必要になる前に知っておきたい
訪問診療のすべて
みたにクリニック
(さいたま市大宮区/大宮駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
超高齢社会と言われて久しい昨今。通院困難な患者が積極的に利用したいのが訪問診療で、患者自身の関心も高いはず。しかし利用したいときにどのように依頼したらよいのか、またその時に気をつけたいことなど細かなことがよくわからないのも事実。そこで、開業以来20年以上にわたって、外来診療だけでなく訪問診療に取り組んでいるという「みたにクリニック」の三谷雅人院長に話を聞いた。いざという時に迷わず決断・利用できるように、訪問診療に対する知識などをあらかじめ知っておきたい。
(取材日2016年11月17日)
目次
かかりつけ医による訪問診療で、一生を通じて一貫した医療が受けられる
- Qそもそも訪問診療とはどういったものでしょうか?
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A
外来よりも診察内容は限られますが、疾患や認知症などの進行により、病院やクリニックへの通院が困難になった患者さんのご自宅や施設へ医師が伺って診察などをすることです。私は現在、ご自宅にお住まいの方20名、グループホームの方20名の合計40名の患者さんのもとへ、クリニックの昼休みの時間などを活用して伺っています。脳卒中の方や認知症の方、末期がんの方など、訪問診療を希望される方の疾患は幅がとても広いですね。当クリニックに通院されていた方が通院困難になって利用されるケースはもちろんのこと、近年は訪問看護ステーションや病院の地域連携室などからの紹介も多く、連携をとりながら診療を進めています。
- Q在宅医療を受ける際に知っておくべきことはありますか?
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A
円滑に訪問診療を進めるために、24時間体制の整った訪問看護ステーションの利用も同時にお勧めしています。私も24時間体制を取っていますが、やはりきめ細かい対応をしていくためには訪問看護ステーションの存在が大切になります。また外来と訪問診療は全く同じものではありません。レントゲンなどの各種検査は、訪問診療では難しい場合もあります。訪問頻度は月に1回または2回。基本的に診察と投薬治療になります。
- Q訪問診療で三谷院長が心がけていることは何でしょうか?
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A
私が患者さんの生活空間の中に入るのですから、できる限り患者さんの生活の流れを壊さないように、と思っています。例えば私が到着してからトイレに行かれる方がいてもゆっくりお待ちしています。その際はせっかくなので、歩き方など家の中での歩行の様子を観察し、助言が必要そうなら行います。家庭のご様子なども診察に役立つこともあります。また診察後の雑談も大切にしています。患者さんと趣味の話などをしていると患者さんもいきいきとお話してくれます。そんなひとときが患者さんにとっても楽しい時間になれば、と願っています。
- Q家族で外来と訪問診療を受けるメリットを教えてください。
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A
当クリニックには、家族ぐるみで通ってくださっているケースが多く見られます。そんなご家族に訪問診療が必要になった場合、ご家庭の事情もよく存じているので話がスムーズに進みますし、外来に見えた時に訪問診療時に気にかかったことをお話したりできます。また当クリニックに通院中の方が在宅での訪問診療をご利用になる場合には、過去の病歴などをそのまま引き継げますし、私も最後まで診させていただくつもりでおります。親子2代にわたってご自宅に伺っているご家庭もあります。おばあちゃんにお会いした時に様子がおかしかったので、別で来院された息子さんに認知症の疑いをお話しして、早期に認知症を発見できたこともあります。
- Q三谷院長の治療スタンスを教えてください。
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A
私の診療スタンスは、とにかく平均寿命までは頑張って治療し、あとはゆったりとご自宅で有意義に過ごしていただくというものです。人は誰しも徐々に食が細くなったり体力がなくなったりして弱くなっていくものです。決して元気に過ごしていてある日突然、というものではありません。ご家族は1分1秒でも長くという思いがおありで、持続点滴や延命治療を希望される場合が多いのですが、患者さんの生活の質を第一に、一緒に治療方針をお話できたら、と思っています。