武村 康 院長の独自取材記事
たけむら整形外科
(国分寺市/国分寺駅)
最終更新日:2025/02/03

国分寺駅から徒歩3分。バス通り沿いのクリニックビル3階と、通院しやすい場所にある「たけむら整形外科」。2006年の開院以来、長きにわたり地域医療に貢献し続けているクリニックだ。「地域の皆さんが今の健康状態を維持し、今している楽しい生活をこれからも続けていけるよう予防医療に力を入れています」と話すのは、院長の武村康先生。診療では患者が今どういう病態にあるのか、それに対してどういう治療をするのか、なぜ薬を飲む必要があるのかなどを、丁寧に説明し納得してもらうことを大切にしている。中学・高校・大学とラグビーをしていたという一面もあるエネルギッシュな武村先生に、クリニックの診療方針や今後の展望まで、じっくりと話を聞いた。
(取材日2016年4月22日/情報更新日2025年1月28日)
高齢者が現在の生活を維持できるよう、予防医療を重視
開院から約20年。地域の信頼を集めていますね。

開院を考えた時、広いリハビリテーション室が必要だったのでいろいろ探し、縁あってこの地に開院して20年近くになります。私は大学病院の医局に18年間勤めていましたので、開院当初はクリニックでも大学病院と同じ診療を提供しようと考えていました。実際、地域の開放型病棟の手術室を借りて患者さんの手術を行うこともしていましたが、16年たって、患者さんに合わせて当院の診療方針も変化してきました。
現在の診療方針は何ですか?
急性期の治療から、予防医療へとクリニックの方針が変わってきています。当院には高齢者を中心に、関節痛や骨粗しょう症などの患者さんが多く来院します。例えば骨粗しょう症の予防のため定期的に薬をもらいに通っている方は、転倒しても骨折することが少ない印象にあります。しかし、痛みが引いたからと通院をやめてしまった方は転倒して骨を折ってしまうということが多くあります。こういう事例を16年間診てきたので、現在では、骨折などをすることのないように予防医療を重視する診療方針としています。つまり、“高齢の方が、きちんと今の生活環境を維持し、生活範囲も維持していけるよう助ける”ことが重要だと考えているのです。
診療で大切にしていることは?

まず患者さんに、自分の痛みの原因を理解していただき、それに対して私がどういう治療をするのかを納得していただくことを大切にしています。患者さんはクリニックを受診する前にインターネットで調べたり周りの人に相談したりして、間違った情報をうのみにしているケースがよくあります。「放っておけばいい」という周りの人の言葉を信じて放置したために回復に時間がかかってしまうこともあります。初診では患者さんのそのような間違った認識についても、丁寧に説明していきます。薬嫌いの人に対しても内服の必要性をきちんと説明し、期待できる効果についてもお伝えしています。
医師と理学療法士が情報を共有し両面から患者を支える
リハビリでも定期的に診察を挟むそうですね。

リハビリで通院している患者さんにも、定期的に診察を促すようにしています。診察で患者さんから話を聞くうちに、「膝が痛くて通院していたけれど、実は最近、腰の調子も悪くて……」という訴えが出てくることもあります。こうして患者さんの声に耳を傾けることで、今、本当に患者さんが望んでいる治療を提供することができるのです。また、「痛かった膝が良くなって、調子に乗って歩きすぎてしまい、また痛みが出てきました」という患者さんもいます。せっかく治ったものが悪化したのではないかと心配しているのですが、それは悪化したのではなく良い兆候だとも考えられます。積極的に歩きすぎるほど回復につながっているということですから。痛みが出るのを怖がって歩かないようにすると、余計に歩けなくなるものです。こういう方にはきちんと説明して、「痛みが出たら治療をするので大丈夫ですよ」と、背中を押してあげるような話をします。
広々として明るいリハビリテーション室ですね。
理学療法士が常勤していますので、いつも質の高いリハビリを受けられるのが当院の特徴です。リハビリを受ける前に行う血圧測定器はもちろん、頸椎・腰椎けん引機、ウォーターベッド型マッサージ器、マイクロ波治療器、レーザー治療機など、リハビリテーションに必要な一通りの機械がそろっています。特にウォーターベッド型マッサージ器は、水に浮くやわらかい感覚で水圧刺激を行うので、高齢の患者さんや、脊椎を痛めた患者さんも利用できます。
理学療法士との連携が緊密だと伺いました。

患者さんのリハビリ室での様子をスタッフからよく聞くようにしています。患者さんは、医師の前では緊張して言えないことも、理学療法士や助手になら話しやすいという面もありますからね。治療に関しても、スタッフ全員で患者さん一人ひとりについてカンファレンスし、情報共有しています。当院では、整形外科医と理学療法士、さらに助手も含めた全員がディスカッションを繰り返し、一丸となって一人ひとりの患者さんを支える医療を実践するよう努めています。
体の不調は自己判断せず、専門家である医師に相談を
医師を志したきっかけと、整形外科を選んだ理由を聞かせてください。

医師を志した理由は単純です。子どもの頃に見た病院の先生が格好良くて憧れたのです。専門を選ぶ際にはいろいろと悩みました。がん治療を専門とすることも考えましたし、中学から大学までずっとラグビーをやっていてけがが身近だったので整形外科にも惹かれました。結局、整形外科を選んだのは、医局の先輩の一言からです。「がんはいつか薬で治せる時代が来るだろう。でも、けがは絶対に外科的処置をしなければ治らないものがずっと存在するよ」と、言われたのです。私は外科手術ができる科を希望していましたし、ここで腕を磨くことに決めました。
先生はとても多趣味だそうですね。
中学から始めたラグビーは今でも高校のOB会で年1回、試合をしていますし、草野球もやっています。医局の同級生とバンドを組んでいて、たまにライブ活動もしています。医師は医療関係者だけの狭い人間関係になりがちなので、意識してさまざまな人と知り合いふれあうようにしているのです。趣味は臨床の場でも生きてきます。例えば自分にスキーの経験があれば、スキーで骨折したという患者さんがどういう状態でけがをしたのか理解できます。ドラムをたたきすぎて腱鞘炎になった患者さんには、スティックの持ち方が間違っているのではないかとアドバイスすることもできます。医師が広い視野を持つことで、より的確な診療につなげていけるのです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

地域の患者さんが今している生活、今の健康状態を維持することで、これからも今と同じ楽しい生活を送っていけるよう手助けする、そんな予防医療を提供し続けていきたいと思います。医療技術は日進月歩です。自分もしっかり新しい知識や技術を吸収し、患者さんにフィードバックしていけるよう精進していきます。現代はあふれるほど情報の多い時代ですから、自分の気になる症状をネットで調べて自己判断し、不安に思いながら暮らしている方も多くいます。しかしそんなときには、思い悩むよりも専門家である医師に相談するのが一番です。早いうちに受診すれば、それだけ早く回復することが期待できます。ひざや腰が痛い、肩が痛い、またはけがをした場合などにはどんな小さなことでも気軽に相談してください。