加藤 英治 院長の独自取材記事
かとう整形外科
(川崎市麻生区/柿生駅)
最終更新日:2025/06/30

小田急線・柿生駅のすぐ近くに立つ「かとう整形外科」。同院で診療を行っている加藤英治院長は、大学病院や大学の関連病院、クリニックの整形外科で多くの経験を積んできた。同院がめざすのは、患者の話を十分に聞き、その人に合った「オーダーメイドの医療」の提供を通じ、患者の納得を引き出すこと。「例えば骨粗しょう症の治療では、詳細な検査をもとに症状はもちろん生活スタイルなども考慮し、その方が利用しやすい薬をご提案します。リハビリテーションも理学療法士を基本的に担当制にするなど、患者さんに合った治療を心がけています」と話す加藤院長。その親しみやすさや、スタッフの行き届いた対応なども、地域に根差すクリニックを支えている。今回は加藤院長に、そんな同院の特色、今後の展望などについて詳しく聞いた。
(取材日2025年3月31日)
患者が納得できる治療とリハビリテーションに努める
クリニックの特徴を教えてください。

整形外科とリハビリテーション科を標榜しており、お子さんから高齢の方まで幅広い層の患者さんにご来院いただいています。高齢の方は膝や腰の痛みの相談や、骨粗しょう症の治療など、30代から50代の方は腰痛や肩凝りといったご相談が多いでしょうか。近隣の学校から、ケガをしたお子さんや中学生、高校生も受診されます。診療面では患者さんご本人が納得できる治療を提供すること、質にこだわったリハビリテーションで痛みの解消と機能回復をめざしている点が特徴です。そのため、治療の選択肢を幅広く用意しているほか、理学療法士も5人と充実しています。これまで当エリアで地域医療に尽力してきた経験を生かし、以前の勤務先の病院や大学病院などと密な連携を取れている点も強みです。
どのような治療を行っていますか。
薬物療法や注射療法など、多彩な治療法に対応可能です。新しい情報にもアンテナを張り、常に方法を模索しながら診療しています。リハビリテーションは、電気やけん引などによる物理療法、理学療法士による可動域訓練や筋力強化などをめざす運動療法の両面から提供しています。当院では理学療法士は基本的に担当制で、患者さん一人ひとりの状態をしっかり把握できるのも強みの一つ。週2回のカンファレンスでは、特徴的な患者さんや新たにリハビリテーションを開始された方の情報を共有することで、より適切な診療につながるよう心がけています。このほか、神経ブロック注射などをより適切な位置で実施できるよう、超音波検査を用いて筋肉のつき方などまで調べます。
多彩な治療法を導入されているのですね。

多くの治療法を導入しているのは、例えば変形性膝関節症や半月板損傷などで膝が痛む場合、一つの治療で期待したような効果が見られず、落胆してしまう方も少なくないためです。痛みや動きの悪さが残り、生活や楽しみに制限がある状態では、気分も落ち込みなかなか前向きになれないもの。そうした際に、「これも試してみたい」と前向きに考えていただけるよう、多彩な治療法を取りそろえるようにしています。手術が必要と判断される場合には、近隣病院の医師に依頼可能です。顔の見える関係で、信頼できるドクターではありますが、それでもやっぱり怖いから手術は避けたいという方もいらっしゃるので、そうした方のためにも、手術以外の選択肢もご用意しておくべきというのが私の考え方です。
否定せず聞く姿勢が一人ひとりに適した治療につながる
骨粗しょう症の診療にも力を入れていらっしゃるそうですね。

当院では腰椎と大腿骨、両方の骨密度を測定するDEXA法による検査機器を設置しています。これは国際的な検査基準で、高齢の方は加齢で腰椎が変形する場合もあるため、大腿骨も測定することで精密な骨密度が判定できるのです。さらに初診の方は血液検査で骨粗しょう症のタイプを調べ、病気が進行しやすいか、薬はどれが向いているかなども確認。現在、骨粗しょう症の治療薬は、注射薬、飲み薬、毎日服用する薬、月1回服用する薬など非常に多くの種類があり、当院では病気のタイプに加え、患者さんの生活スタイルに合ったものを選んでお出しします。例えば飲み薬がうまく飲めない方は、当院で注射薬を月1回投与するなどのご提案をしています。
診療で大切にされていることは何でしょうか?
思い込みで診察、診断をせず、まず患者さんの話を聞く姿勢を大事にしています。そして診断後は、考えられる治療法の選択肢を伝え、ご本人が納得のいく医療のご提供を心がけています。たとえ同じ病名でも、患者さんごとに生活スタイルや職業、環境は異なりますから、それらに合った治療を提供する「オーダーメイドの医療」を重視し、当院のスタッフにも患者さんごとに適した配慮をお願いしています。また、部活動でのケガや故障で受診される中学生・高校生の場合、ご本人やご家族が部活動にとても熱心で、治療中も練習は休みたくないといったご希望もあります。しかし、予後を考えると安静が必要なことも考えられますから、ご本人とご家族と一緒に話し合い、納得していただいて治療を進めています。
スタッフさんと共有されている理念があれば教えてください。

患者さんのお話をよく聞くこと。否定は避けて、つらい思いにも寄り添うことは大切にしてほしいと常々話しています。整形外科を受診される方の中には、これまで何軒もクリニックを受診しても改善に至らなかったことから、治療への疑いを持っている方も少なくありません。長引く痛みに意固地になり、ご自身の考えを曲げようとしない方もいます。そうした方のお話も、はねつけることは厳禁。丁寧なコミュニケーションで信頼関係を築くようにしているのです。特に頻回に対面する理学療法士は、患者さんについて診療時には得られなかったような情報を入手する機会も多く、そうした情報をきっかけに治療を調整することも多々あります。チーム内での連携を密にし、積極的に情報共有することも大切なのです。
適切なタイミングでの適切な治療が、早期の改善に
整形外科をめざされたきっかけと、専門分野をお聞かせください。

病気を患っていた弟や母の治療を担当されたのが内科系の医師だったことから、「医師=内科」のイメージが強くあり、医学部卒業後も当初は内科を考えていました。しかし研修医時代に救命救急センターに配属された時、整形外科の治療が必要な患者さんが多い現状に衝撃を受けたのです。もともと手先を動かす処置が好きだったこともあり、整形外科に興味を持つようになりました。さらに麻酔科への配属で整形外科の手術に参加し、この分野への思いを募らせました。その後、麻酔科の先生に昭和医科大学藤が丘病院をご紹介いただいたタイミングで思い切って整形外科に進むこととなりました。大学病院では股関節班に所属し、特に大腿骨頭壊死という大腿骨の荷重面が壊死する病気を専門に診ていました。股関節の病気は命に直結することは少ないものの生活の質に影響します。当院でもこの病気の方や股関節変形症などの手術を受けられた方を病院と連携しながら診ています。
今後の展望を教えてください。
おかげさまで多くの方に来院いただき、待ち時間が発生することも増えています。しかし、忙しいからと診療の質と量を低下させることだけは避けたいというのが私の考え。特に連休前やお天気が悪くなる前など、患者さんが集中するタイミングでは長くお待たせすることもありますが、ご理解いただけたらと思います。混雑が予想される日は、院内に掲示するなどの対策もとっています。今後も、診療の効率化に取り組みながら、患者さんの納得感を大切に、安心できる診療に努めていきたいと考えています。
最後にメッセージをお願いします。

仕事や子育てで毎日忙しくされている方は、気になる症状があっても受診を先延ばしされることが多いようです。しかしきちんと検査を受け、適切な時期に適切な治療を受けると早めに回復できる可能性も期待できますから、ちょっとした痛みやしびれなどでも気軽に受診してください。当院は柿生駅前にあり、駐車場を利用できる台数も豊富ですから通院にも便利です。この辺りの地域は年齢にかかわらずスポーツを続けている方も多いので、運動による障害を感じたときもご相談いただければと思います。また、骨粗しょう症は幼少期からの食事や運動、生活スタイルも影響するといわれ、40代からは骨密度の状態を意識していただきたいですね。川崎市にお住まいの女性の方は、40代から骨粗しょう症検診の費用負担が軽減される制度があるので、ぜひご利用ください。