石丸 雅巳 院長の独自取材記事
光生クリニック
(今治市/今治駅)
最終更新日:2025/01/28

【2025年4月開院予定】※開院前の情報につき、掲載情報が変更になる場合があります。
今治駅から徒歩15分。高齢者を中心とする地域のかかりつけとして、地域の医療と介護を担ってきた「医療法人補天会 光生病院」。整形外科、内科、呼吸器科、消化器内科、循環器科、外科、リハビリテーション科と幅広く診療する。整形外科を担当する石丸雅巳院長は、健康寿命を延ばすためのリハビリにも注力。地域のニーズに応える医療と介護の充実をめざし、病院からクリニックへの転換を決意したという。2025年4月1日より「光生クリニック」として新たなスタートを切る石丸院長に、地域医療にかける思いや、今後の展望などについて聞いた。
(取材日2024年12月12日)
地域のニーズに応え、高齢者の医療と介護に尽力
こちらの歴史や特徴を教えてください。

開院は1985年です。ここはもともと別の病院があったのですが、桜井で代々内科診療所「石丸医院」をしていた父が理事長になり、今の「光生病院」が新たに開院されました。当時、家族の負担の大きい方、一人暮らしの方が入所できる施設や入院できる病院が少なかったこともあり、地域においてそういった役割を担う場所が必要だと考え開院したと聞いています。2018年に私がここに戻ってから整形外科を担当し、内科は父と愛媛大学からの非常勤医で診療しています。2ヵ所ある法人内の介護老人保健施設とも連携し、一般診療だけでなく、通所リハビリ、短期入所、介護診療も含めて、地域のかかりつけとしての役割を担っています。
2025年4月にクリニック化するにあたって、どのような点が変わるのでしょうか?
現在は一般病床51床と介護老人保健施設「いまばり光生園」と「おおにし光生園」で成り立っていますが、今後さらに高齢化が進むと、介護や福祉の需要が高くなります。昨今の地域における病院の機能を考えると、それぞれの医療機関がそれぞれに必要とされる役割を担うことが重要だと考えてきました。私たちのような地域に密着してきた医療機関は、地域の人達にとってのかかりつけであるべきだと思っています。今回のクリニック化にあたり一般病床を転換し、医療と介護を連携・集約させた新たな展開を考えています。また、地域の方にとってより通いやすく相談しやすい医療機関であること、介護やリハビリなどの設備もあり、必要に応じて専門の病院と連携し、患者さんの不安や負担の軽減につなげることができるかかりつけでありたいです。
医療と介護を包括的に考えていらっしゃるのですね。

患者さんにとって、治療はもちろんですが、治療後の生活も大切ですからね。要介護や要支援の方、独居の方のサポートは私たちの重要な役割です。大きな病院で専門的な治療を終えて退院された後の住居や日常生活を考えていくと、介護老人保健施設や小規模多機能型居宅介護、サービスつき高齢者向け住宅などの需要はますます高まっていくのではないか。そんな考えもあり、クリニックへの転換を決めました。当院は幅広い診療科目に対応していますので、気になることは気軽にご相談いただきたいです。懸命に頑張ってくれている理学療法士、作業療法士によるリハビリも充実しています。日常の中でリハビリをしっかり続けることで筋力の維持を図り、骨折のリスクの軽減をめざすことが健康寿命の延伸にもつながります。加えて、加齢とともに想定される痛みや不調を少しでも和らげられるよう診療することで、地域の方々が長く健康を維持するための一助になれば幸いです。
専門とする整形外科診療に注力し、リハビリも拡充
整形外科の診療についてはいかがですか。

当院では高齢者に多い四肢や関節の疾患、腰痛症や骨粗しょう症はもちろん、お子さんから年配の方まで一般的なケガやスポーツ傷害、リハビリの診療も行います。具体的には、変形性膝関節症、五十肩などの肩関節周囲炎などに対しては主にヒアルロン酸注射や超音波検査装置を用いた局所ブロック注射やリハビリにも対応しています。他には腰痛や肩凝り、骨粗しょう症治療にも注力しています。超音波検査装置以外に、精密な骨密度検査機器やCTもあり、精密な治療につなげるとともに、できるだけ患者さんやご家族にわかりやすく説明するよう心がけています。リハビリに関しては、理学療法士、作業療法士が在籍し、外来や通所リハビリ、短期入所、介護診療などにも力を入れています。ウォーターベッドなどの物理療法用機器も備えていますよ。義肢装具士が定期的に来院し、患者さんに合った義肢や装具を製作する装具療法も行っています。
先進的な技術研究にも注目されているそうですね。
変形性膝関節症に対して、ヒアルロン酸注射などの保存治療で効果が乏しい場合、人工関節に置換する手術が行われています。しかし、患者さんにとっては手術後の痛みや長期入院、長期リハビリが必要になることなど心身ともに負担が大きく、満足度が得られにくいことがあります。近年では新しい治療法の研究も進み、手術以外の選択肢も広がりました。それらを積極的に取り入れることは患者さんのメリットにもなるでしょう。また、除痛・沈痛を目的に行う局所注射でも超音波検査装置を使います。痛みの原因となる部位、靱帯や腱、神経や筋肉などが、一人ひとり異なる中、患部やその周辺の血管・神経の位置を特定できるので、不要な損傷をできるだけ回避し、より適切な部位に注射することが望めます。このほか、痛みの緩和に使う体外衝撃波治療なども取り入れています。地方であっても先進の医療を提供できるよう、これからも幅広い分野の勉強をしたいです。
医師としてやりがいを感じるのは、どのような時ですか。

なかなか良くならないと来院された方に喜んでいただけた時ですね。一見同じような膝や肩、腰の痛みを抱えた方も、人によって病状が異なる場合があります。その原因がわかったり、注射や薬の処方、リハビリなどで痛みや症状が良くなると望めたりする場合に、患者さんの喜んだ顔が見られたらうれしいですね。地域の皆さんが新しい治療や検査を無理なく受けられるように、診療科にとらわれず幅広い分野の知識や情報をアップデートしていくための研鑽は欠かさないようにしたいですね。
診療科にとらわれず、何でも相談できる場所をめざす
先生が医師の道を志されたのは、やはりお父さまの影響ですか。

やはり父の影響は大きいですね。夜中でも電話がかかってきたら酸素ボンベを担いで自転車で往診に行ったり、私がケガをしたら傷を縫ってくれたり、診療科にとらわれず幅広く医療を提供する父の姿を見て育ちました。子どもの頃から文集にも医師になりたいとずっと書いてましたね。その頃からプライマリケア(初期診療)のできる医師になりたい気持ちが強くありました。私は久留米大学医学部を卒業後、福岡大学医学部の第二外科に入局し、呼吸器外科、消化器外科、乳腺外科などで一般外科を経験させていただきました。当時の上級医の教えは今でも診療に役立っています。その頃から診療科が細分化されていて、一般外科を診察していた私は骨折や脱臼、創傷などの患者さんに直面することは少なかったのですが、救急当直時には外傷の患者さんや変形性疾患を持った患者さんも多く、それらの治療をきちんと勉強したいと思うようになり、整形外科にも興味を持ちました。
先生のリフレッシュ法を教えてください。
趣味は釣りとゴルフです。どちらも子どもの頃、父に連れられて行って覚えました。スタッフにも同じ趣味の人がいて、時間を見つけて一緒に楽しみ交友を深めています。また、病院関係でフットサルチームがあることを知り、私も小さい頃にサッカーをしていたので、ずっと動かしてこなかった体にむち打って参加させてもらっています。病院の中だけでは、なかなか皆さんと打ち解けて話す機会は少ないので、意見を出し合える関係づくりの良いきっかけにもなっているかと思います。
最後に今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

やはり一番に考えるべきは患者さんの健康。今後は診療とリハビリ、介護サービスをワンストップで提供できる体制を整え、地域の方々が安心して、負担なく医療と介護につながる医療機関をつくっていきたいと考えています。また、患者さんからすると、複数の医療機関を受診するのは負担が大きく、どの診療科に相談したらいいかわからないこともあると思います。診療科にとらわれず気軽にご相談していただければと思います。