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山口宏也 院長の独自取材記事

ひろ・やまクリニック

(港区/大門駅)

最終更新日:2019/08/20

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大門駅から徒歩3分の「ひろ・やまクリニック」は、耳鼻咽喉科を中心に、専門医による内科や外科の専門外来を行っている。耳鼻咽喉科の日常的な疾患の治療を幅広くこなす院長の山口宏也先生だが、専門は「声」。音声治療と呼ばれる喉に負担をかけない発声方法を指導することで、出なくなった声やかすれた声を根本的に治していく。この分野を専門とする医師は日本では少なく、山口先生のもとには全国から歌手や俳優、スポーツインストラクターや教師など、声を出すことを仕事とする人々が訪れる。また、クリニックでの診療の合間を縫って、定期的にアメリカを訪れ音声治療について学ぶ一方、喉頭内視鏡の指導医としてその技術を教えたり、「職業的に声を使う人の声のケア」というテーマで講義も行い、常に新しい情報を取り入れ日々の診療に生かしている。そんなお忙しい毎日の中、一番のリフレッシュはゴルフと旅に出ることなのだそう。穏やかで紳士的な笑顔が素敵な山口先生に、得意分野である音声治療や診療モットーのほか、印象に残っている出来事などたっぷりと語っていただいた。
(取材日2014年2月19日)

港区で診療して20年。日常的な疾患から専門的な声の治療まで幅広く対応

開院されたのはいつですか?

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2005年1月11日に開業し、ちょうど10年を迎えました。開業当初は足りない物もたくさんありましたが、徐々に今まで勤務していた病院の外来で使用するような設備も揃い、現在ではようやく思い通りの診療ができるようになりました。開業前には、東京専売病院(現国際医療福祉大学三田病院)に勤務していたので、元々この地域には馴染みがありました。増上寺を中心に栄えた古い歴史のある町で大門の交差点のあたりは華やかですが、古くからお住まいの方も多く、落ち着いたよい所だと感じています。僕の専門は声の質の障害の診断と治療で、開業の際は専門クリニックにしたいという気持ちもありましたが、港区にある虎の門病院や東京専売病院で30年以上医療に従事する間、耳鼻科医として声だけではなく鼻も耳もあらゆる部分を診てきましたから、これまで治療してきた患者さんのアフターケアをしたいと思い開業しました。現在も専門分野はもちろん、風邪や花粉症などのアレルギーなど幅広く診療にあたっています。ただ、喉や以前専門にしていためまいについての相談があると、つい力が入ってしまうということはありますね。

先生のご専門である「声の質と障害の治療」とはどんなことをするのですか?

簡単に言うと、歌手や俳優、学校の先生や最近ではスポーツクラブのインストラクターと言った職業の方で声を使いすぎかれてしまったり、心的なストレスで声が出なくなったりした人を元の声に戻すための治療です。その方法には手術や薬物療法のほかに「音声治療」という方法があります。これは、声の出し方や喉の使い方、生活指導などによって、良い声を出す指導や訓練をすることなのですが、日本では音声治療を専門とする医師は少ないので、僕はアメリカでどんな治療をしているのかを自ら学び実践しています。例えば、インストラクターや学校の先生にはマイクを使うことを勧めたり、声に負担のかからない発声方法を教えたりしています。よくテレビのレポーターが甲高い声を出したり、大声で笑いながら話していたりするでしょう?でも、そういう声の出し方を続けていると、声はどんどん悪くなってしまいます。また、精神的に緊張していたり、睡眠不足が原因だったということもあるので、日頃喉をどんなふうに使っているのかを聞いてみることが大切です。もしも、声がかれたりかすれたりする状態が1ヶ月以上も続いている場合には、何かしら喉に異常が起こっている可能性もあるので、そのまま放っておかずに、診察を受けることをお勧めします。

どんなきっかけで音声治療をライフワークとされたのですか?

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ある新人の女性教師の方を治療したことですね。この方は4月に新学期が始まり5月に声が出なくなってしまったと言って来られたのですが、喉を見てみると声帯に結節というタコができていたんです。要するにペンの使いすぎでできるペンダコみたいなものですね。夏に手術をして回復したので学校に戻られたのですが、秋って学校行事が盛りだくさんでしょう。それで10月にまた同じ状態になり、冬に二度目の手術をしました。こんどこそ大丈夫と思っていたのですが、結局また次の年に同じことを繰り返してしまって。さすがに三度目は手術だけではなく、もっと有効な治療法をと思い、たどり着いたのが音声治療でした。当時の僕はこれしかないと思ったのですが、日本には教科書もないし参考にできる文献もなかった。そこで、アメリカに行き、たくさんの専門家から勉強させていただき、その女性を治療しました。具体的には、のどの負担軽くする発声法の指導たとえば教室の一番前にある教壇から大声を出すのではなく注意を引くような工夫をしたり、教室の真ん中に立って授業をするなどのアドバイスをしたりのどに負担のかからない発声法の訓練をしたことを覚えています。

患者それぞれに合った治療方法でなるべく早く元の生活に戻れるように

現在も喉頭内視鏡の指導医として定期的に渡米されているそうですね。

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1年に1度夏休みを利用して渡米しています。アメリカの言語療法士を目指す大学院生に対し、「職業的に声を使う人の声のケア」というテーマで講義を行っています。同時に、喉頭内視鏡の使い方と、ビデオに映された声帯像の観察方法、またどのように声を出せば声帯がどう変化するかなどを教えています。そして、僕はこれらを教える代わりに最新の音声治療を教わり、それぞれの得意分野を生かした情報を交換し合い、日々の臨床に還元しています。

先生が日々の診療で大切にされていることを教えてください。

この地域はビジネスマンが多いので、そういう方を正しく診断して、なるべく早く元の生活に戻してあげることが一番だと考えています。例えば自動車レースで何周か回っているうちに機械の調子が悪くなってくるので、ピットインしてメカニックが部品を交換し、正確に直してまた元のレースに送り出すように。逆流性食道炎のように食生活の改善が効果的な病気の場合、時間をかけて生活習慣についての指導をすることもあるのですが、お仕着せがましいことはやりたくないと思っています。患者さんもそれぞれ色々な事情を抱えています。時間的制限もあるし、食後2時間は起きていなさいと言っても、そんな理想的な生活ができない人もいます。ですから、声の障害でも患者さんの生活様式や希望に合った治療方法や薬の処方を見つけることを心がけています。同じような症状でもアプローチは変わってくるというか変えなくてはいけません。その辺りはこれまでの経験の積み重ねで、幅広く対応するようにしています。

これまでの出来事で印象に残っていることはありますか?

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以前、ある若い夫婦が来られたときお話を聞いてみると、奥さんがオリエンテーションで年配の男性上司と出勤してから退勤するまでずっと一緒にいることが苦痛で、そのストレスから、か細いささやき声しか出せなくなってしまったということでした。旦那さんが耳元で奥さんの話を聞き、それを僕に通訳をしてくれるような状態だったのですが、僕は最初、その女性は旦那さんとうまくいっていなくて声が出なくなってしまったのではないかと疑い、旦那さんがこの場にいないほうがいいのではないかとも思っていました。でも、そのうち本当の原因がわかりました。色々とお話していく中で、その上司の話が出てきた途端、ポロポロと涙がこぼれて少し声が出たんです。それから少しずつ声が出るようになり、最後にはニコニコして帰っていかれたという心に残るエピソードがあります。おそらく、その上司のことは旦那さんにも話せずお一人で抱え込まれていたのでしょう。普段何気なく使っている声ですが、声が出なくなってしまえばコミュニケーションがうまくとれなくなります。特に声を仕事にしている人は、治してあげなければ仕事ができませんし、人生そのものが変わってしまいます。声の出る仕組みを説明し、喉を押したり下げたり喉仏を操作することで、手術も薬もなしで元通りに治る人も多いのです。僕がアメリカに行き音声治療を学んだことが役立っているのだと思います。声の治療で一番うれしいことは「公演が間近に迫っているのに声が出なくて心配でしたが、おかげさまで無事に終わりました」といったような朗報を耳にすることですね。

一番は「治す喜び」。各分野の専門医と連携をとり、総合的に診断ができるように

もう一つのご専門であるめまいは怖い病気のサインの可能性があるそうですね。

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めまいの検査をしているうちに脳の異常や腫瘍が見つかることもあります。ですから、聞こえの検査や赤外線を利用した器械で目の動きを見る検査などを行い、脳血管や脳神経障害など耳鼻科の疾患ではないと判断したときには、MRIやCTを撮って原因を究明するようにしています。めまいには忙しさや緊張、ストレスが大きく影響しています。ビジネスマンは自身の仕事に対してものすごく熱心で、中には60時間働き詰めだったという人もいるくらいです。「そんなに無理して働くと何かしら体に影響が出るので、休んではどうですか」と提案したこともありますね。時には診断書を書いてさしあげることもありますが、そうは言っても休めない人が多いんですよね。でも、忙しい人もせめて土日はお休みをとって好きなことをどんどんやってください。楽しいことをしているとめまいは起こらないことが多いんですよ。

ところで、先生はなぜ医師という職業を選ばれたのですか?

僕の父が医師だったので、跡を継ぐのが当たり前だと考えていました。昼夜問わず働く父を見て、知らず知らずのうちに医師になるべきと叩き込まれていたのかもしれませんね。ある程度医師という仕事にイメージはありましたが、実際に医師になってからはこんなことができる、ということにたくさんめぐり合いました。こうすれば治るんだとか、音声治療をはじめとする目からウロコの治療方法や上手な人の手術を見て感動したことは数多くありましたし、医師という職業は僕の性分に合った仕事だと思っています。

今後のクリニックの展望を教えてください。

まずは音声治療をもう少し時間をかけてやっていきたいです。日本でも言語療法士が頑張っていますが、喉の中を見て、色々な声を出して頂くことで治療の方針を決めることは耳鼻科医にしかできないと思っているので、声の治療に力をいれていきたいです。また、どうしても治らないと思われていた病気でも患者さんにとって少しでも良い方向にもって行くことができればと考えています。当院では内科医や外科医による診療も行なっていますが、耳鼻科の病気というのは全身疾患の一症状であることもあるので、各分野の専門の医師と連携を密にし、総合的に患者さんを診て、患者さんにとってよい結果をもたらせるようにしていきたいです。僕たち医師にとってやはり、一番は治す喜びですから。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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初めてクリニックに来られる時には、なるべく直近の人間ドックや健康診断の結果とお薬手帳を持ってきていただければと思います。何十年も飲み続けている薬が声の異常の原因になっていることもあるので、薬名が書いてある薬の殻だけでも持ってきて頂ければそこから病気の背景や原因がわかることもあり、スムーズな診断につながります。あとは、耳の状態、鼻の状態など、ある程度聞きたい内容をまとめてきていただければありがたいです。患者さんには別々の症状に思えても、実は一つの病気につながっているということもあるので、病気の核心により早く近づくためにも、ポイントをメモするなどしていただければよいと思います。

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