松下 秀一郎 院長、團 あかね さんの独自取材記事
松下歯科クリニック
(横浜市緑区/鴨居駅)
最終更新日:2025/05/12

鴨居駅から徒歩10分、新しくできたマンションと昔ながらの住宅地が隣接する町の一角にある「松下歯科クリニック」。2014年の開業以来、予防歯科と歯周病治療を中心に小児歯科、矯正歯科、審美歯科、口腔外科、インプラント治療、ホワイトニングまで幅広く対応している。「多様なニーズに応えるかかりつけ医」をめざし、口腔のトータルケアに注力する松下秀一郎院長は衛生的な院内環境、患者が落ち着ける空間づくりにも力を注ぐ。松下院長の妻で歯科医師の松下香織先生が診療に参加するほか、トリートメントコーディネーターの導入で診療体制の拡充を図る。患者の10年後、20年後を見据えた診療に取り組む松下院長と、トリートメントコーディネーターとして患者と歯科医師の橋渡し役を務める團あかねさんに、同院の診療について話を聞いた。
(取材日2024年6月13日/更新日2025年4月14日)
健康な口腔環境の土台となる歯周病治療に注力
開業までの経緯と地域の特徴を教えてください。

【松下院長】大学病院の口腔外科に勤務していた頃「自分は幅広く診られる歯のスペシャリストになろう」と思い立ち、都筑区にある歯科医院で約10年間勤務し研鑽を積みました。そこで学んだ「症状にとらわれず、長期的な治療計画を立てる」ことの重要性が、当院の「歯周病を軸にした治療方針」の原点になっています。ここ横浜はジャズが盛んな点や港町であることなど、大学時代を過ごした福岡県小倉との共通点が多く、いつの間にか好きな街になっていたことから開業の地に決めました。2014年の開業当初から幅広い年代の患者さんに偏りなく来ていただいています。特に定期検診の患者さんが多く、地域の皆さんの歯科予防に対する意識の高さを感じます。院内環境の整備に配慮してきたせいか、10年以上経過した今でも「院内がとてもきれいですね」と驚かれることがあります。
こちらの軸となっている歯周病治療について教えてください。
【松下院長】歯周病の進行度合いが軽度であれば歯石を除去し、必要に応じてブラッシングの指導を行います。歯周病菌がたまる歯周ポケットが深い場合は、歯石の除去だけで数ヵ月かかることもありますし、さらに進行して、歯を残さないほうが良いと判断した場合は、患者さんの同意を得た上で抜歯して欠損を補綴します。歯周病によって詰め物やかぶせ物が合わなくなる、インプラント治療やホワイトニングができないなど、すべての歯科処置の土台となるのが歯周病の治療です。当院ではベーシックな歯周病治療後も状態が悪く、さらに進行して歯や骨が溶けてしまうようなケースでは、歯周組織再生治療を行っています。当院で採用している歯周組織再生治療は、2016年から保険適用になったこともあり、適応可能な患者さんには積極的にご説明させていただいています。
奥さまが診療に参加される時間が増えたそうですね。

【松下院長】今までは矯正治療を専門に妻が週1回診療していましたが、今は平日の午後を中心に週に1~2回、一般歯科の診療も担当するようになりました。患者さんが多くなり、私一人では手いっぱいの状況になってきたことが理由です。今はまだ診療時間が短いので、急患の患者さんや久しぶりに受診される患者さんを主に診てもらい、その後、私が引き継ぐ診療スタイルですが、今後、彼女の診療時間がしっかり固定できれば、診療の連携がさらにスムーズになると思います。しばらく育児休業中だったトリートメントコーディネーターの團さんも復帰し、診療体制の整備に取り組んでいます。
仲介役を務めるトリートメントコーディネーター
先生の診療方針について教えてください。

【松下院長】インフォームドコンセントを重視し、患者さんに安心して治療を受けてもらうことが私の診療方針です。説明はしっかりしているつもりですが、より充実した説明の実施を目的に、2021年からトリートメントコーディネーターを導入しています。トリートメントコーディネーターは多岐にわたる歯科治療について説明し、歯科医師と患者さんの仲介役という役目を担っています。私が診療に注力し、治療をよりスムーズに行うためにもトリートメントコーディネーターはとても重要な存在です。
トリートメントコーディネーターの具体的な役割を教えてください。
【團さん】歯科に関するわからないこと、聞いてみたいことはあるけれど、先生はお忙しそうだからと遠慮してしまう方もいらっしゃいます。そういう患者さんのお気持ちを先生にお伝えし、患者さんからの質問にお答えすることがトリートメントコーディネーターの役割です。紙やタブレット型端末の資料、模型を用いて治療方法や使用する材料、保険診療や自由診療について詳しくご説明します。10分ぐらいの時間を予定しても1時間ぐらいお話させていただくこともありますね。患者さんが知らなかった情報をお伝えすることで「教えてくれてありがとう」「そういう治療法もあるのですね」というお言葉をいただけたらとてもうれしいです。
【松下院長】患者さん自身、治療に対する価値観や情報に自信が持てないこともあると思います。そういったところをトリートメントコーディネーターに聞いて答え合わせをすることは、患者さんにとっても有益だと思います。
患者さんの反応はいかがですか?

【團さん】最初のうちは、院長に代わって私が説明することに驚かれる方もいらっしゃいましたので、患者さんにすんなりと受け入れていただけるようなお声がけの工夫を心がけました。皆さんのお話を伺っていると、治療に対する考え方は十人十色だということがわかります。患者さんのニーズを直接伺うことができる点が仕事の醍醐味ですね。自分の思い込みや固定観念に縛られず、柔軟に患者さんのお考えを受け入れて、情報提供できるよう日々精進していきたいと思います。歯ブラシや歯磨き粉など身近で簡単なことから、ホワイトニングに関してなど、何でも気軽に聞いてください。
地域の歯科医療を支え、患者とともに歩んだ10年間
こちらで導入されている機器や設備について教えてください。

【松下院長】当院では口腔内スキャナーを導入して診療に活用しています。従来の粘土のような印象材を使った型採りの場合、一定の割合でやり直しが発生しますが、口腔内スキャナーではやり直しが少なくなります。患者さんにとっても楽な状態で型採りができることは大きなメリットです。2024年の6月からインレーという部分的な詰め物の治療における口腔内スキャナーの使用には保険が適用されるようになり、より活躍してくれる機会が増えました。患者さんは先進の機器に驚かれますし、立体画像を見て「すごい」とおっしゃいますね。将来的に、もっと保険の適用範囲が広がることを期待しています。また、インプラント治療でも、口腔内スキャナーやサージカルガイドが活用できる精度の高い機器を導入し、患者さんに還元しています。
今後の展望をお聞かせください。
【松下院長】おかげさまで開業以来長く通ってくださっている患者さんはもちろん、新しい患者さんにも多く来てもらっています。妻の診療時間を増やすなどしていますが、ユニットの数が決まっていますから限界があります。そのため、クリニックの拡大、あるいはここから遠くない広い場所への移転も視野に、より多くの患者さんに対応できるようになればいいなと考えています。
【團さん】以前、自分自身が補綴が必要になった時、特に材料のことなどの説明もなく、銀歯を選択されたことがありました。「こういうものしかないのだな」と受け入れていましたが、セラミックなど白い材料の選択肢を知ることができていたらと思った経験があります。同じように感じている方に、情報提供ができたらいいですね。説明の仕方を工夫するなど、まだまだできることはあるので、日々勉強だと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【松下院長】開業以来、予防歯科と歯周病治療という診療の柱は変わっておらず、そこが当院の根本的なベースになっています。開業当初は、この考え方がどこまで理解されるのか不安でしたが、いざ診療を進めていくと、患者さんも定期的なメンテナンスの大切さを理解してくださり、真面目に通ってきてくださいます。お口の状況をしっかり考えて、予防歯科や歯周病治療に取り組んでくださっていることは本当にありがたいですね。引き続き、お口の健康の維持のため、患者さんとともに頑張っていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正/小児矯正:27万5000円~、成人矯正:88万円~、審美歯科/オールセラミッククラウン:8万8000円~、インプラント治療/42万9000円~、ホワイトニング/1万6500円~