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椎津 敏明 院長の独自取材記事

マザーズ高田産医院

(横浜市港北区/高田駅)

最終更新日:2019/08/28

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産婦人科の医師として「健やかな子育てにつながる、幸せなお産をサポートしたい」と考え、安全を確保しつつ助産師中心の手厚いケアができる施設をめざして「マザーズ高田産医院」を開設した椎津敏明院長。そもそも東京大学法学部を卒業し社会人となったが、東洋医学に興味をもち、30代で琉球大学医学部に入学し、医師になったという経歴の持ち主。勤務医として産科診療に携わっていたが、安全を重視するあまり「お母さんや赤ちゃんが本当に必要としていることや、家族への配慮が欠けているのではないか」と考えるようになり、開業したという。「私の役目は見守ること。赤ちゃんの誕生によって、いつも幸せを分けてもらっています」。穏やかな優しい笑顔の中に、産科医療にかける確固たる理念が感じられるドクターだ。(取材日2017年5月25日)

「安全で幸せなお産」をめざして開業した産科ドクター

まず、開業までの経緯を教えてください。

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大学卒業後、いったん社会人になりましたが、東洋医学に興味を持ち勉強しているうちに、医師になりたいと考えるようになりました。そこで妻の出身地である沖縄に移住し、琉球大学医学部に入学しました。研修で各診療科をまわったときに産婦人科、特に幸せの手伝いをする産科に惹かれるようになり、また産婦人科は漢方をよく使う領域であることもあって、産婦人科の医師となりました。卒業後、沖縄や横浜で勤務医として産科診療に携わっていました。

こちらを開業されたきっかけは?

産科診療に携わる中で、医療安全の名の下に本来提供すべきことを、排除してしまっている部分が多いのではないかと考えるようになったのです。安全はもちろん基本ですが、ローリスクのお産であっても、妊産婦さんの不安に応えたり、お父さんや上のお子さんの気持ちを大切にしたり、安全の他にも大切なことがたくさんあるはずです。そこで、助産院的なものをなるべく取り入れて、助産師が主役となり、出産後の子育てもサポートする産医院を作りたいと考えるようになり、開業したのです。

クリニックの設備などでこだわった部分はありますか?

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当院ではご家族の不安に寄り添うために、マザーズLDRというご家族もゆったりくつろげるお産の部屋を導入しました。マザーズLDRがあることでご主人も上のお子さんも含めて参加する本当の意味での「立ち合い出産」を実践しています。また、18名の助産師がいますので、半年以上にわたる妊婦健診の中で家族ぐるみで多くの助産師と知り合いになるため、入院後も安心で妊婦さんがリラックスできるようにしています。ほとんどの産科では、健診中の助産師とのかかわりが限られるため入院するとほとんど初顔合わせのような状態が多く、リラックスできていない状態だったので、それは嫌だなと思ったんです。

助産師を中心に、出産後の子育てまでをサポート

診療の中で大切にされているのはどのようなことですか。

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安全なお産をめざすことはもちろんですが、それで終わるのではなく、そのあとの幸せな子育てまでをゴールとしていることと、助産師の活躍の場ということです。出産後も幸せな家庭を築いてもらうために、妊娠中からお父さんや上のお子さんにも赤ちゃんを迎える気持ちを育んでもらえるように工夫しています。一緒に心配し、頑張ると立ち会い出産も感動的なものとなりますし、お父さんも父性というか、赤ちゃんへの愛情や、お母さんをいたわる気持ちを自然に育み、その後の子育てに無理なくつなげることができます。上のお子さんも、最初は怖がったり心配したり、生まれたらびっくりして泣いてしまったりしますが、だんだん興味をもってくれるようになります。みんながお祝いしている雰囲気を経験すると、その後の受け入れが違うのです。

助産師さんが主役という点についてもお聞かせください。

助産師は本来、妊娠から出産、その後の育児のサポートまで女性のライフスタイルに合わせて手厚いケアを行うものです。ですから、助産師がやりがいを感じることと、妊産婦さんが求めることは、一致しているのです。そのために、助産師を必要人数確保して、スムーズに当院を運営していくことが私の役割です。妊産婦検診の際も、私のカルテとは別に助産師のカルテもあり、妊娠の経過や家庭環境などをスタッフ全員が共有して、お産に臨むことができます。マンパワーとしても余裕がありますので、夜勤の助産師も2人体制ですし、オンコールで待機している助産師もいますからお産が重なった時も安心です。出産後のお母さんに夜中の授乳に助産師がかかわれるのもとてもメリットがあるんですよ。ちゃんとおっぱいケアを行うことで、スムーズに母乳育児につなげることができるのです。

医療面での助産師さんのスキルアップにも力を入れられているようですね。

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当院は、自然分娩をめざす、いわゆるローリスクの妊産婦さんを対象としていますが、ローリスクの出産でも、お産は、急きょ、医療介入が必要になることもあります。そんな場合、産科の医師と助産師が共同で対処することが必要です。そこで、当院では、ほとんどの助産師が、救急処置についての実践的なトレーニングコースである、新生児蘇生法トレーニング(NCPR)と、産科救命トレーニングコース(ALSO)を受講し、緊急時の対応にも備えています。当院の助産師は、お母さんと赤ちゃん、ご家族に寄り添い、自然なお産を進める温かい助産師の顔と、緊急時に対応する高度な専門職の2つの顔を持っていると考えていただければと思います。

助産院と病院の長所を併せ持つ、理想の産医院をめざす

開業から4年を経て、どのような思いをお持ちですか。

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助産師たちが積極的にプランを立てて運営してくれる部分が大きいので、私の構想以上に、幸せなお産ができるクリニックとして成長することができたと思います。妊産婦さんやご家族からも感謝の言葉をたくさんいただいています。どのお産もうれしいですが、何回も流産を経験された方など一緒に頑張って乗り越えてきた方が、無事にお産されると、喜びもひとしおというところがありますね。私自身は子どもがいないので、たくさんの赤ちゃんに出会って、今、本当にいい体験をさせてもらっているなあと感謝しています。私も歳ですから(笑)、赤ちゃんはもちろん、上のお子さんも、お母さんもお父さんも、みんなかわいいんですよ。皆さんから私の方が受けるもの、学ぶものが多く、私が自分では経験できなかったことや、幸せを分けていただいていると感じています。

ところで、先生のプライベートについて教えていただけますか?

音楽を聴いたり、本を読む程度ですね。いつお産が始まるかわからないので、基本的に病院から20分圏内のところにいるようにしています。手術時などに手伝ってもらうことはありますが、基本的には医師は私一人なので、いつでもお産に対応できるように、4年間お酒も飲んでいません。本当は好きなのですが(笑)。ご家族ごと診てきているので、すべての出産に立ち会いたい気持ちが強いんです。赤ちゃんが無事に生まれて、皆さんが落ち着いたら、「ハッピーバースディ」のオルゴールをかけて、ご家族の写真を撮るのが私の仕事なのですよ。ただ、さすがにそろそろ体力的に限界かなとも感じているので、今後は、少しずつ休めるようにしたいと思っています。

診療面で今後、取り組みたいことなどがありますか。

空いているスペースがなく、まだ母親教室しかできていないので、両親学級を実施したいと思っています。今までもお父さんに主体的に参加してもらうことはある程度できていると思いますが、やはり両親学級としてしっかり取り組むことにも意義のあることですから、ぜひ実現したいですね。アットホーム志向で、かつマンパワーがあり、安全面や医療面も確保されているという産院は意外と少ないようなので、そんな理想的な産医院をめざしたいと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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妊娠や出産は人生に何回もない特別なことで、つらいことや不安も多いと思いますが、本来、それは楽しいこと、幸せなことです。それをご家族と共有して、お母さん一人が頑張るのではなく、家族も一緒に築いていくということにとても意義があると思います。妊娠・出産、育児を通してご家族の結びつきがますます強くなると考えていただきたいのです。いいことも悪いこともご家族に伝えながら、うまく乗り越えていってほしい。当院に来られない方もそんな思いをちょっと頭の片隅において、幸せに赤ちゃんを迎えていただきたいと願っています。

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