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星 敬美 院長の独自取材記事

井上医院

(中野区/新井薬師前駅)

最終更新日:2020/04/01

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西武新宿線新井薬師前駅から徒歩2分。閑静な住宅街にある「井上医院」は、戦前から続く地域密着型のクリニックだ。祖父の代からの歴史ある医院を2015年4月に継いだ星敬美院長は、医学博士、日本循環器学会認定循環器専門医の資格を持つドクター。昔ながらのアットホームな雰囲気を大切に、患者の話を親身になって聞くことを心がけている。循環器系の病気の診断や生活習慣病の治療など、専門性を生かしながら「ちょっと心配事がある方が気軽に相談できる場所でありたい」と話す星院長。動悸があって病気かもしれないと悩む患者を、的確な診断と丁寧なフォローで救うクリニックの役割や、今後の展望などについて語ってもらった。
(取材日2016年11月17日)

80年以上、地域の人々の健康を支えてきたクリニック

こちらの医院は80年以上の歴史があるそうですね。

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正確な開院年はわからないのですが、だいたい80年くらいと父に聞きました。ここより1、2軒離れた場所で、祖父が戦前から始めたそうです。祖父も父も内科です。祖父はその時代なので外科でも何でも診ていたと思いますが。祖父は私が2歳の時に亡くなっているので何となくしか覚えていないのですが、よくしゃべる社交的な人だったらしく、私はどちらかと言えば祖父に似ていると言われます。父は寡黙ですが、すごく真面目で患者さんのことを真摯に考えているな、と感じていました。

おじいさまから続く医院を継ごうと思われたきっかけは?

小さい頃から待合室で患者さんとおしゃべりをしたり、遊んでもらったりしていましたので医院が生活の一部でした。私は一人っ子ということもあって、小さい頃から「いずれここを継ぐのだろうな」と何となく思っていました。父は今も元気ですが、数年前に診療中に心筋梗塞を発症して、私が勤務していた大学病院に緊急入院したんです。同僚の救急当番の先生から「お父さんがいらしているよ。」と連絡をもらい、たいへん驚いたのを覚えています。その時、入院した父の代わりに、1週間大学病院にお休みをいただいて当院の診療にあたりました。退院してからすぐに診療を再開した父の姿を見て、医院を継承することを本格的に考えるようになり、2015年4月に院長に就任しました。

患者さんはどのような方が多いですか?

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やはり70代以降の方が多いのですが、昨年、クリニックのホームページを作ってからは若い方も増えています。「60年前に喘息で倒れた時に、祖父に往診してもらって命拾いした。」など、祖父の話をしてくれる患者さんもいますね。子ども時代をご存知の方には、いまだに下の名前で呼ばれたりもします。この辺りは街並みが変わっていないところも多く、昔ながらの雰囲気が残っていて、玄関にいつの間にか、患者さんのお庭で採れたミカンがたくさん置いてあったり、「大きなカタツムリがいたから、お子さんにどうぞ」といただいたり。そのような温かい繋がりが素敵だと思っています。「継いでくれてよかった。これで安心だ。」と、言っていただくことも多くて。ありがたいですよね。

動悸で悩む患者を救い上げ、自転車で訪問診療も

先生は循環器がご専門でいらっしゃいますが、診療で心がけていることは?

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大学病院では重症の心臓病患者さんの診療を行う集中治療室や、心臓の働きや形態から病気を診る心臓超音波検査室に勤務していました。クリニックでは、とにかく患者さんの話をできる限りゆっくり聞いてあげることが一番大切だと考えています。大学病院や総合病院には「胸が苦しい」「動悸がする」などの訴えで、多くの患者さんがいらっしゃいますが、実はその中には治療が必要でない方もいます。命にかかわるような緊急性のある病気や、高度な医療が必要な方を見極めて治療している病院だとどうしても、そういう方に時間をかけて診療することは難しいんですね。だからこそこのクリニックでは、患者さんの困り、訴えを丁寧に聞いて、検査データを示しながら「大丈夫よ。」と言って安心させてあげたいと思っています。また、精密検査などが必要な時には、患者さんにいくつかの選択肢を提示して、一緒に相談しながら方針を決めていくようにしています。

動悸を感じたりしても病気ではないケースがあるものなのですか?

ええ、結構いらっしゃいますよ。放っておいても大丈夫な不整脈だったり、じつは不整脈ではない方もいます。一度気になると余計に気になってしまう、ということはありますよね。ストレスからの場合もありますし。症状をよく伺い、通常の心電図だけでなく、24時間の携帯型心電図や必要に応じて心臓の動きや働き、形態を見る心エコーの検査などを行います。そのデータをお見せしながら、治療が必要なのかどうか、本当に不整脈なのか、それとも精神的に動悸を感じているだけで脈自体は正常なのか、丁寧に説明しています。「安心しました」と言って症状も落ち着く方が多いことを実感しています。

訪問診療もされているそうですね。

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院長に就任する前に、心臓病に力をいれた訪問診療を行っているクリニックの常勤医として1年間在宅医療に携わらせていただきました。そこでの経験を生かし、もともと通院されていた患者さんが通えなくなった場合の訪問診療を始めました。あと近所のかかりつけの患者さんから「めまいがして動けない。」などと電話がかかってくれば、医院に患者さんがいない時には「今から行きますね。」と自転車で往診に行ったりもしています。その後の経過が気になる患者さんには電話して「いかがですか?」と聞くこともあります。ただ1人でやっていますので時間にも限りがあり、できる範囲で対応させてもらっています。重症になって24時間のサポートが必要になった場合は、週に1回勤務している24時間対応のクリニックに繋いで、そのまま私が担当医として診療を続けることができるようにしています。

昔ながらの患者との温かいつながりを大切に

人と人とのつながりを大切にするクリニックの診療は、大学病院と比べていかがですか?

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クリニックでの診療は楽しく、自分に合っているなと日々思います。最近では、動悸で来られた女性に、必要な検査をして「大丈夫ですよ」とお話ししたところ、「私は病院や薬が大嫌いだったんですけど、今日来てよかった。」と言ってくださって。診察室から出ていかれるときの表情が入ってきたときと全然違ったんです。やっていてよかった、とうれしくなりました。皆さん、何か困ったことがあったら相談しようという感じで気軽に来てくださるのが何よりです。「全然、先生の科じゃないと思うけど、聞いてもいい?」とか「うちの孫のことなんですけど」とか。たとえば内科でも消化器系の内視鏡をやったほうがいい場合など、当院ではできないことはお伝えして、専門の先生のクリニックや病院を紹介しています。自分の専門外のことは抱え込まずに、地元の専門の先生や大学病院や総合病院と連携をとっていきたいと思っています。

お忙しいと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?

休日はやはり娘たちと近くの公園で遊んだり、出かけたりすることが多いですね。趣味は時間があれば本を読んでいます。最近は寝る前の時間に読んでいますが、すぐ寝てしまって全然進みませんね。あとは、子どもの洋服を作るのは好きですね。簡単なものですが、娘2人なので、おそろいの服を作ったり、楽しいんですよ。でも時間がなくて、夏のワンピースを作り終える前に夏が終わってしまったり、そうするともう次の年には着られなくなってしまいますからね。だからお姉ちゃんの分を先に作って、間に合わなかったら下の子が着られるようになるまで、寝かせておきます。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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かかりつけの患者さんから電話がかかってきて、必要なら自転車でちょっと診に行くというようなことは、できる限り続けていきたいと思います。医療に関しては新しいことを積極的に取り入れながら、昔ながらの温かいつながりは大事にしていきたいですね。駅まで歩く間に患者さんの顔がちらほら見えるのがとてもうれしいですね。何でも気軽に相談できる、ここに来ると安心する、そういう場所になれたらうれしいです。また、例えば心房細動や心不全など、慢性の病気で安定しているのに総合病院、大学病院に何時間もかけて通院している患者さんがまだまだたくさんいらっしゃいます。小さなクリニックですが、特に心臓病の診療に関しては、検査機器もそろっていますし、しっかりと診療することができますので、ぜひ有効活用してください。

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