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澤井 博典 院長の独自取材記事

青葉ひろクリニック

(横浜市青葉区/あざみ野駅)

最終更新日:2021/10/12

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東急田園都市線のあざみ野駅から徒歩3分の場所にある「青葉ひろクリニック」は、在宅医療を中心にすえる内科のクリニックだ。午前中は外来診療、午後は一軒一軒患者を訪問する在宅医療を行っている。院長の澤井博典医師は、もともと父が経営し、地域住民の信頼も厚い「青葉さわい病院」の内科で働いていた医師だった。なぜわざわざ独立し、在宅医療中心のクリニックをつくる必要があったのか。そこには在宅医療を取り巻くハードな現実と、患者への熱い想いがあった。そんな澤井博典院長に、現在の在宅医療の問題点とともに、今後の展望について詳しく話を聞いた。

(取材日2017年5月20日)

患者の声に応え、自ら在宅医療のクリニックを開業

開業するに至った経緯を教えてください。

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父が経営する「青葉さわい病院」という病院に、僕は内科の医師として勤務していました。青葉さわい病院の役割は、大学病院や救急病院のような大きな病院と、街のクリニックのちょうど中間にあたると思います。僕はここで急性期と療養期の病棟を担当していました。つまり、早急に対処が必要な患者さんと、家にはまだ帰せない患者さんの集まる病棟です。こういった患者さんを診させていただく中で、在宅で最期を迎えたい患者さんがたくさんいらっしゃることがわかり、在宅医療の必要性を感じるようになりました。しかし、青葉さわい病院のように在宅医療を扱えない病院は多いんです。このままでは在宅医療が破たんしてしまう。そこで、少しでも地域の皆さまに貢献できるよう、自分が在宅医療を扱えるクリニックを作ろうと考えたんです。

現在の在宅医療はどのような問題を抱えているのでしょうか。

在宅医療を行う医師が不足していることが、まずあげられます。高齢化社会を迎えるにあたり、国は病院のベッド数をこれ以上増やさず、在宅医療にシフトする方針を示しています。しかし在宅医療には看取りも含まれますから、毎日真夜中に呼び出しがあることも多く、医師1人で24時間365日オンコール体制を続けていると、心身ともに疲弊してしまいます。僕自身この3年半、大変な思いもしてきましたが、それでも在宅医療に携わるのは患者さんの最期に立ち会えることがとても光栄だと思っているから。何年もお付き合いをしてきて、最期だけ「うちでは診られないから、他に移って」とは言いたくない。「僕で良ければ、最期まで診るよ」と言うためには、在宅診療まで踏み込む必要があったんです。

在宅医療では他職種との連携が大切だと聞きますが、どんな方法で実現していますか?

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当院では、他職種間の情報のやりとりをクラウドで行えるシステムを導入しています。例えば訪問看護に訪れた看護師が見つけた床ずれを撮影し、クラウド経由でタブレット端末に送り、医師が診て処置を指示するといったことも可能です。その後、医師は必要があれば患者のもとを訪れます。実際に患者さんと会ってみたら、あらかじめ用意した処方箋よりも多くの薬が必要だった。そんな時は追加の処方箋を薬剤師にその場でFAXで送り、持ってきてもらうこともできます。このように、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、薬剤師、ケアマネジャー、そして必要であれば患者さんの家族も入ったメンバーがクラウドのシステムでつながり、相互にやり取りを行っています。

幅広く学び、医師としての基礎を築いた研修医時代

研修医時代の印象的なエピソードを教えてください。

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僕は将来的に父の病院に戻らなければならないことがわかっていましたから、戻った時に誰かにわからないことを聞くことは難しい。そこで、教授にお願いして、できるだけ実践的な経験ができる病院に行かせてもらったのです。僕が送り出された病院の研修は全科当直でした。今では考えられませんが、1晩で40人近く、次から次へとやってくる患者さんを診るんです。産婦人科以外の科はすべて、トータルで、2年間の研修期間に約5000人のさまざまな患者さんを診察させていただきました。この時の経験は自分の医師としての基礎となりました。ホームドクターになるには、さまざまなことを幅広く知るジェネラリストでなければなりませんからね。

なぜお父さま・お兄さまと同じ整形外科ではなく内科を選んだのですか?

僕ももともとは整形外科志望で、自分の技術で施術する「手に職」というものに憧れていました。研修も整形外科の医師として出してもらっていました。しかし、その研修が終わる頃「整形外科ばかり3人も必要ないんじゃないか」という話が澤井家の中で持ち上がりました。父は今でもそんなことは言っていないと言っていますが(笑)。僕もたいへん驚きました。結局「内科か麻酔科の医師がいてくれたらありがたい」とのことだったので、後半の研修では内科を選びました。僕が選んだのは内科のうちの消化器内科という科。この科は内視鏡(胃カメラ・大腸カメラなど)を使って手術を行うこともあり、「手に職」をつけられると思ったことが理由でしたね。

外来の患者さんとはどのようなお付き合いをされていますか?

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テレビモニターでは僕が録画した番組が流れていたり、スタッフにお声かけくだされば、無線LANもつながります。混み合っている時などは看護師ができるだけお声をおかけして、患者さんが月に1回の受診が苦にならないよう心がけています。そうしてこの診察室で毎月お会いするうちに信頼関係ができ、お薬や治療、生活のアドバイスも心に届きやすいのではと思います。それによって症状の悪化も軽減できるでしょうし、いざ在宅医療となったときにも安心して迎えてくださいます。実際に外来の患者さんで、「在宅になったら先生が来てくれるんだよね」と言ってくださる方もいます。信頼関係ができて、最期まで診させてもらえることは何よりもうれしいこと。患者さんのご家族が受診されることも多く、家族の輪が広がっていくことも、医師になって良かったと思える瞬間ですね。

在宅医療のプロとして、さらに深みをめざしたい

開業して4年目、開業当初と比べて変化はありますか?

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在宅医療をやってきてよかったなと思うことはたくさんあるのですが、大変だなと思うことのほうがまだまだ多いですね。例えば自分自身の体の管理。開業して半年の頃、アキレス腱を切ってしまい、2ヵ月くらいほふく前進で患者さんのところに訪問していましたね。僕の代わりはいませんから、けがは絶対してはいけないと身にしみました。また、在宅医療をやればやるほど、病院の先生方との連携の重要性を感じます。看取りの患者さんの場合、最期を迎えるまでの時間をいかに苦しむことなく過ごせるようにするか、病院で治療している段階から対策が必要になってきます。うまく移行できるように、先生方と会議を重ねたり、こちらから提案することもあります。在宅医療を始めて4年目。前よりはずっと成熟して、機転も利くようになりました。開業当初を思い返すと、だいぶ在宅医療のプロになったかなと思います。

気を抜けない毎日で、どのようにリフレッシュしていますか。

昨年の8月から仕事終わりに週に4回テニスに通っていて、それがとてもいいリフレッシュになっています。もともと大学6年間テニスをしていたのですが、卒業後はまったくしていなくて、患者さんでテニスクラブのコーチの方がいらっしゃったのが縁で、19年ぶりに再開しました。いつ電話が鳴るかわからないので、趣味の時間は2時間が限界ですから、そういう意味でもテニスはちょうどいいですね。それから雨の日はアコースティックギターを弾き語りしています。月に2回習いに行って、子どもに歌って聞かせるのが楽しみなんですよ。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

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往診と訪問診療が違うことをご存知ですか? 病院に通えなくなった人を定期的に訪れてフォローするのが訪問診療、何か緊急の自体が発生した場合のみ、自宅に訪問して行う診療が往診です。これらを総合して在宅医療といい、訪問診療では患者さんに何かあれば24時間対応します。ただ往診にもすべて対応すると、訪問診療が成り立たなくなるため、僕も極力患者さんを診てあげたいのですが、ご理解いただけたらと思います。また在宅医療を受けるにあたり、介護保険を申請しても、主治医が決まっていなければ適用までに1ヵ月かかることもあります。あらかじめ主治医を決めて、何かあった時にケアマネジャーを手配できるよう備えておくことが大切です。あと数年で団塊の世代の方々が高齢者となります。地域で支える体制をつくるためにも、在宅医療をより深めていきたいですね。

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