中島 真也 院長、中島 紫織 副院長の独自取材記事
なかしま外科・内科
(宮崎市/南宮崎駅)
最終更新日:2023/05/23
宮崎市中心部から南へ、中村東2丁目の国道220号から1本入った場所にある「なかしま外科・内科」。医師2人体制で内科から外科まで、検査から手術、入院まで総合的に対応可能なクリニックだ。院長の中島真也先生は優しい口調とやわらかい雰囲気が印象的。妻であり副院長の中島紫織先生は真面目な印象で、2人とも話の端々から患者に対する真摯な姿勢がうかがえる。それぞれが強みを生かしながら長いスパンで患者に寄り添い健康管理をめざす同院。紫織副院長はたとえ原因がわからなくてもまずは相談してほしいと話す。各種検査で病気の早期発見をめざしながら、必要に応じて近隣の病院とも連携して対応にあたってきた。異なるアプローチでも根底には患者に寄り添う姿勢の真也院長と紫織副院長。そんな2人に診療や患者への思いを語ってもらった。
(取材日2023年3月16日)
外科と内科の両方から総合的にアプローチ
こちらのクリニックの特徴について教えてください。
【真也院長】当院は外科を担当する私と内科担当の紫織副院長の2人体制で、検査から治療、手術や入院まで総合的なアプローチを行うクリニックです。近隣の病院とも連携を取り、患者さんを生涯にわたってケアできる体制をめざしています。この辺りの患者さんは高齢の方も多いですから、患者さんの通いやすさも大切にしています。院内は靴を脱がなくても入れるよう可能な範囲でバリアフリーにし、広めの駐車場も完備。東向きに軒を作っているので、たまにはのんびり日なたぼっこしてもらえたらうれしいです。すぐ近くの薬局への行きやすさや院内の動線もわかりやすいように工夫しています。
検査から手術までトータルケアをめざされているのですね。
【真也院長】外科や内科にも対応できて入院設備まで完備しているのが当クリニックの強みですし、患者さんも検査から手術、その後のケアと別々の医療機関にかからなくて済むのはメリットだと思います。また検査体制の充実にも力を入れていて、検査室の壁紙は森を感じるグリーンを一面にし、リラックスできる雰囲気にしました。胃カメラや大腸カメラの待合室をトイレつきの個室にしたのは、患者さんの意見から取り入れました。さらに患者さんの負担軽減をめざし、味があって飲み込みやすい麻酔薬で、眠ったような状態で検査が受けられて目覚めもすっきりする工夫をしています。もちろんできることは限られていますが、その範囲でもできるだけ楽に検査を受けてほしいと思っています。
病院や診療科を超えた連携体制はいかがでしょうか。
【真也院長】宮崎大学附属病院での勤務医時代からのつながりで病院の医師との連携を図っています。当院には診療放射線技師のスタッフも在籍していますし、CTなどの検査設備も整えていますので、当院の専門科である消化器や胃腸系以外でも泌尿器科や産婦人科系のがんの早期発見につながるよう努めています。当院で対応できない場合でも、病院とうまく連携しながら患者さんをサポートします。もちろん紹介して終わりではなくて、手術が終わって一定の観察期間が終了したら、また当院に戻ってきてもらい、長いお付き合いをしていけたらと思います。
【紫織副院長】手術が終わって外科的な処置がいらなくなった後も、私で内科の診療ができますし、1人の患者さんに対して生涯にわたり体調管理をしてさしあげられると思います。カルテに患者さん一人ひとりのオーダーメイドの年間スケジュールを記載し、それをもとに患者さんに定期的に必要な検査を提供します。
患者目線で快適な手術や検査をめざす
力を入れている治療について教えてください。
【真也院長】宮崎医科大学(現・宮崎大学)時代から腹腔鏡手術に力を入れてきました。従来のがん手術では患部を大きく開く必要があり、患者さんの術中や術後の負担が大きいことが課題でした。腹腔鏡手術では内臓の潤いを保ったまま手術が可能なので、患者さんの負担軽減につながると思います。内視鏡を用いた外科手術にも数多く携わってきましたから、その技術を地域医療でも生かせていると思います。
【紫織副院長】私は日本内科学会総合内科専門医資格を持っており、当院においても総合的な診療をめざしています。患者さんは「なぜかわからないけど頭が痛い」とか「手がしびれる」「ムカムカする」などの症状があって、「原因はわからないけどとりあえず診てもらおう」と受診されるケースが多いです。当院で対応できる場合には診断をつけて治療を進め、必要に応じて専門の医療機関につなぎます。原因不明の不調でもまずは受診されることをお勧めします。
診療の中で気をつけていることは何でしょうか。
【真也院長】患者さん目線で症状や経過の説明を行うことを心がけています。例えば診察室の机は「く」の字になっていて、患者さんと医師の角度は90度。これなら電子カルテを打ち込みながらでも患者さんの表情を見ながらお話が聞けるんです。モニターは2台設置しているので1台は患者さん専用としており、スライドの資料や手術の写真をお見せしながらわかりやすく説明します。
副院長はいかがでしょうか。
【紫織副院長】私は患者さんをよく観察して、どこか変わったところがないか注意しながら診療しています。普段よりも元気がないとか、浮腫があるとか、せっかく受診してくださったなら「何か1つでも見つけよう」という気持ちです。もちろん初診の場合でも、診断をつけるためになるべく多くの情報を集めます。昔から探偵ものの小説が好きだったので、探偵のような気分もあるかもしれません(笑)。
原因がわからなくてもまずは相談を
医師になったきっかけや、勤務医時代のエピソードを教えてください。
【真也院長】もともと化学は好きだったのですが、高校時代にテレビで人体の神秘を究明するという番組を見て「人の体」に興味を持つようになり、医学部をめざすようになりました。高校2年生の後半からという遅めのスタートでも、担任の先生の後押しもあってなんとか医大に進学。一番ハードな印象だった外科に飛び込みました。診療や勉強に追われ睡眠時間も4時間前後と多忙でしたね。それでもやりきることができたのは、プロフェッショナルな先生方や先輩方のおかげです。仲間とフォローし合ったり、手術の後にみんなで食事に行き、先輩から仕事の流儀について教えてもらったり、大変な中でも良い経験をさせていただきました。
紫織副院長はいかがでしょうか。
【紫織副院長】私は小学生の時に読書感想文の課題のために読んだ難病を題材にした本がきっかけでした。手術も完治も難しい病気に対して奮闘する医師たちの勇姿に当時は心を打たれました。勤務医時代のエピソードとしては、新人の頃に担当した病院食を食べてくださらない患者さんとの交流を今でも覚えていますね。食べない理由を尋ねたところ、「見ただけで食べたくなるようなものですか?」と患者さんに逆に問われました。確かに患者さんのおっしゃるとおりかもしれないと感じ、すぐに管理栄養士さんのところに行って改善してもらえるようにお願いしたんです。そのことを患者さんにお伝えしたら、「ありがとう」と喜んでくださって、それからは病院食を少しだけですが食べてくださるようになりました。やはり患者さんとの交流の中で学ぶことも多いものだと実感しています。
今後の展望はありますか?
【紫織副院長】病気は何よりも早期発見・早期治療が一番大事です。ご自身の体のことを考えれば、やはり先送りせずに相談してほしいと思います。どの診療科にかかればいいか迷った場合でも、当院なら外科と内科の両方のアプローチが可能です。治療方針も含めて、相談しながら一緒に考えていきましょう。私自身は日々進歩する医療の世界で、常に知識をアップデートして患者さんに貢献していきたいです。そして、どんな症状の患者さんが来られてもしっかり対応できる体制を整えていきます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
【真也院長】ご高齢の患者さんの場合、ご本人やそのご家族は、延命も含めた治療や手術をするかどうか悩まれることもあると思います。当院では、ご高齢であってもご本人の健康状態に合わせて治療を提供する方針です。大切なことは後悔のない治療ですから、ご家族が患者さんにしっかりと向き合って選択できるようにサポートいたします。医師という立場の重さを理解しながらも、できるだけ多くの選択肢を提示できるように努めます。