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小出 真弓 院長の独自取材記事

グレイスベルクリニック

(名古屋市中区/大須観音駅)

最終更新日:2024/02/01

小出真弓院長 グレイスベルクリニック main

観光客や買い物客でにぎわう大須の街中に、産婦人科・婦人科の診療を行う「グレイスベルクリニック」がある。前身は長年地域の女性の健康を支えてきた「加納産婦人科」で、7年前に分娩を取りやめていたが、中区で分娩に対応する医療機関が不足し、地域での出産を望む声が高まる中、2021年に分娩を再開。翌2022年に医院名を改称し、新たな体制でスタートを切った。所属する医療法人葵鐘会グループの協力を得ながら、安心して地元で子どもが産めるような環境づくりにまい進している同院。2024年1月に院長に就任した小出真弓先生に、「明るい産婦人科医院」をめざす同院の取り組みや、今後の展望を聞いた。

(取材日2024年1月12日)

名古屋市中区で出産ができる産科医院として分娩に注力

まず、こちらの医院の概要についてお尋ねします。

小出真弓院長 グレイスベルクリニック1

当院は、愛知・岐阜県を中心に20以上の産婦人科や小児科の医院を持つ医療法人グループに所属しています。グループには多くの医師が在籍しているため、医師同士で相談や意見交換ができること、先進の知識や治療法について各院で共有できることが、大きな強みですね。医師が多い分、診療の守備範囲も広く、麻酔科を専門とする医師もいますし、産婦人科では不妊症、腹腔鏡下手術、漢方薬、小児科では発達障害など、特定の技術や知識を要する分野においても対処することが可能です。当院は医院ではありますが、グループ内の連携で、医師・スタッフの層の充実を図り、総合病院の産婦人科レベルと遜色ない医療を提供したいと考えています。

法人グループのネットワークをどのように診療に生かしているのでしょう。

例えば、無痛分娩や帝王切開では系列医院に在籍する麻酔科医師が当院に来て麻酔処置を行います。出産後の1ヵ月健診なども、系列医院から小児科医師を呼んで行っています。一般の産婦人科医院では、分娩時の麻酔も乳児健診も産婦人医が対応することが多いと思いますが、当院では専門分野の医師が対応することでより充実した医療の提供をめざしています。また、私たちの法人グループは、学会のガイドラインに則った標準治療をベースとしながら、その上に先進の知識や技術、治療法を取り入れることを基本方針としています。この安全性を重視しつつ質の高い医療を追求する姿勢や気風は、そのまま当院の特色や強みにも結びついていると考えています。

一度取りやめていた分娩を、2021年から再開されたそうですね。

小出真弓院長 グレイスベルクリニック2

当院の前身である加納産婦人科では、約7年前までは分娩に対応していたのですが、スタッフ体制の問題もあり、扱いをやめていました。しかし、名古屋市中区全体でも、徐々に分娩を行う医院や病院が減ってしまい、ついには区内に出産できる場所がなくなってしまったのです。一方で中区周辺では近年、新しいマンションが数多く建設され、それに伴って若い家族世帯が増えてきたんです。そこで再び分娩を行えるようにしたいと、2021年の5月から分娩の受付を再開。今に至ります。やはり産婦人科の大きな役割の一つが分娩だと思うので、地域の妊婦さんを妊娠期から出産、産後のフォローまでトータルでサポートしていきたいと思います。

年代を問わず女性の体と健康をサポートしたい

分娩では無痛分娩にも対応されていると伺いました。

小出真弓院長 グレイスベルクリニック3

硬膜外麻酔による無痛分娩を行っています。痛みに応じて麻酔薬を追加することが可能ですので、リラックスした気持ちで出産に臨んでいただけると思います。お母さんの心と体の負担軽減が大きな目的ですが、一方で分娩の進みが遅くなる心配があり、プラスの費用もかかるため、こちらから強く勧めることはありません。しかし、体への負担や疲労を減らすことで産後の体力回復を早め、育児へのスムーズな移行が期待できるという側面もありますので、選択肢の一つとしてお考えいただけたらと思います。当院では、医師や助産師さんとの話し合いの中で、自分が望むお産について考えてもらい、最終的な分娩方法は妊婦さんに決めていただくという方針です。無痛分娩を希望される方には、麻酔の安全性についてしっかり説明します。また、自然分娩を希望された方でも、分娩が始まってから想像以上に痛みが強く麻酔を希望される場合にも対応できるよう体制を整えています。

助産師相談も行っているとか。

はい。医師には話しづらいことや、母乳の悩みなど、助産師さんと時間をとって話ができる助産師相談も行っています。妊娠・出産・育児は一人では乗り越えるのがつらい部分もありますから、どんな場面であっても、ぜひ専門職を頼ってほしいですね。

婦人科診療ではどのような症状に対応していますか?

小出真弓院長 グレイスベルクリニック4

月経異常から更年期まで、年代を問わず女性の体と健康をサポートしています。自分の体なのに、自分ではよくわからないのが婦人科の疾患だと思います。ちょっとでも違和感があれば、早めの受診をお勧めします。また、昨今気になっているのは、性感染症の患者さんです。当院には気軽に検査にいらっしゃる若い方も多いですが、受診を躊躇している方も一定数いらっしゃると思いますので、何らかの気になる症状があればぜひ検査を受けてください。状況によってはパートナーの方も一緒に受診していただけると良いと思います。

女性は体調変化も多く、不安を抱えている方も多いと思います。

女性の体調はひと月の間に変化し、一生の間にも大きく変化していきます。子育てに忙しい、仕事が順調、介護をしなければならないなど、人生の忙しい時期に限って体調も崩しがちです。心と体は密接に関係していますから、心理的な大変さが体に影響を与えることも少なくないでしょう。だから何か目立った症状があるわけではなくても、「なんとなく体調が悪い」「なんとなくいつもと違う」という実感があれば、来院いただきたいのです。実際に「先生とおしゃべりしに来た」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいますが、それだけでもいいんです。お話ついでにちょっとした不調の相談をしていただけたらと思います。

めざすはいつでも相談できる「明るい産婦人科」

ところで、先生はなぜ医師をめざされたのですか?

小出真弓院長 グレイスベルクリニック5

父が当院の前身である加納産婦人科の院長だったんです。私は子どもの頃からここに顔を出して、その後長年働いているので、職場でありながら自分の家以上にくつろげる場所でもあります。そもそも医師になれとか、病院を継いでほしいと言われたわけではないのですが、父の働きぶりを見て自然に産婦人科の道を歩んでいました。今となっては、昼夜のない仕事は大変だなあと思いますが、自分が小さい頃は日本中の大人が昼夜なく働くことが普通でしたから、それほど抵抗はありませんでしたね。当院では婦人科も診療していますから、10代から90代まで幅広い年代の女性がいらっしゃいます。女性の一生を通じてサポートできるこの仕事にやりがいを感じています。

妊婦さんへのメッセージをお願いします。

初産はもちろん、2人目、3人目であっても、妊娠や出産は大変で不安なことも多いでしょうから、どんな些細なことでもお尋ねください。当院では、妊娠における異常を見逃さないように、丁寧な妊婦健診を心がけています。多くの場合、妊娠も出産も正常に推移しますが、万が一のリスクを常に頭の片隅に置くことで、より安全に配慮した出産につながると思うんです。これまでリスクの高い出産をいくつも診てきましたから、妊婦さんをそういった危険にさらさないための適切な医療を適切なタイミングで提供したいと考えています。健診はもちろん、気になることがあればいつでもいらしてください。

今後はどんな医院にしていきたいとお考えですか?

小出真弓院長 グレイスベルクリニック6

しばらく取りやめていた分娩を2021年に再開することができました。前身である加納産婦人科で生まれた赤ちゃんが成長し、妊婦さんになって受診されると、地元に根差して医院を続けてきた意義をあらためて感じています。その思いを胸に、中区に住んでいる妊婦さんが地元で出産したいと考えた時、選択肢の一つとなる産婦人科をめざしていきたいです。家から近ければすぐに受診でき、急変にも対応できます。出産において医院へのアクセスは重要なポイント。地域の妊婦さんたちに選んでいただけるよう、すべての方が来院しやすい明るい雰囲気の医院でありたいです。私はこの街で生まれ育った大須っ子で下町の人間です。楽しい雰囲気で女性の人生を少しでも幸せなものにできるよう、スタッフ一同で努めています。ぜひ一度足を運んでいただけるとうれしいです。

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