萩原 晋二 院長の独自取材記事
はぎわらクリニック
(東久留米市/東久留米駅)
最終更新日:2026/04/28
「患者さんと真摯に向き合う医院」を掲げ、地域に根差した診療を提供する「はぎわらクリニック」。車いすの利用者も高齢者も安心して通えるようにと、待合室が広く取られ、至る所にバリアフリーが施されている。萩原晋二院長は、前院長である父が長年診療していた「東久留米団地診療所」を継承。腎臓病や糖尿病を中心とした専門的な診療に加え、幅広い内科疾患に対応できる総合的な診断力を駆使し、患者の悩みに耳を傾け続けている。「誰もが笑顔で通える医院が私の理想です」とほほ笑む萩原院長に、これまでの歩みについて聞いた。
(取材日2025年4月1日/情報更新日2026年4月13日)
腎臓病や糖尿病の専門知識と、総合的な診断力を駆使
医療の道を志されたきっかけを教えてください。

祖父と父が医師だったのが大きいですね。幼い頃、遊びに行く度に自宅で診察する祖父の姿を見て育ちました。常に患者さんに優しく、にこにこ応じていたのを今も覚えています。父は私が医師になってから一緒に働くようになったのですが、穏やかで真面目で患者さんとの会話を大切にする人です。そんな2人を見て、私も笑顔で誠実に患者さんと向き合おうと決意しました。私の診療の土台ができたのは国立国際医療研究センターでの研修医時代。感染症治療の最前線のような場所で内科、外科、救急科などさまざまな科を経験しました。留萌市立病院では、医療過疎地での診療も経験。少数の医師で幅広い診療を担い、地域医療の大切さや難しさを痛感しました。2011年からはメルボルンで糖尿病関連腎臓病に関わる分子の研究を。視野の広い世界中の研究者と過ごした日々は刺激的でした。帰国後は順天堂大学で助教や准教授として勤務。今は大学病院の外来も行っています。
診療内容を教えてください。
日本内科学会総合内科専門医として、腎臓病や糖尿病を軸に幅広い症状に応じてきました。地域の皆さんに新しい医療を早くお届けしたいという一心で、糖尿病による腎臓疾患の予防に向けた血糖コントロールも行っています。また、高血圧は心臓病などを招きやすいので、患者さんの病態や年齢に応じた治療をご提案してきました。一方で、自律神経の異常など、なかなか改善が見えない症状には漢方薬も使用します。病気をピンポイントで治療する西洋医学と、体が本来持つ自然治癒力を高めて正常な状態に近づける東洋医学。双方の視点でアプローチするのが当院の特徴です。予防医療にも力を入れており、健康診断、がん検診にも対応できます。交感神経の過活性が高血圧や心疾患の発症リスクを上げるため、睡眠時無呼吸症候群の治療も行っています。そのほか、肩凝りや腰痛、ひざ痛に対するトリガーポイント注射や、エイジングケアの相談も対応可能です。
診療で心がけていることは何ですか?

「患者さんと真摯に向き合う医院」であることです。まずはしっかりとお話を伺い、「患者さんが今何を感じ、何に困り、何を求めているのか」に気を配るよう心がけてきました。気持ちを理解しようと努めることで、自分の言葉や行動も自然と誠実で丁寧になると思うので、前向きな言葉を返すよう意識しています。また、触れる診察も重視しており、血圧や脈拍も看護師任せにせず自分で測ります。昔から「手当て」って言いますよね。実際に手を当てると、患者さんの不安も和らぐと思うんです。
腎臓病は自覚しにくいからこそ、サインを見逃さない
ご専門の腎臓内科の診療で重視していることは何ですか?

まずは検尿です。尿の中のたんぱくや赤血球をチェックすることは、腎臓病の早期発見につながります。例えば糸球体腎炎などは尿検査で見つかることが多く、早くに治療すれば寛解をめざすことも可能です。また、高齢になると尿たんぱくに異常がなくても動脈硬化によって腎機能が低下する方もいますのでその点も注視しています。腎臓病の最も怖いところは、自覚症状がほぼないということ。病気が進行すれば、末期腎不全による透析や腎移植のリスクも高まりますので、とにかく早期発見・治療が重要です。もう一つ大事なのは、腎機能の悪化に伴って心血管疾患のリスクも高まるということ。つまり腎機能の悪化が命の危険につながることを念頭に診療することが大切です。また、尿の異常の陰に泌尿器系のがんなどが隠れている可能性にも配慮しています。
どのタイミングで受診すれば良いのでしょう?
健診で尿潜血や尿たんぱくに異常がある場合はもちろんですが、血液をろ過して老廃物を排泄する能力を表すeGFRにも注目してください。これが60未満の場合は受診の目安です。ただ、ご高齢の方は加齢による腎機能の低下を考慮して45未満を基準にすると良いでしょう。eGFRは1年で0.7程度低下するのが一般的ですが、前年の検査結果から3以上、下がっている方は危険なサインです。また、超音波検査で、のう胞が見つかった場合は、悪性腫瘍や遺伝性のう胞疾患の可能性があるので受診をお勧めします。自覚症状が乏しいものの尿の色に違和感がある、むくみや食欲不振が見られる場合も一つの目安です。ほかにも、血圧が高い方、糖尿病の方は一度検査を受けましょう。特に糖尿病の方は、微量アルブミン尿が腎症の進行の指標になります。アルブミン尿が出ている方は先述の心血管疾患のリスクも高いので、しっかり治療する必要があります。
糖尿病内科で得意な治療はありますか?

糖尿病関連腎臓病の治療です。糖尿病の合併症として腎症を発症させないためには、何よりも血糖のコントロールが大切。だからこそ、できるだけ早期に適切な治療を始めるよう心がけています。経口薬が中心ですが、インスリンなどの注射薬が必要なケースでは、タイミングを見てスムーズに導入します。薬物療法に加えて、食事や運動など生活習慣のアドバイスも欠かしません。特にGLP-1受容体作動薬は、肥満や腎臓病、心筋梗塞、脳梗塞といった合併症を持つ糖尿病患者さんに有用な選択肢です。また、もともと糖尿病の薬として使われてきたSGLT-2阻害薬は、最近では慢性腎臓病や慢性心不全の治療に使えるようになってきましたので、当院でも積極的に取り入れています。さらに心臓や腎臓の線維化を抑える効果が望めるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)も必要に応じて使い、腎機能の温存をめざします。
一人ひとりの状況に合わせた医療提供で、患者を笑顔に
高血圧にはどんな治療をされますか?

年齢や体の状態に合わせたアプローチを心がけています。比較的若い方で塩分の取りすぎが血圧上昇の一因となる場合には、塩分を体の外へ出す働きのある利尿降圧薬を使うことがあります。また、血管を拡張して血圧を下げるためのカルシウム拮抗薬や、腎臓や心臓を守る効果が期待できるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)なども、状況に応じて選択肢に入れます。一方、高齢の方で動脈硬化が背景にある高血圧の場合は注意が必要です。血圧を下げすぎると血流の悪化から立ちくらみやめまいが起こりやすくなり、転倒や失神、腎機能の低下につながることも。そのため、俗に上の血圧といわれる収縮期血圧が110mmHgを下回らないよう慎重にコントロールします。こうした一人ひとりの体調や生活環境に応じたこまやかな管理は、当院の高血圧治療の特徴ですね。
今後の展望を教えてください。
地域密着の医院として、少しでも役に立てる医療を提供していきたいです。もちろん、エビデンスのしっかりした新しい治療や薬も積極的に取り入れていきます。ただし、高齢の方が多いこの地域では、経済的な負担を考慮した治療の選択も大切です。糖尿病や高血圧といった生活習慣病は長く付き合っていくものですから、無理なく続けられる治療が重要になります。最近は、尿中のマイクロRNAを使ってがんの早期検出をめざす研究が進められていて、私自身もその動向に注目しています。今後はエイジングケアや予防医療にも一層力を入れ、「病気じゃなくても通える医院」をめざしたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

私は日本内科学会総合内科専門医として、複数の疾患を抱える方や原因不明の症状に幅広く対応してきました。現在は胃腸内科が専門の父とともに、包括的な医療を提供しています。さらに腎臓病の新たな治療法に関する研究にも取り組んでおり、近年では筆頭著者として、マイクロRNAによる腎線維化の制御と治療の可能性について、国際医学雑誌に論文を発表しました。こうした知見も積極的に診療に生かしていきたいです。皆さんが安心して笑顔で過ごせるよう、スタッフ一同、心を込めてお迎えします。

