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水牧 功一 院長の独自取材記事

アルペン室谷クリニック

(富山市/東岩瀬駅)

最終更新日:2022/04/20

水牧功一院長 アルペン室谷クリニック main

富山市北部の岩瀬エリアにある「アルペン室谷クリニック」。1951年の開院以来、地域住民の健康を支え続けてきた。一般内科や生活習慣病の治療を広く行いつつ、循環器内科や整形外科分野の高度な治療、訪問診療、禁煙の相談にまで対応をしている。同じグループ内に介護施設や訪問介護・訪問看護ステーション、回復期リハビリテーション病院、通所リハビリテーションもあり、地域で連携しながら切れ目のないサポートを提供している。2019年より院長を務める水牧功一先生は、長年富山大学附属病院で手腕を発揮してきた循環器疾患のエキスパート。めまいや失神の症状が出る起立不耐症の診療などにも精通しており「原因不明のつらい症状で悩んでいる方は相談してほしい」と呼びかけている。同院で提供する診療の特徴などについて話を聞いた。

(取材日2022年1月31日)

幅広い診療を提供し、地域医療の要に

クリニックの概要について教えてください。

水牧功一院長 アルペン室谷クリニック1

当院の前身である「室谷病院」が開業したのは、今から約70年前です。それ以来、地域医療の担い手として成長を続け、現在は内科全般の診療と循環器内科・整形外科の専門性の高い治療、訪問診療などに幅広く対応しています。また同じグループ内の関連施設に回復期リハビリテーション病院を中心とする「アルペンリハビレッジ」や介護・福祉分野を担う「アルペンケアビレッジ」「あしたねの森」、障害分野を担う「ワークハーバーMUROYA」訪問看護ステーション、通所リハビリテーションなどもあり、医療のみならず介護・福祉・障害分野とも連携しながら厚いサポートを提供できるのが強みです。前院長の室谷静雄先生が整形外科を専門とされていることから、内科に加えて整形外科分野の疾患で受診される患者さんが多いですね。また生活習慣病改善への第一歩として、禁煙の指導にも積極的に取り組んでいます。

先生が院長に就任された経緯は?

私は富山大学附属病院循環器内科で約30年間、循環器疾患や不整脈を専門的に診てきました。その一方で非常勤の医師として、約20年前から週に一度ここで診療を続けてきました。その間に、この地域の多くの方々と顔なじみになることができ、同時に「これからの高齢化社会においては、地域におけるプライマリケアがますます重要になる」と実感するようになりました。そのため、これまでの専門性を生かしつつ地域医療の場で貢献したいと考え、大学を退職した後2016年12月に当院の副院長に就任させていただくことになりました。その後2019年6月から院長を務めています。

日々の診療を通じて感じていることはありますか?

水牧功一院長 アルペン室谷クリニック2

病気の背景には患者さんの生活スタイルや家族関係、食事など、日常生活が深く関わっていることをより意識するようになりましたね。例えば仕事の関係で早朝からよく体を動かす生活をしていると、血圧の変動に影響が出たりします。さまざまな患者さんのお話を伺うにつれて、そのような環境要因も健康と深く関わっているのだと、改めて実感するようになりました。このように、病気だけでなく患者さんご本人を診る全人的医療こそが、地域医療の現場で必要とされているのだと感じています。またこの地域は高齢で一人暮らしをされている方も多いので、家族関係についても把握し、どんな状況で困っていらっしゃるのか確認することも重要です。通院が困難な方に対しては訪問診療や往診を行ったり、必要に応じて訪問看護や訪問介護のスタッフに協力を求めたりして、それぞれの患者さんに合う医療やサービスを提供できるように努めています。

めまい、立ちくらみや失神に悩む人の診断・治療に注力

先生のご専門について詳しく教えてください。

水牧功一院長 アルペン室谷クリニック3

日本循環器学会循環器専門医として、長年循環器内科の診療に携わってきました。この分野を専門に選んだ理由は、患者さんに最後まで寄り添って治療できることに魅力を感じたからです。がんなど手術が必要な病気は、診断がつくと患者さんを外科へ引き継ぐことになりますが、循環器内科の疾患は最初の診察から検査・治療まで、自分ですべて責任を持って担当することができ、退院に立ち会えることにも大きなやりがいを感じてきました。大学病院時代には、不整脈専門の医師として診療・研究に携わり、めまいや立ちくらみ、失神のため、立っていることができなくなる「起立不耐症」という症状について研究し、専門的な知見を身につけることもできました。

起立不耐症という言葉は、初めて聞きました。

起立不耐症とは、自律神経の調節の異常などによって、立ったときの血液循環に問題が生じてめまい・立ちくらみのため立っていられなくなり、いわゆる“貧血を起こして倒れる”血管迷走神経性失神を起こしてしまう症状などの総称です。私がこの病態に関心を持ったのは、仕事中に倒れた若い患者さんを検査していて、失神が起きたときに心臓が十数秒間も止まった状態になっているのを発見したのがきっかけでした。こんなに循環状態に影響が出るのはなぜなのかと疑問を抱き、研究するようになったのです。当時は国内でこの病気の研究をしている人は少なかったんですよ。原因の一つとしては、緊張状態やストレスからくる自律神経反射が考えられ、血液の循環に影響が出て立っていられなくなります。そのため、自律神経活動が自然に衰えてくる高齢の方は発症しにくく、若い人に多い症状なのです。子どもの場合は「起立性調節障害」とも呼ばれます。

どんな対処法があるのですか?

水牧功一院長 アルペン室谷クリニック4

いくつかの薬物療法もありますが、まずは生活指導、すなわち運動、睡眠、食事の見直しによって症状の緩和を試みます。また、起立トレーニングというトレーニングを通じて発症の予防を図ることもあります。症状がある人でも、起立不耐症だと気づいていない人がたくさんいらっしゃいますので、まずは専門的な検査をして診断をつけることが大事です。中には、起きたくても起きられないのに「怠け病だ」と誤解されて余計につらい思いをされている人もいますから。いつまた倒れるかわからないという不安がストレスになり、それが原因で症状が悪化してしまうケースも見受けられるので、早めに診断をつけて悪循環を断つことが早期改善への鍵となります。当院のホームページなどにも情報を掲載していますが、まだ認知度の低い症状ですから、ぜひ多くの人に知っていただきたいですね。

苦しむ人の助けになりたくて医師に

先生が医師になられたきっかけは何だったのですか?

水牧功一院長 アルペン室谷クリニック5

私が小学生の時に、大好きだった祖母が寝たきりになってしまいました。往診を受けながら療養生活を続けていたのですが、最期は自宅で息を引き取りました。祖母が苦しそうにしている様子をずっと目の当たりにしてきたので、同じように苦しんでいる人を助けてあげられる人になりたいと思い、医師になろうと決意したのです。何か祖母を助ける手段はなかったのかと、今でも当時を思い出します。地域で困っている人のかかりつけ医としてお役に立ちたいと思うようになったのも、あの頃の経験が影響しているのでしょうね。

今後の展望についてお聞かせください。

当院の関連施設であるリハビリテーション病院から、「患者さんがどの程度の運動をしても良いのか、心臓のリスクを診てほしい」という依頼がよく来ます。リハビリのために運動をしたいけれど、心臓発作などが心配でためらっている人は多いようですから、循環器のリスクを専門的に検査する外来を発展させたいと考えています。新型コロナウイルス感染症の影響で、その実施には制限もありますが、当院には24時間心電図や心エコー、運動負荷試験の機器など必要な設備は一通りそろっていますから、今後はさらに発展させていきたいですね。

健康に関するアドバイスや、先生が実践されている健康法があれば教えてください。

水牧功一院長 アルペン室谷クリニック6

禁煙は生活習慣病の治療の一丁目一番地です。治療の成果につなげるためにも、喫煙されている方はまずタバコをやめることから始めましょう。それから健康のためには、バランスのいい食事や適度な運動を意識することも大事ですよ。私自身、1日1万歩の運動と糖質制限を続けることで、体重を7、8キロ落とすことができました。実際に痩せて体調が良くなったと感じているので、元気に動ける世代の方にはぜひお勧めしたいですね。他には、登山をするのもいい気分転換になります。私は高いところが少々苦手なので、安全に登れる山を選んで登っています(笑)。自分自身の健康も維持しながら、地域の皆さんのお役に立っていきたいです。

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