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大石 悟 院長の独自取材記事

城南チャイルド ゼネラル クリニック

(大田区/蒲田駅)

最終更新日:2020/04/01

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東京と神奈川の境に近い大田区蒲田に、熱血の小児科医師がいた。2014年8月に開業した「城南チャイルドゼネラルクリニック」の大石悟院長だ。大学病院など大きな医療機関で経験を積み、生まれ育った蒲田で小児科と内科を掲げて開業した。近隣の多くの住民が通ってくるが、JR蒲田駅、京急蒲田駅から徒歩10分、バス停で2つ目ということもあり、勤務医時代からの患者も多い。診療ポリシーは「困っている人を助けたい」。自身の出生時のエピソードを胸に、赤ちゃんから高齢者までさまざまな疾患に対応している。一方で海上保安庁の巡視船に乗り込んでの医療活動もするなどバイタリティに満ちあふれている。

(取材日2014年9月5日)

自身の経験をきっかけに小児科医をめざす

医師を目指したのはなぜですか。

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実は、高校の勉強では英語や国語、社会といった文系のほうが得意でした。法学部にいって弁護士になろうと思った時期もありましたが、小児科医だった父に「弁護士も大変な仕事だと思うが、うちは医師が続いているから……」と言われ、その気持ちを察して医学部を目指すことにしました。しかし、すでに理系の志望者からは差をつけられていたので、数学や物理、化学の習得には苦労しましたが、なんとか頑張り先輩から学風の良さで勧められた杏林大学に進みました。大学では「名医ではなく、良医を目指せ」と教えられました。病気を診るのではなく、患者を診なさいということです。医師として大切な事を多くのことを学びました。

専門として小児科を選んだのはなぜですか。

さかのぼれば、私の産まれた時がきっかけです。私は予定日よりも2ヵ月ほど早産で、体重は1400グラムくらいしかありませんでした。46年前の医療常識では、目が見えなくなったり、命を落としたりということがあたりまえの低出生体重児でした。しかし、助産師をしていた祖母はあきらめませんでした。当時は酸素を多く与えることが治療の鉄則でしたが、外国の文献を読んで、母体の中にいるのと同じような状況をつくることがよいと学んだとのことです。今から見れば粗末な保育器に私を入れ、光と酸素の与えすぎはいけないので黒い布をかけてつきっきりで見守り、苦しい時だけ酸素を入れたそうです。おかげで、視力も悪くならず、どこの子どもよりも大きく骨太に育ちました。医師になってから子どもの患者さんにそのような話をすると、「ウソでしょ」と言われます(笑)。1度助けてもらった命の使い方を考えた時、人を助ける仕事しかないと思いました。中でも子どもの命を助ける小児科を選ぶしかなかったのかもしれませんね。

小児科を続けてきて、どのようなことを感じますか。

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子どもたちの純粋さに、いつも新鮮な気持ちにさせられます。子どもといると歳をとりませんね。感性が豊かなので、大人が何気なく見ていることでも新しい見方を教えてくれるんです。たとえば、絵本で木が揺れているシーンがあったのですが、子どもは「先生、木が揺れるから風が吹くんだよね」と言うんです。そういうふうに見えるんだ、考えるんだ……と自由な発想がうらやましくもなります。私は「そうだね」って答えました。このようなことは頭ごなしに大人が正しいと思うことを言って否定するべきではなく、子どもの想像力を大切にしたいと思っています。いつか大きくなったときに自分で気づきますから。

信条は「困っている人を助けたい」

待合室には海上保安庁のキャラクターのぬいぐるみがありますね。

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海上保安庁に縁があるんです。祖父は戦争中からの流れで1948年に海上保安庁の巡視船に乗る医師になりました。私も小さい時に横浜の港に連れて行かれ、船長さんに制帽をかぶせてもらって一緒に写真を撮ったことを覚えています。医師になってから祖父のような仕事で貢献したいと思いアプローチすると、祖父をよく知っているという幹部世代の方々がたくさんいて、機会があるごとに医師として呼ばれるようになりました。講習で救急救命について実技指導をしたり、巡視船に乗って航海に出たりします。海保の方と話していたら「海に出てからのけがや病気は自分の責任で、助からなくても仕方ないと思っている」と言うのです。海で働く人も、陸で働く人も命の大切さは変わらないのですから、大事な仕事をしているのに命落とすことはあってはなりません。

海上で数百人の命を預かるのは大変な仕事ですね。

生身の人間がいるところに医師がいないことはあってはなりません。自分の乗っている船だけではなく、救助にも向かいます。16年ほど前のことですが、ソロモン海を巡っている時に、グアム島沖で日本船籍の遠洋漁業の漁船で大けがをした方がいて、SOS通報を受けてヘリコプターで救助に行ったことがありました。腕を切ってものすごい出血をしており、海保の船に戻る時間が待てずに、ヘリコプターの中で手術を始めました。船の医務室に戻ってから多波に揺れる中で本格的な治療に移りましたが、細かい治療は小児外科の経験もありましたので、これ以上はできないというところまでの手術を行いました。午後11時半から始めた手術が終わったのは午前7時でした。この方は新婚さんで、痛みにも耐える無口な船乗りさんだったのですが、いよいよ日本に帰るという時に「奥さんに会えますね」と関係者が声をかけると、初めて笑顔を見せました。それも満面に輝く笑顔です。人助けをした実感を新たにしました。

小児科に加え、海上保安庁のお仕事とはバラエティに富んでいますね。

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共通点があるんです。小児科も専門にしようという医師が少なく、海保も協力する医師が少ないのが悩みというのです。初めての乗船時、巡視船の医務室は倉庫のような状況でした。「困っている人を助けたい」というのが私の信条です。だれも行かないなら、私が行く。横浜ベイブリッジをくぐる時には「船も人も無事で帰る」と自分に命じて出ていきます。船の中でコツコツと器械を磨いて消毒して、けがの大きさを想定して何パターンもの治療セットをつくっていたら、ある人物が「そんなに目を血走らせても、10年に1度も使いませんよ」と言いました。私はそれでもいいと思います。10年に1度だからその傷病者が助からなくてもいいという理屈はありません。国民の命を守るために海に出ている人々なのですから。常に備えておくべきなのです。一方で勤務を終えた後、医務室に傷の応急手当てなどを勉強に来る海保職員もたくさんいました。みなさん、手先が器用で覚えも早いです。

地域のニーズに幅広く応える小児科医院

こちらに開業した経緯を教えてください。

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私は大田区蒲田3丁目に生まれました。ここは蒲田1丁目ですが、開業を思い立った時に「1、2丁目には小児科がない」と聞き、自分に課された仕事と思いました。開業してみると「待っていました」「助かりました」という声をたくさんいただいています。近くに小児科がないから自転車や電車で遠方の医療機関にかかっていたということです。地域医療の利便性向上に貢献できるのは、医師冥利に尽きます。

大学病院などの大規模な病院から開業をめざされた理由は何ですか?

大学附属病院など大きな組織で診療していましたが、薬剤の選択に病院の方針があったり、小児科では家族ごと風邪をひいてしまうのに連れ添いのお父さん、お母さんの診療ができなかったりということがありました。目の前に患者さんがいるのに診療できないことに心苦しく思い小児科だけでなく、地域の皆さんのニーズに幅広く、柔軟に対応できる医療を行いたいとクリニックを開業しました。

とても明るい院内ですが、どのようなコンセプトなのですか?

赤ちゃんは、お母さんの羊水から生まれてきます。出産というのは水から陸に上がるとも言える、生命の神秘が象徴される瞬間です。そんな母なる海をイメージしようと思い、青や緑など水や空気を連想させるデザインで統一したつもりです。1階は海で、そして2階は空をイメージしています。1階では一般診療を行い、2階はクリーンさが求められる乳幼児健診や予防接種などに特化して使っているので、雰囲気を変えています。

地元生まれということですが、地元との縁を感じますか?

祖父は外科医で、太平洋戦争中と戦後では特務士官(医師)として海軍の船や引上げ船に乗っていました。戦後しばらくして蒲田に開業しました。祖母は助産師で、祖母が取り上げた方々がお孫さんと一緒に来られたりします。「おばあさんにはお世話になりました」と言われ、地元であることを再認識しますね。

小児科医としての大田区の方々へメッセージをお願いします。

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小児科の経験をずっと積んできたので、子どもの病気なら何でも診られます。加えて、大学病院などの勤務医時代は救命センターでの処置や外科手術もこなしてきました。子どもさんの症状で、皮膚科、耳鼻科、整形外科など診療科に迷うこともあるかもしれませんが、ほとんどの症状は小児科で対応できます。アトピーも十分治療できますよ。もちろん、クリニックでは特殊な治療はできませんが、そのようなケースでは設備の整った大病院を紹介します。小児科は薬の処方の仕方などで大人よりも細かいことが特徴です。私はその細かさを大人の診療にも生かして内科も掲げています。地域のホームドクターになれればうれしいと思います。ご家族で健康に困ったことがあったら、まずはお気軽に相談に来ていただきたいですね。

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