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飛田 正俊 院長の独自取材記事

唐木田こどもクリニック

(多摩市/唐木田駅)

最終更新日:2019/10/25

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小田急多摩線・唐木田駅のそばにある「唐木田こどもクリニック」には、多摩市を中心に子どもの病気に悩む母親が相談に訪れる。飾らない自然体な語り口が印象的な飛田正俊院長は、医学博士で、日本小児科学会認定小児科専門医の資格を持ち、患者と密にコミュニケーションを図りながら、不安の払拭に努めている。症状の原因や治療の内容、今後の来院の目安などを詳しく伝えるほか、患者の家庭環境や母親の切迫感なども踏まえながらアドバイスする。近くの日本医科大学多摩永山病院に約30年勤め、そこで小児科部長も務めた。さまざまな症例を経験、幅広く診療できることが強みだ。「開業医はホームドクターであるべき」と話す飛田院長に、診療への思いや取り組みについて聞いた。
(取材日2017年8月1日/更新日2019年10月15日)

母親の不安感を少しでも担えるような存在でありたい

まずは、こちらのクリニックにどんな患者さんが来院されるかお聞かせください。

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当院は小田急線の終点である唐木田駅のそばにあり、周囲には住宅街が広がっているので、やはり多摩市内にお住まいの方が中心です。また、唐木田は町田市や八王子市からも近いので、電車や車を利用されて来院される方もいらっしゃいますね。患者さんの9割はお子さんで、乳幼児から30歳くらいまでがほとんど。また私は日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医資格も保有していて、当院でもアレルギー科を標榜しているので、たまに食物アレルギーなどでお困りのご高齢の方もいらっしゃいます。主訴としては風邪が最も多く、アトピー性皮膚炎や喘息、食物アレルギー、花粉症がメインですね。

開院してから10年がたちます。どんなクリニックをめざしてこられたのでしょうか。

患者さんと信頼関係を結ぶこと。言葉で言ってしまえばシンプルですが、最も大切なことだと思います。お子さんを連れて来られるお母さんには、医師からの説明が不十分で不安が残るからと方々の医療機関を渡り歩く「ドクターショッピング」に走ってしまう方も中にはいらっしゃいます。ですから、お母さんが理解しやすいよう、お子さんの状態や治療の内容、予想される経過などをよくご説明するようにしていますね。特に今後の来院の目安を伝えることが大切。「こんな状態なら再診は必要ない。でもこうであれば夜でも救急外来を受診して」といったことをお母さんが知っていないと判断に迷ってしまいますから。

よく説明して不安感を解消してあげることが大切なのですね。

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そうです。お子さんのお母さんやお父さんがどんな環境で育ってきたか、そして今はどんな環境にいるかを把握することも重要です。おじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでいるならお子さんを預けられるので少し余裕があるのかな、でもそうでなければお母さんはさぞ不安だろうな、一人で責任を過度に感じているかもしれないなと想像を巡らしながらアドバイスをするようにしています。お母さんが抱えている大きな不安感の一部でも担えるような存在でありたいんですね。お母さんが忙しいなど、場合によっては薬を少し多めに出していることも当院の特徴でしょうか。例えば喘息の場合に薬が切れると症状が再発してしまうことがありますが、その度に医療機関を受診するのは大変ですからね。

さまざまな患者が訪れる地域の基幹病院で症例を積む

特に注力している分野があればお聞かせください。

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小児科の医師は専門がどうこうではなく、総合診療ができる医師であるべきだというのが私の考えです。私は日本医科大学多摩永山病院に30年ほど勤務しましたが、地域の基幹病院だとそれはもう、さまざまなお子さんが来院されます。この間にたくさんの症例を積んで広い視野で子どもの病気を診られるようになったのは強みだと思っています。その中であえて挙げるとすれば食物アレルギーでしょうか。お母さん方はお子さんのことを心配するあまり、食べ物を過度に控えてしまう傾向があるのですが、本当にそうした対応が必要かどうかを改めて考え、食べ物の除去は必要最小限に留めるべきでしょう。

食べて慣らしていくというのがポイントなのですね。

ええ。それと、皮膚を治療していくことも食物アレルギーの治療を行う上では大切です。皮膚が荒れてバリア機能が弱まっていると、食べ物の抗原(アレルギー反応を起こす物質)が皮膚から侵入してしまって症状を悪化させたり、他の食べ物を食べたときにもアレルギー反応が出てしまうことがあるのです。医療的には「経皮感作(けいひかんさ)」といわれます。また、お子さんに卵や牛乳に対するアレルギーがあり、お母さんがそれらを食べたり飲んだりして授乳をすることでお子さんの症状が悪化してしまうと思っている人もいるのですが、多くは害を及ぼしません。むしろ母乳に抗原があったほうが良い可能性もあると考えられています。これらのことはまだ一般への理解が広まっていないので、よくご説明していますね。

先生ご自身のことについてお聞きします。なぜ医師を志されたのですか?

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父が医師だったことが大きいですね。私は鳥取県のシンボルである大山の麓の伯耆(ほうき)町で生まれ育ち、父は診療所を運営していました。田舎で医療機関の少ない町でしたから、何でも診ていましたね。往診もしていたんですが、冬には雪が積もる地域でしたから、患者さんのご家族が馬ぞりで父を迎えに来ることもありました。時代を感じさせますね。今とは違って患者さんからすれば医療アクセスが悪く、また医師からしても何かと大変な時代。時に文句を言うこともありましたが、それでも一生懸命に働いている父の姿に感化されたことは間違いありません。自宅が診療所に併設されてましたから、診療する姿も近くで見ていて、患者さんに信頼されていることも感じていました。

患者や家族を知る延長に診療はある

「何でも診ていた」お父さまの姿と総合診療を掲げる先生が重なるように感じました。

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そうかもしれないですね。昔の田舎の医者はホームドクターであり、総合診療を行う医師でした。私が大学にいたときは幅広く診つつもスペシャリティーを持たないといけないことに悩ましさを感じていましたが、都会ではその大切さが最近になってようやく言及されるようになりましたね。開業して実感したのはまさにこのことで、ホームドクターであり総合的な診療をできる医師が最も望ましいと思うんです。何でも相談できる医師が家族に一人いたほうがいいなと。子どもだけでなく親も診れて、例えば親の血圧の話もできる、祖父母のがんの相談も受けられる。そんな話を聞きながらかかりつけ医が適切な医療機関を紹介するなどいろいろな手配をしていく。患者さんが自ら医療機関を探すよりも結果的にかかりつけ医を起点にしたほうが効率もいいのではないでしょうか。

お忙しい日々をお過ごしかと思いますが、休日はどのようにリフレッシュしていますか?

たまにですが、妻、娘と国内を旅行していますね。自然が豊かな景勝地を訪れることが多いです。軽井沢、箱根、八ヶ岳、立山など。立山は圧巻でした。日本で標高が一番高いというホテルに泊まり、昇る朝日を拝むことができて感激しました。娘にリクエストされて翌年も行きました。あとは、電気街巡りですね。私はパソコンを自分で組み立てるので、あちこちパソコン部品を見て歩くのが好きなんです。

最後に、今後の展望やメッセージをお聞かせください。

開業医として最も大切なことは、いかに患者さんを、その家族を知るかだと思います。そのためにコミュニケーションをしっかりととることが重要。診療はその延長にあると言っても過言ではありません。その意味で、この8年間で患者さんとの関係を築けた手応えを感じています。今後、と言っても私はもう60歳を過ぎ、あと何十年も診療を続けられるわけではありませんが、体が健康である限りとは考えています。地域医療の観点では、患者さんのホームドクターをめざす若い医師が増えてほしいなと思いますね。40代くらいの医師が患者さんを幅広く診てあげられれば、患者さんやそのご家族はかかりつけ医を変えなくて済みますし、きっと安心すると思うんです。

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