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齊藤 直人 院長の独自取材記事

武蔵村山さいとうクリニック

(武蔵村山市/玉川上水駅)

最終更新日:2024/08/30

齊藤直人院長 武蔵村山さいとうクリニック main

玉川上水駅から徒歩15分の住宅街で「すべての患者さんに対し、父であり、母であり、家族だと思って接する」を理念に、「何でも診る」診療を実践しているのが「武蔵村山さいとうクリニック」だ。齊藤直人院長は、父の死をきっかけに生まれ育った北多摩で地域医療に取り組むことを決心。以来、15年以上にわたり人々の健康を支えてきた。2008年の開業時は7人ほどだったというスタッフも現在は100人を超える大所帯となり、幾度かのリニューアルにより施設や設備も拡充し続けている。予約なしで内視鏡検査が受けられ、大腸の手術も症例によっては日帰りで行える。88台分の駐車場や無料の巡回車も用意するなど、誰でも通院しやすい体制を整えている。齊藤院長に同院のことや地域医療にかける思いを語ってもらった。

(取材日2024年5月14日)

何でも診る、何でも相談に乗れるジェネラリストに

まず初めにクリニックの紹介をお願いします。

齊藤直人院長 武蔵村山さいとうクリニック1

ひとことで言えば、何でも診るクリニックです。現在の医療は、医師は専門性を打ち出して、患者さんもそれを望んでいるようなところもありますが、僕はそれと逆の発想で、内科でも外科でもお産以外はすべて、何でも診ます、相談に乗りますというスタンスです。例えば眼科でも、自分で治療ができないとしても、普段からお付き合いのある先生に電話をして、「これから誰さんが行きますからよろしくお願いします」と、それだって診ることの一つなんです。僕は医師ですから、体のことは全部診ることができますし、患者さんが困っているのに医師が診られないなんて、あってはならないことだと考えています。もう一つが、ワンストップの医療です。診察から検査、治療まで、入院が必要な大きな手術は連携している病院に紹介しますが、基本的にはここで全部を当日中に、予約なしで行えるような環境を整えています。

先生の専門分野は何ですか?

何でも診るというスタンスなので、お答えするとしたら「専門がないことが専門」です。勤務医時代は消化器外科のスペシャリストをめざして、寝ても覚めても手術に対応する毎日を送ってきました。しかし、自分の中でどんな医師でありたいか、を見つめ直した時にあらゆる病気に対して診療を行う「ジェネラリスト」でありたいと考えるようになりました。当院では僕を含むほかの医師も全員がいわゆる総合診療を行う医師として患者さんに対応していますが、それぞれに整形外科や外科、消化器科、内科の経験があるので、チームでほとんどのことに適切に対応できるような体制になっています。

どのような患者さんが来院されていますか?

齊藤直人院長 武蔵村山さいとうクリニック2

ちょっとした切り傷から、風邪、妊娠中のつわり、がんの方など、小児科から内科、整形外科、とにかくいろいろな方がいらっしゃいます。多くの方が来てくれるのは、「何かのかたちで力になりたい」という気持ちが伝わっているからではないでしょうか。それと、僕がもともと消化器一般外科ということもあって、胃と大腸の内視鏡検査や、乳腺、鼠径ヘルニア診療も行っています。胃の検査は、経口と経鼻の両方を行っています。検査開始から終了までの時間は5~10分程度で、ご希望の方は苦痛を和らげるために鎮静剤を使用します。また、鼠径ヘルニアや内痔核、下肢静脈瘤、腫瘍やポリープの切除などの手術は、入院で何日も仕事や家事を休めない方でも受けられるように、局所麻酔による日帰り手術で行っています。

亡き父の導きでスペシャリストからジェネラリストへ

定期的なリニューアルもされてきたそうですね。

齊藤直人院長 武蔵村山さいとうクリニック3

さまざまな患者さんに還元したい思いから10周年を迎えるタイミングでは約1年がかりでリニューアルを行いました。64列マルチスライスCTや胃透視カメラ、DEXA法による骨密度測定機、眼底カメラなど、診断から治療までワンストップの医療ができる体制を整えました。その後、2023年9月にはMRI棟を新設し、院内でMRI検査にも対応できるようになりました。2024年5月にはリハビリスペースも大幅なリニューアルを行いました。従来から行っていた理学療法を強化し、理学療法士、柔道整復師による個別リハビリに注力をしています。今後に向けても構想していることはたくさんあるので、ますます進化していく姿を楽しみにしていただけたらと思います。

患者数も多く、診療は大変ではありませんか?

自分がやりたいからやっているだけで、それこそ仕事が趣味のようなものです。現在は、時間にシビアで感情的にドライな医師も多くなったといわれていますが、僕個人としては「医師にプライベートはない」と思っています。実際に大学でそういう教育を受け、医局に泊まり込みで診療や手術をする毎日だったので、今の生活は苦になりません。もともとの性分として常に挑戦し続けたいという思いもあるので、立ち止まりたくないんです。地域のために貢献するという責任感もありますし、「僕に任せておけ」という、それこそ頼れるドクターになりたいと思っています。こんな僕でも頼りにしてくれる人がたくさんいるというのは励みになりますし、とにかく医師をやっていること自体が楽しくて仕方ないですね。

開業のきっかけを教えてください。

齊藤直人院長 武蔵村山さいとうクリニック4

もともと人のためになる仕事がしたいという思いで医師になったのですが、消化器一般外科、特に肝臓外科を専門分野として勤務医をしていた時、父が肝細胞がんだということがわかったのです。すでに手術もできない状態で、2ヵ月後に亡くなりました。亡くなる前に父と「自分の父親一人助けられないのに何が肝臓の専門家だ、もっと世の中に求められることがあるんじゃないか」という話をしている中で「ここに戻って開業医をやってみたらどうか」という話が出ました。「自分は肝臓外科の医師である前に外科医師であり、それ以前に医師であると思い、これからはスペシャリストではなくジェネラリストとしてやっていこう」と決心。これは、父に導いてもらったのだと思っています。

武蔵村山市の看取りの体制も整えていきたい

総合格闘技のリングドクターも務めているそうですね。

齊藤直人院長 武蔵村山さいとうクリニック5

もう25年以上、総合格闘技の競技団体でリングドクターを務めているんです。当院の2階には、リハビリテーション室とトレーニングルームがあるのですが、リハビリテーションの助手や、平日に毎朝、地域の人が集まってストレッチなどを行う「朝活体操」のインストラクターとして、選手たちを採用するなどのサポートも行っています。そうすることで、例えば当院で応援している選手が試合で勝つと、職員だけでなく患者さんも大喜びしてくれますし、選手が勝ったからこっちも頑張りましょうって患者さんに話したり、みんなが元気をもらえる。彼らだけじゃなくて、患者さんや職員、みんなのプラスになります。これはワンチーム医療のクリニックとして良い取り組みなのではないかと自慢でもあります。

今後の展望を教えてください。

近い将来、クリニック内で看取りまで対応できるような有床診療所としての体制を整えていく予定です。武蔵村山市には、看取りまで対応してくれる医療施設が少なく、現在は救急車を呼ぶと、近隣の救急センターに運ばれてしまうこともあります。生涯を武蔵村山で過ごしてきたのに、死亡診断書には近隣の市が書かれてしまうんです。「もしものときには齊藤先生よろしく」と言ってくださる患者さんに対しては、どこにいても僕が脈をとって臨終まで診て、お別れをしてあげたいと思っています。武蔵村山の人が武蔵村山で旅立てるような環境を整え、最後まで僕に期待してくれる患者さんにそれ以上のことで応えたいと思っています。

最後にメッセージをお願いします。

齊藤直人院長 武蔵村山さいとうクリニック6

おかげさまで開院から15年以上が経過し、地域の患者さんに本当に支えていただいていると感じます。今後もさらに地域に根を張り、「もう一度来たい」と思っていただけるようなクリニックをめざし、地域へ貢献していきたいと考えています。そして僕は、ちょっとした体の不調から看取りまで全部支えるつもりで、命がけで、明日ここで死んでも良いという覚悟で取り組んでいます。ですから、何かあれば迷わず当院に来てほしいと思います。

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