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白井 信 院長の独自取材記事

宮内医院

(松山市/梅本駅)

最終更新日:2019/08/28

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1947年の開院以来、70年以上この地に根差してきた「宮内医院」。この歴史あるクリニックが、2018年4月から新たな体制で始動している。新院長として就任したのは白井信先生。愛媛県立中央病院など基幹病院で外科の最前線を務めてきたエキスパートだ。外科医師から開業医へ転身した理由、また地域において理想とする医療とは。そんな疑問を投げかけていくうちに、これまで病院で交わしてきた患者やその家族との時間、院長自身が追求する「町医者としての医療」が見えてきた。真っすぐなまなざしで患者について語る院長を通して、“人と人”を根幹に置いた診療への想いに触れた。
(取材日2019年6月27日)

外科医師から開業医へ、人を診る全人的医療をめざす

こちらを引き継いだ経緯を教えていただけますか?

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愛媛大学医学部を卒業後、外科医師として愛媛県立中央病院や今治病院、南宇和病院に勤務し、特に消化器外科の専門性を追求しつつ「医師としてもっとできることがあるのではないか?」と。そう考えながら経験を積むうちに、もう少し違った形の医療に興味が湧いてきました。それが全人的な医療。病院ではできない「町医者」をテーマに地域に根差した医院で患者さんと向き合いたいと思い、当院を引き継ぐことを決めました。

病院でのご経験について聞かせてください。

特に県立中央病院勤務時代は消化器外科で、胃がんを中心に手術をしてきました。手術には心血を注いできたと言い切れますし、経験への自負もあります。ただ僕はそれ以上に、患者さんやそのご家族との関わりの中で育てていただいたと思っているんです。人と人との関係の中で、医師という仕事についての考え方を学びました。外科医師は、手術をしたらそれで仕事完了というイメージがあるかもしれません。でも実は、患者さんと術前に出会い、たくさん会話をし、一緒に手術を乗り越えて、経過を診る。抗がん剤治療をしても、もし再発したら手術をして…というように、一人の患者さんと長く関わっていく立場でもあるんです。医師や看護師がみんなで葛藤しながら、患者さんのために何ができるかを模索していく。常にそう考えてきたので、今のスタイルにたどりついたのも必然だったのかもしれません。

病院で診ておられた方々を通して得たものが多かったと。

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そうです。ある患者さんとのことですが、術後の経過中に合併症を発症し、残念ながらお亡くなりになられた方がいらっしゃいました。その時に、ご家族の方が「父は先生が好きで、信用して治療を受けたので、悔いはないと思います」と言ってくださったのです。きっといろんな思いを持たれていたはずです。それでも僕にこうした言葉をかけてくださった。本当に救われました。お一人お一人と、人と人として向き合い診療していくことの大切さを改めて実感したんです。僕はできれば、患者さん皆さんと長くお付き合いしていきたかった…。今も思っています。このご家族だけでなく、僕が携わらせていただいた患者さん、ご家族の方々への感謝は忘れません。

こちらで勤務されていかがですか?

基幹病院にいた頃とは診る疾患の種類がまったく異なります。病院では自分の専門とする疾患を中心に診ていましたが、今はあらゆる訴えで来られる患者さんを診ています。一人ひとりのニーズにお応えするために、常に勉強です。風邪や腹痛などの一般的な内科の症状はもちろん、捻挫や骨折などのケガで来られる患者さんもいらっしゃいます。もともと外科という場所はさまざまな状態の患者さんを受け入れるところですから、どういった症状でも対応できますが、今後も幅広く勉強していきます。また、こうして一年たつと少しずつ人間関係ができて、患者さんがいろんなお話をしてくださるとうれしいですね。今後も患者さんとのコミュニケーションを深め、ちょっとしたことでも相談してくださるようなお付き合いをしていきたいです。

どんな症状でも悩みでも、すべてを受け入れることから

テーマとして掲げる「町医者」とは、どのような存在なのでしょう?

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患者さんの病気だけでなく、全体を診る医師ですね。患者さんを一人の人としてライフスタイルや背景も把握してしっかり向き合えるのが「町医者」の醍醐味だと思います。そしてあえて専門に特化せずにすべてを受け入れる。どんな症状であれ、とにかく来ていただくことが重要ですから。僕は町医者に特化して、どんな患者さんが来られても、まずはその方の声に耳を傾け、患者さんが何を求めているかを見極めることに注力しています。

あえて専門性を持たないというのはなぜですか?

医学の進歩は、医療機器や情報化の進歩です。知識は得ることができますが、機器などまで先進医療を追求するには、医院ではどうしても限界があります。ですから、大きな病院とは異なる役割を担うべきだと思っています。では町医者にしかできないことは何か? それが、何でも受け入れることです。地域の人々の最初の窓口として、まずは当院に相談していただけるように、間口を広げていくことが僕の役割だと考えました。患者さんの症状をしっかりと診て、より専門性が必要と判断した場合には、きちんと紹介をする連携体制も整えています。地域のクリニックと基幹病院が互いの役割を全うし、連携する。それが患者さんの利益になると思っています。

どのような患者さんが来院されますか?

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熱がある、喉が痛いなど具体的な症状を訴えて来られる方もいれば、ふわふわする、だるいなど抽象的なことまでさまざまですね。年齢も小学校に上がる前のお子さんから100歳近い高齢の方まで幅広いです。この地域は松山市内でも比較的昔から住まわれている方が多く、親子3世代同居や近所におじいちゃんおばあちゃんが住んでいるというケースも少なくありません。ですから、おじいちゃん、おばあちゃんとお孫さんが一緒に通院されるということもありますね。院内が患者さんの声でにぎやかだとうれしい気持ちになります。

人と人との関わりから、幸せを分け合えるような医療を

患者さんと接する上で心がけていることはありますか?

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患者さんの気持ちになって不安をくみ取ることですね。常に「患者さん側に立って想像する」ことを大切にしています。例えば、ちょっとした体調不良から受診してみたら精密検査になり、手術が必要と言われ…それはきっとものすごく不安だろうなと。それを一つずつ取り除けるように、ご本人が安心できるまでお話しして、一緒に進んでいけるように心がけています。あえて言いますが、僕はやっぱり人が好きだから、もっと踏み込んでその人を知りたいと思うんです。そして、僕ができることはすべて提供しますし、僕もやりがいや幸せな気持ちをいただいています。先日、優しそうな息子さんが年老いたお母さんを連れて来院されたのですが、診察中もそばで見守っていらっしゃるのがほほ笑ましくて。とても幸せな気持ちをもらいました。そんなふうに、僕と患者さん、”お互いさまの精神”で幸せを分け合っていけたら良いなと。そんな医療が僕の理想です。

先生のリフレッシュ方法を教えてください。

大自然の中でキャンプですね。意外と冬が良いんですよ。火をたいて暖を取りながらお酒を飲むなんて最高ですね。とはいえなかなか行けないので、今治病院や南宇和病院に単身赴任をしている時は家の中で飯ごう炊飯をしたり、アウトドアチェアに座ったりしてキャンプ気分を味わっていました(笑)。主に家族やキャンプ仲間と楽しんでいますが、子どもたちも大きくなり、そろそろ一緒に行ってくれなくなる年頃に…。親としては少し寂しいですが、仲間と楽しみます(笑)

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

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町医者の存在意義は、大きな病院ではカバーの難しい、人と人とのこまやかな部分にあると思います。ですから、「こんなこと言っていいの?」「いつものことだし、まあいいか」というような些細な気づきやちょっとした症状、生活の中でお困りのことは気兼ねなくご相談ください。見落としがちな症状に大病が隠れているかもしれませんし、また何気ない会話から日常的に悩んでいた痛みを解消する突破口が見つかるかもしれません。どんな訴えでも、しっかりお話を聞いて寄り添い、一緒に解決へと向かっていけたらと思っています。当院ではバリアフリーを進めるなど、ハード面でも通院しやすい医院づくりをしながらお待ちしています。当院を、僕を頼ってきていただいたすべての方の、その思いにお応えしたい。これが町医者としての僕の決意であり、それが僕の使命だと思っていますので。

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