山本 寛 院長の独自取材記事
やまもと歯科医院
(台東区/浅草橋駅)
最終更新日:2025/06/02

JR中央・総武線浅草橋駅から徒歩2分の「やまもと歯科医院」は、近隣だけでなく、遠方から通院する患者も多い歯科医院である。清潔感あふれる院内は、すっきりと整理整頓が行き届き、歯科特有の薬品の匂いも抑えられている。院長の山本寛先生の専門は、歯科保存と歯内療法。根管治療と歯の痛みの研究と治療に携わり、研鑽を積み続けた歯科医師だ。実体顕微鏡を駆使した根管の診療実績も豊富である。山本院長の診療モットーは、「正しい、質の高い、長持ちする」医療を提供すること。「治療は、豊かな知識と確かな技術に基づいていなければいけません」と語る常に朗らかな笑顔を絶やさない山本院長に、歯科医院の特徴から将来の展望まで、じっくり話を聞いた。
(取材日2014年10月10日)
時間を使って歯科医師も歯科衛生士も「治療」に集中
先生が歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。

私は、小さい頃からむし歯が多く、小学生の頃はかかりつけの先生から私にだけ年賀状が来ていたくらいです。母がとても上手な先生の歯科医院へ連れて行ってくれたので、痛みや恐怖を感じたことがなく、診療後に歯の詰め物を作った石膏の模型をもらえるのがとても楽しみでした。その後中学・高校と進み、歯医者は痛くて怖いところだと思っている人がほとんどだということを知り、とても驚きました。そこで自分なりに考えてみて、歯磨きや良い歯科医師を選ぶことも重要ですが、子どもの場合は母親が歯科の重要性を知っていないと、歯科医院を受診することすらできないことに気がつき、世の中の母親の歯科に対する意識を改革して子どものむし歯を減らしたいと思うに至り、歯科の道をめざすことにしました。
フィンランドの大学で客員研究員をされておられたのですね。
当時としては異例でしたが、自分で世界的に知られる痛みの権威の先生が所属する現・東フィンランド大学と交渉し留学の話をまとめました。もう大学には戻れないと覚悟しましたが、当時の教授や先輩方が親身に応援してくださり、フィンランド政府も奨学金を出してくださり、生理学教室の客員研究員として留学することになりました。世界で通用する技術を東京医科歯科大学大学院(現・東京科学大学)で身につけていたため、すぐに留学先の信頼を得られ、充実した研究生活を送れました。そこの教授は基礎医学系には珍しく、臨床で問題となる知覚過敏症に興味を持っていたため、歯の中の痛みの神経の研究が専門だった私も、より臨床的な知覚過敏症へと研究をシフトしました。非常に楽しく充実した2年間でしたが、私はやはり臨床家として人間の患者さんを診たくなり、帰国して元の教室に復帰しました。若い頃に海外から日本を見つめた経験は、今でも役立っています。
帰国後すぐに開業されたのですか。

帰国後は母校の文部教官として診療・研究・教育に従事していましたが、4年後の1998年に開業しました。大学病院と開業歯科医院の診療体系は同一というわけにはいかないので、普通は開業歯科医院に数年勤務して、大学病院と開業歯科医院の違いを勉強してから開業するのですが、私は無謀にも1日も開業歯科医院に勤務せず、金曜日まで大学勤務をして、月曜日から開業してしまいました。開業医の常識を知らずに開業したので苦労もありましたが、逆に何も知らないので大学のシステムをそのまま抵抗なく自分の歯科医院に持ち込むことができました。もしかしたら、それが質のいい治療を求めている患者さんのニーズと合致したのではないかと思っています。
痛みを取り除き治癒をめざして患者と頑張りたい
先生が根管治療を専門にされたきっかけは何ですか。

大学生の時に、臨床実習で歯の根が悪くなっている患者さんを治療した際に、どうしても痛みを取り除くことができず、抜歯になってしまいました。患者さんにはとても感謝していただけたのですが、自分としてはまったく納得できず、無力感に落ち込みました。その経験が強烈だったため、当初の母親教育はなかったことにして(笑)、今度こそ本当に患者さんの痛みを取り除いて差し上げたいと思い、歯の痛みを臨床的に研究している母校の根管治療の教室に進んで大学院に入り、根管治療に関連する痛みを研究テーマに選びました。根管治療に関連する痛みは非常に難しいものが多いのですが、歯の痛みに関して研究した経験とデータが、開業してからの日々の治療にも非常に役立っています。根管治療で痛みが消えずにお悩みの患者さんは非常に多く、少しでもこのような患者さんのお役に立てるようにさらなる研鑽を積んでおります。
患者さんの年齢層や特徴について教えてください。
この辺りは、昔の浅草のような下町の風情とオフィス街がちょうど融合する地域なので、近隣の古き良き下町の伝統を受け継ぐ方々だけでなく、ビジネスマンの方も多いです。メインの年齢層は30歳以上の働き盛りの患者さんとご老人が中心です。私は歯内療法を専門にしてきたので、他の歯科医院で根の病気がうまく治らない患者さんや、大学病院には時間的な制約のため継続通院できない難症例の患者さんを引き受けることも多く、遠くから1時間以上かけて通院される患者さんも多いです。
どのような症状の患者さんが多いですか。

一番多いのは歯周病の患者さんですが、さまざまな痛みが取れずお悩みの方や、「抜歯を勧められたが何とかならないか」という相談の患者さんも多く来院されます。インプラント治療も行いますが、当院ではインプラント治療が常に最上の治療法とは考えていません。それぞれのケースで最も適すると思う治療法をご提案させていただいております。全身麻酔が必要な大規模なインプラント手術は、連携先のインプラントの専門家に紹介しています。矯正治療についても、矯正専門の歯科医師に紹介します。当院より適した治療を受けられる可能性がある場合は、他院をご紹介することを躊躇いたしません。個人的に信頼できる先生、あるいはその信頼できる先生の推薦がある歯科医院にしかご紹介いたしません。連携している専門の歯科医師は、東京医科歯科大学附属病院(現・東京科学大学病院)で一緒に学び、一緒に診療を行った仲間が中心です。
実体顕微鏡を活用した精密歯科治療を実践
こちらの歯科医院の主な特徴を教えてください。

開業当初から滅菌・消毒を徹底して行っております。治療に使用する器具は、患者さんごとにオートクレーブという機械で消毒より高度な滅菌を行います。当院は、いろいろな大学の医学部教授や歯科医師、医学部や歯学部の付属病院の看護師さんなどの医療関係者も多数来院されます。緊張することもありますが、とても励みになります。すべての患者さんを、自分の家族が受診したときと同じようにお迎えしております。
顕微鏡を使った治療もされているのですね。
実体顕微鏡といって主に根の治療に使います。当院には2台ありますが、まだ日本に3000台くらいしか導入されていません。歯を実体顕微鏡で見ることで、非常に精度の高い治療が可能になります。「ここが割れていますよ」と、鏡で説明されただけですと、患者さんは半信半疑ということが多いです。当たり前ですよね。小さくて何も見えませんから。でも歯科医師が実際に見ている映像と同じ拡大映像をご覧に入れ、プリントアウトをお渡しすると、すぐに納得していただけるでしょう。
今後の展望について教えてください。
大学で次世代の歯科医師を教育し、育成するとともに、豊かな知識と確かな技術に基づいた質の良い医療をご提供していきたいと思っています。私の専門外の分野のスペシャリストの先生方ともさらに緊密な連携をし、患者さんがより良い医療を受けられるシステムを構築していきたいと思っております。
最後に読者にメッセージをお願いします。

人生80年の時代になり、しっかりした治療を受けたとしても、その後むし歯にならなくても、材料自体の劣化で再治療が必要になったり、いろいろ不具合が出てくる場合も予想されます。最低、毎年2回は定期的な検診を受けることをお勧めします、検診を受けていれば、むし歯も小さいうちに見つかり、治療費の負担を軽減することにもつながります。「予防と早期発見、そして継続したメンテナンス」、これがお口の中を良い状態で維持するために特に大切です。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円~