診られません」と断ることは、ほぼないです。お産以外はやります。もちろん相談内容によって、より適切な専門の先生をご紹介することもありますが。ここはローカルで、さまざまな専門分野の医師がたくさんいらっしゃるエリアではないので、まずは自分が受けてみて、自分ができることはやるし、専門の先生のお知恵が必要な場合にはそのように手続きします。
訪問診療にも取り組まれていますね。

夜中でも、祝休日、年末年始でも、患者さんの元に急ぐというシチュエーションは度々あります。夜も気が抜けないですが、私は前の職場でも訪問診療をしており、やはり患者さんと「深く広く長く」付き合うのが、気持ちの上で好きなのだと思います。近年は訪問診療を中心にされている医師も多いですが、開業医で「夜中でも呼ばれたら診療に行く」という、昔ながらのスタンスで診療している医院は、なかなかないと思うので。エリア的には行ける範囲に限りもありますし、外来の診察中に何かあった場合は休み時間に行くことになりますが、なるべくお引き受けした患者さんは、自分自身が責任を持って最後まできちんと対応したいと思っています。
読者へメッセージをお願いします。
「何でも診ます」「断りません」というのが、医者としての私のポリシーです。看板は内科ですが、それに限らず健康上困っていることがある方は、ぜひ当院にご相談ください。また、総合診療を学びたいという若い世代の先生方もいらっしゃるかと思います。クリニックというのは診療の場であり、学びの場でもあるので、当院で学んでもらうのもいいのではないかと思います。

