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吉中 律 院長の独自取材記事

りつ小児歯科

(国分寺市/国分寺駅)

最終更新日:2023/04/03

吉中律院長 りつ小児歯科 main

国分寺駅から徒歩10分ほどの場所にある「りつ小児歯科」は、1999年の開業以来、地域の子どもたちの口腔内の健康を守り続けてきた。院長を務める吉中律先生は、鶴見大学歯学部在学中の実習時に見た小さな永久歯のエックス線写真に感動し、小児歯科を専門にしたという。治療時は、常に子どもに話しかけ、頑張って治療を受けた子どもには「えらかったね」と褒める一方、治療時に暴れて危ない場面などにははっきりと注意することを心がけているという。「治療は自立の手助けだと思うんです」と話す吉中院長に、その真意や診療時に心がけていること、子どもたちへの思いなど話を聞いた。

(取材日2023年2月22日)

歯科治療は子どもの自立の第一歩

小児歯科をご専門とされていますが、治療の際にはどのようなことに配慮されていますか?

吉中律院長 りつ小児歯科1

まず心がけているのは安全に短い時間で治療を終わらせるということ。その安全という意味で、以前から取り入れているのがラバーダムというゴムのマスクです。口元を覆って、患部だけが見えるようにするもので、お子さんが治療中にしゃべったり、顔を動かしたりしても、お水や薬液が患部に触れることのないよう防ぎます。唾液からも遮断されるので、清潔さを保ちながら詰め物を行えたり、機器が直接舌や唇に触れないため、機器の菌などへの感染や、お子さんのケガ防止にもつながり、安心して治療に臨めるでしょう。また、小さなお子さんや治療に協力的ではないお子さん、ハンディキャップがあるお子さんの場合には、保護者の方の承諾を得て、ネットなどの抑制具を用いて治療を進めます。

泣いてしまってなかなか治療を始められないお子さんもいるかと思いますが、どのように対応されていますか?

基本的に、診察室に入ってすぐに口を開けてもらって治療を始める、ということはしません。始める前に必ずワンクッションおいて、治療とは関係のない話をするようにしています。例えば、小学生だったら「今日は給食何だったの?」、もっと小さいお子さんなら「ここまでどうやって来たの?」というように。お子さんのことですから泣いてしまったり、上手に治療ができなかったりすることもあるでしょうが、「よく頑張ったね」と声をかけたり、治療の励みになるようご褒美を用意しています。診療室の横にご褒美コーナーを設けているのですが、用意する私のほうが楽しんでいるかもしれないですね(笑)。治療は怖くて不安かもしれないけれど、そこで頑張るのは大事なことで、頑張れば最後にはいいことがあるということを知ってほしいんです。

治療時は親御さんは待合室で待たれているですね。

吉中律院長 りつ小児歯科2

はい。親御さんが診療台のところにいると、どうしてもお子さんは気になって身を乗り出してしまうんですよね。本格的な治療に入ると、体を大きく動かすのはとても危険です。私は、「歯科治療は自立の手助け」だと考えているんです。お子さんは親御さんのもとを離れて私やスタッフたちと関わっていくことで、挨拶ができるようになったり、保護者以外の人間とのコミュニケーションを覚えていくわけです。親御さんもお子さんの様子が気になるとは思うのですが、そこはグッと堪えていただいて、お子さんが自立への小さな一歩を踏み出すのを応援してあげてほしいなと思います。そして、診療室へ送り出すときは「痛くないから」ではなく、「さあ、いってらっしゃい」と声をかけてあげてほしいし、終わった後は「頑張ったね」「えらかったね」と迎えてほしいんです。

頑張ったら言葉のご褒美をたくさんかけてあげてほしい

親御さんとの関係については、どのようにお考えでしょうか?

吉中律院長 りつ小児歯科3

お子さんはもちろん、親御さんとも心が通わないと絶対に良い治療はできないと思っています。なので、私から親御さんに歯科治療以外のことについてお話しすることもあります。子育てをしているとなかなかうまくいかないことも多いと思います。そんなとき、お子さんのことをよく観察してみてほしいです。その上でいろいろと試行錯誤してみることをお勧めします。試してみてうまくいったとき、わかってくれたときに子育ての楽しみがあるように思うんですよね。

子どもたちへの言葉かけで意識していることはありますか?

私は子どもたちに自分のことを「おばさん」と言うんですが、「おばさんは君に痛いことをしようとは思っていないけれど、痛くなるかもしれない。そうなってしまったらごめんね。でも痛くないようにするには君の協力も必要なんだよ」というように話すことを意識しています。また、「このぐらいは痛いかもしれない」と耳をつまんで示すなど、ごまかすことはしないようにしています。子どもでも、こちらが何かごまかしていればこの人は信用できないと思うはずです。泣いていても治療は行います。ただ、短時間で済ませ、そのあとの「楽しい時間」を長く作るようにしています。小さいお子さんであれば、スタッフが抱っこをして一緒にご褒美を選びたくさんお話しします。この時間を繰り返すことで、「歯医者、平気だよ」というふうになっていくと思うんです。

他にどのようなことを心がけていらっしゃるのでしょうか。

吉中律院長 りつ小児歯科4

もちろん褒めるばかりではなく、「ダメなことはダメ」とはっきり伝えたり、嫌がっているお子さんに「今日は何しに来たの?」と聞いたりすることも大切だと思っています。「痛いかもしれない。でも頑張ることは必要よ」と言いたいんです。治療に関しては、痛みが少ない麻酔、痛みに配慮した治療というのはこちらが当たり前に努力することだと思うので、患者さんに対しては、わかりやすい言葉で症状を説明し、何かマイナスなこと、例えば痛みなどを連想させるようなことはあまり言わないようにしています。それから診療中もよく話をします。黙って治療するということはなく、マスクをしていてもずっとしゃべっていますね(笑)。話をするにあたっては、患者さんの家庭環境も頭に入れておくようにしています。複雑な家庭事情のお子さんには「お母さんの作ってくれるご飯では何が好き?」と聞くより、給食の話のほうがいいというようなこともありますよね。

温かく子どもたちに接していらっしゃるんですね。

「先生」というふうに構えたくないんです。親戚のおばさん相手だと思って、何でも話してくれるといいなと思っています。子どもには子どもなりの悩みがあって、長いお付き合いの間には、こっそり私に話してくれることもあります。そういう存在であることがとてもうれしい。子どもを囲む環境の一つでありたいと思っています。

これからも子どもに対してうそのない治療を提供したい

小児の歯科医師になるべくしてなられたという印象ですが、何かきっかけはあったのでしょうか。

吉中律院長 りつ小児歯科5

1つには狭い範囲でいいから深く掘り下げる専門的な仕事の仕方をしたいという気持ちがありました。男性の先生のように体力はないので、あれもこれもというのは難しい。自分のできる範囲でと考えました。もう1つは学生時代の小児歯科の実習がとても楽しかったことも大きいですね。子どもの歯のエックス線写真を見たとき、乳歯の根元に永久歯がポコポコできかけているのを見て、なんてかわいいんだろうと感激しました。小児から思春期までは変化の大きい時期ですし、子どもが初めて出会う歯科医師になりたいと思ったんです。大人になって私のもとから離れていっても、「あの最初の歯医者さん面白かったな」と思い出してもらえればうれしいですよね。

感染症対策について教えてください。

検温や手指消毒はもちろんのこと、口腔外バキュームの導入や精度の高い空気清浄機を設置し感染症対策に努めています。治療前に歯磨きをするお子さんがいらっしゃる場合は、飛沫が部屋の中に飛び散らないように扉を閉めて換気扇を回した上で行ってもらいます。待合室のおもちゃは封鎖しているのですが、タイミングを見て少しずつ戻しても良いのかなと考えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

吉中律院長 りつ小児歯科6

当院は先進の機器をそろえているとか、独特の治療法を行っているというクリニックではないかもしれません。でも患者さんに恵まれて、ずっと小児歯科専門の歯科医師として、うそのない診療を愚直にやり続けてきました。開業して20年以上がたちますが、最近は第2世代というのでしょうか、かつての患者さんがお子さんを連れて来てくださるようになって、これも小児歯科医師として幸せなことだなと思っています。これからもお子さんやその親御さんと信頼関係を築きながら、自分なりの診療をしていきたいと思っています。何かお悩みがあれば気軽にお尋ねください。

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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