山田 眞 院長の独自取材記事
高島・山田クリニック
(世田谷区/松陰神社前駅)
最終更新日:2023/10/31

東急世田谷線の松陰神社前駅から徒歩3分、商店街から静かな住宅街に入ったところに「高島・山田クリニック」はある。院長の山田眞先生は心臓病や高血圧など循環器の病気を専門とし、大学病院に勤務していたときは心臓血管外科で手術なども多く手がけてきた。クリニックでは不整脈などの心臓病や高血圧・糖尿病などの生活習慣病、風邪などの身近な病気、ケガや火傷など、さまざまな病気や症状に対応している。ほかに、ペースメーカーを埋め込んでいる患者専用の外来や通院が難しい患者には訪問診療も実施。患者との対話を大切にし、休診日にも紹介状を書いたり、地域のケアマネジャーや訪問看護師と相談したりと常に患者のことを想う山田先生に、診療において大事にしていることなどを聞いた。
(取材日2023年10月11日)
内科・循環器内科・外科・心臓血管外科の診療を行う
先生のご専門と、開業の経緯を教えてください。

私は循環器の病気が専門で、大学病院に勤務していたときは心臓血管外科で多くの手術を手がけていました。外科をめざしたのは、もともと日曜大工が好きだったから。物づくりに通じるクリエイティブな面に惹かれたのだと思います。2006年に、この場所で長年「高島内科」として内科・小児科の診療をしていた義父に「一緒にやろうよ」と誘われたのを機に当クリニックを継承。「高島・山田クリニック」に改称しました。この場所は駅から近く、商店街もあるので生活にも便利ですし、すぐ近くに松陰神社があって緑も多い。昔から長く住んでいる方も多いですが、新たに入ってくる若いご家族なども多い地域だと思います。
患者さんはご近所の方が中心ですか? どのような症状で受診する方が多いですか?
当院は、内科・循環器内科・外科・心臓血管外科の診療を行っています。患者さんの多くは、この近くに住んでいる方々です。「心臓がドキドキする」「胸に圧迫感がある」「めまいがする」など、心臓の病気を心配して来る方や高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の方などでは、50代以上の方が多く、高齢の方も多いですね。風邪や胃腸炎、インフルエンザなどで内科を受診される方では若い方もいます。また、大学病院などで心臓の手術をし、退院した後に当院で経過観察をすることも可能なため、そういった目的で受診される患者さんもいます。今は、大きな病院で急性期の治療をした後、落ち着いたら地域のかかりつけ医に戻して、そこで経過観察をするのが一般的になっていますね。
ペースメーカーを埋め込んでいる方専用の外来もあるのですか?

はい。心臓の病気でペースメーカーを埋め込んでいる患者さんのための外来です。ペースメーカーは患者さんの生命に関わる機器ですので、定期的にメンテナンスを行い、電池の寿命は十分か、誤作動がないかなどを確認することが欠かせません。大学病院時代に私がペースメーカーを埋め込むための手術を行い、その後ずっと通い続けている方もいます。ペースメーカーは10年経過すると電池交換が必要になるため、当院では電池交換の手術を日帰りで行っています。一般的には大学病院などで行う手術ですが、そのために遠くの大きな病院に行き、長時間待ったり、入院したりするのは大変です。当院で行うことで患者さんの負担を少しでも減らせればと考えています。
高血圧の場合には生活改善や血圧測定のアドバイスも
高血圧などの生活習慣病で通院している患者さんも多いのですか?

高血圧や脂質異常症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病の治療のために通っている患者さんも多いですね。これらの病気は、特に初期には自覚症状がないので、会社の健康診断などで検査値に異常がみられて受診する方がほとんどです。ただ、高血圧は重症になると頭痛や頭が重い感じ、肩凝りなどの症状が現れることも。そういう症状で受診した患者さんの血圧を測ってみたら160mmHgぐらいある、などということもあり得ます。まさか肩凝りが高血圧のせいで起こっているとは思いませんよね。こういうケースはやはり高齢の方に多いですが、50歳ぐらいでもそういうことはあり得ます。
高血圧の方は、自宅でも血圧を測る習慣をつけたほうがいいのですか?
そうですね。高血圧などの生活習慣病は、食事や運動などの生活習慣を改善することをめざすのが治療の基本で、それで改善が見込めない場合は薬による治療を行います。ご家庭で血圧を測る習慣をつけることも大事ですが、自宅で患者さんご自身が適切に血圧を測るには、ある程度練習して慣れることが必要です。また、血圧計によって数値が異なることもあり、当院でもご家庭から血圧計を持ってきてもらい測ってもらいますが、それは当院の血圧計と20~30mmHg違うこともあり得るから。まずはご家庭で1週間ぐらい毎朝、毎晩測る習慣をつけ、慣れてもらうことが大切だと考えています。また、ご自宅から血圧計を持ってきてもらい、適切に測れるように指導させていただきます。
診療において心がけていることはありますか?

患者さんと対話をすることを大切にし、丁寧にわかりやすく説明することを心がけています。例えば、高血圧は、痛みやつらさなどの症状がない病気なので、生活改善や薬の服用がなかなか続かない方もいらっしゃるでしょう。まずは患者さん自身が「しっかり治療しよう」という気持ちになることが治療の第一歩ですので、「塩分を控えようね」「間食はなるべくやめようね」ということも含め、じっくり時間をかけてお話しします。また、高齢の方などは服薬管理が難しく、ご家族の協力も必要です。私自身も高血圧の薬を服用していますが、月1、2回ほど飲み忘れてしまうことも……。ですから、患者さんにも「私も薬を飲んでいるけど、時々忘れちゃうことがあるんだ。でも、なるべく忘れないようにしっかり飲み続けるから、一緒に頑張ろうね」と話して、なるべく安心してもらえるように、そして継続が大事だと思ってもらえるように心がけています。
聴診や触診など、基本的な診察を大切にしたい
通院が困難な方には訪問診療もしていると伺いました。

この地域でも高齢化は進んでおり、ずっと当院に通ってくださっていた方が、高齢などの理由により通院が難しくなった場合には訪問診療も行います。それ以外でも、地域の訪問看護ステーションやケアマネジャーから紹介されるケースもあります。基本的には、病状が安定している方を対象に、月1~2回訪問診療をします。病状が悪化したり、検査の結果、入院や病院での治療が必要と判断したりした場合には、連携している病院に紹介します。訪問診療においては、特に高齢の方が多いこともあり、ご家族やケアマネジャーさんと相談したり、近隣の病院、地域包括支援センター、訪問看護ステーションなどとも連携したりしながら診療を行います。
病気を早期発見するために大切にしていることはありますか?
診察ではなるべく、聴診器で心臓の音を聞いたり、症状がある部分に触れたりと、聴診や触診をするようにしています。それによって、「ちょっと心臓の音がおかしいね」とか、「おなかにこぶのようなふくらみがあるね」などと気づき、病気の早期発見につながることも考えられるからです。最近は、そういうふうにする医師が少ないと聞いたことがあるのですが、外から見ただけではわからない病気の兆候に、音を聞いたり、触れたりすることで気づくこともあると思うので、そういう「診察の基本」は大事にしたいと考えています。
今後取り組んでいきたいことと、読者へのメッセージをお願いします。

今は循環器内科の医師として大学病院に勤務している息子が、来年から当クリニックで一緒に働くことになる予定で、そのための準備を進めています。二診制になることで、診療をより充実させていけたらと考えています。私の願いとしては、とにかく地域の皆さんにずっと元気でいていただきたい。そのためにも健康診断を受けていただきたいと思っています。会社員の方などは会社の健康診断があると思いますが、自営業の方などは受けていない人も多いようです。できれば年に一度は健康診断を受け、何らかの異常がみられたら、症状がなくても、ぜひ一度ご相談ください。