吉武 宣明 理事長、松尾 直裕 院長の独自取材記事
愛和クリニック
(古賀市/古賀駅)
最終更新日:2026/09/28
「愛和クリニック」は、1986年に古賀中央病院から独立し、長く「愛和病院」として親しまれてきた後、2025年10月に19床のクリニックとして原点回帰を果たしたクリニックだ。培ってきた医療の質とホスピタリティーはそのままに、さらなる医療サービスの拡充をめざしている。同院をけん引するのは、整形外科・麻酔科を専門とする吉武宣明理事長と、日本産科婦人科学会産婦人科専門医の松尾直裕院長。産婦人科全般に対応する中、無痛分娩に麻酔科を専門とする医師が対応している点は同院の特徴の一つ。医療に対する真摯な姿勢が印象的な吉武理事長と松尾院長の2人に、宗像・糟屋北部地域の産婦人科医療を支える同院について話を聞いた。
(取材日2026年9月5日)
クリニックだからこそのきめ細かいサポートをめざして
まず御院について教えてください。

【吉武理事長】長く「愛和病院」として親しんでいただいた当院は、2025年10月に19床の「愛和クリニック」に改名。以前から、産前産後のサービスを拡充したいという思いがあり、その場所を確保するため減床を決断しました。
【松尾院長】当院には、古賀市を中心に周辺地域からも多くの方が来院されます。当初は古賀中央病院の中にあり産科としては70年、分離してから40年近い歴史の中、半数のスタッフが勤続15年以上ということもあり、久しぶりに来院されても安心感を持ってくださるようです。
お二人のご経歴について伺います。
【吉武理事長】1994年に杏林大学を卒業後、整形外科医として東京の厚生中央病院に勤務しました。その後、当院を運営していた兄から「手伝ってくれないか」と声をかけられ、帰福を決意。ところが戻った途端、兄から「麻酔科医が退職するから、麻酔科を勉強してくれないか」と言われ驚きました。新たに大学に入局することには勇気がいりましたが、整形外科にはない領域を学ぶことに魅力を感じ、転居と同時に大学に入局して研鑽を積みました。現在も週に1度、大きな手術を行う医療施設に赴き、技術の向上と維持に努めています。実は妊婦さんの腰の麻酔は難しいという話は麻酔科の同志の中でよくでますが、整形外科医として脊椎の手術をし、実際に構造を目視してきた経験が生きていると感じています。
松尾院長のご研鑽もお聞かせください。

【松尾院長】福岡大学医学部卒業後、産科・婦人科の幅広い研鑽を積み、産婦人科専門医として、長く診療に取り組んできました。産婦人科医療に携わる中で漢方と出会い、大学病院以外では数少ない漢方医療を専門とする医師のもとで学びました。その後、日本東洋医学会漢方専門医を取得し、現在も産婦人科の診療で、症状に応じて漢方を処方しています。当院には2009年に入職し、副院長を経て2022年より院長を務めています。
麻酔科と産婦人科が連携し、無痛分娩を提供
御院では無痛分娩に対応されているそうですね。

【松尾院長】無痛分娩とは、麻酔を使って出産時の痛みの緩和を図る分娩です。硬膜外麻酔によって、おへそから下の痛みを部分的に調整し、お産の際の苦痛緩和をめざします。痛みから解放されることが期待でき、息む時以外はご家族と普段通りに会話できるため、落ち着いてお産できることが大きなメリットで、充実感につながると思います。一方で麻酔を使用するため、デメリットもあります。医療従事者だけでなく、妊婦さんやご家族にも十分に理解していただいた上で、選択していただきたい分娩方法です。
御院で行う無痛分娩の特徴について教えてください。
【松尾院長】当院では、吉武理事長が無痛分娩の麻酔を担当しています。これは、産婦人科医にとっては安心感があり、妊婦さんにとっても不安軽減につながると考えています。無痛分娩を希望される場合、教室とは別に、1人あたり約40分かけて麻酔について説明し、分娩当日も麻酔が安定するまで付き添います。また、無痛分娩でも自然分娩と同じように助産師がお産をサポートし、安全性に配慮したお産を心がけています。
【吉武理事長】無痛分娩の麻酔は、薬剤や濃度、使用する機械、硬膜外麻酔の方法などが施設によって異なります。当院では4種類の薬剤を使い分け、痛みを抑えながらも妊婦さん自身のいきむ力を活かせるよう、娩出のための運動機能を保つことを重視しています。そのコントロールには麻酔科医の経験が生きており、妊婦さんに合わせて麻酔をアレンジする判断や、その際生じるトラブルについても可能な限り対応ができる事が重要と考えています。
それぞれのお立場から無痛分娩への考えをお聞かせください。

【吉武理事長】麻酔について詳しく説明するのは、無痛分娩中にどのような医療行為を受けているか知っていただきたいからです。分娩中に何か起こる可能性はゼロではなく、血圧が下がって吐き気がすることもあります。そのメカニズムや対応について事前に知っておけば、パニックを起こすこともないでしょう。説明が負担にならないよう、できるだけわかりやすくお伝えすることを心がけています。
【松尾院長】昔は特殊なお産というイメージがあった無痛分娩も、今ではバースプランの一つです。ただし、命に関わる合併症の可能性もあるため、十分な体制が整った施設で選択すべき分娩方法です。当院では、妊婦さん一人ひとりにスタッフがつくため、無痛分娩に対応するのは多くても週お二人。妊婦さんをしっかり診ていく無痛分娩が当院の特徴です。
産前産後も支え地域に信頼されるクリニックでありたい
診療において大切にしていることは何でしょう?

【吉武理事長】麻酔に関しては、無痛分娩でも帝王切開でも、妊婦さんからは見えない背中側に針を刺します。そのため、できるだけリラックスしていただけるよう心がけています。妊娠中には麻酔方法やリスクについて十分に説明し、変化を感じたら我慢せず伝えていただくようにしています。また、手技はできるだけ短時間で行うことを努めていますが、針を刺す場所や角度などは整形外科医としての経験を基に工夫しています。
【松尾院長】妊婦検診では、一人ひとりに長い時間をかけることが難しく、家族背景までお聞きするのは難しいのが現状です。そこで当院では、妊娠中に4回ほど「妊婦さんのサポート」という時間を設け、助産師が1時間ほどかけて話を聞いています。そこで得られる情報は非常に多いですね。このように、クリニック全体で一人の妊婦さんとじっくり話をし、信頼関係を大切にしています。
今後の展開についてお聞かせください。
【吉武理事長】当院では、産前・産後の充実したケアに力を注いできました。以前、設けていた無料相談所では、ベテランの助産師さんに相談を受けていただいていましたが、新型コロナウイルスの流行により閉所。院内にスペースができたことから再開を考えています。また、出産後のお母さんを対象としたショートステイやデイケアにも力を入れていきたいですね。整形外科医として、出産後の腰痛や恥骨離開など、骨盤周辺のトラブルをケアする女性理学療法士の育成も考えています。スタッフからのアイデアも取り入れながら、クリニックだからこそできる産前産後のきめ細かなサポートを提供していきたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

【松尾院長】当院は「喜びを幸せに、憂いを安心に変える」産婦人科クリニックをめざしています。お産の喜びや幸せを感じていただくためにも、産後のケアは非常に大切です。現在も授乳を通して母子の関係を育む母乳教室や産後ショートステイ、入院中に仲良くなった妊婦さん同士のつながりを支える、出産から2年後のお誕生日会など、さまざまな形で産後ケアを実践しています。この地域の産婦人科医療を担うクリニックとして、さらなる研鑽を積み、地域の方に信頼していただけるクリニックであり続けたいと思います。
吉武理事長からもお願いします。
【吉武理事長】妊娠から出産、育児にかけては、ご家族にとって大切なストーリーがあり、そこに私たちが介在できることに喜びを感じています。皆さんには、信頼できる医師や助産師、スタッフがいる相性の良いクリニックを、無痛分娩についても、万一のリスクに対応できる体制が整った医療機関を選んでいただき、安心してストーリーを描ける周産期を過ごしてもらいたいですね。当院の原点は、父が戦後の日本を背負う若者たちの減少、周産期死亡率の高さ、出生率の低さを憂い、産科を標榜したことにあります。出生率の低下は現代の課題でもありますが、一人でも多くの方に安心して出産を迎えていただけるよう、尽力していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは低用量ピルの処方/2970円~

