佐藤 むつみ 院長の独自取材記事
中山耳鼻咽喉科
(西東京市/ひばりヶ丘駅)
最終更新日:2025/03/21

愛情を内包した言葉は、どんな時も真っすぐ胸に響くものだ。「中山耳鼻咽喉科」の佐藤むつみ院長と向き合うと、時に厳しく、時にユーモアを交えて発せられる言葉の一つ一つに、相手を思うこまやかな心遣いがあることに気づく。そして、どう話せばわかりやすく真意が伝わるかを考え、相手の表情や理解度を推し量る優しさが伝わってくる。耳や鼻、喉、口の異変やめまいなどを感じるとすぐ相談に訪れる患者が多いのは、そうしたやりとりの積み重ねが「ここに来れば、必ず手を差し伸べてくれる」という佐藤院長への信頼につながっているからだろう。「正しい診断をし、的確な治療を行い、丁寧な説明をすることで、来て良かったと思ってもらえる診療をしたい」と笑顔で話す佐藤院長に話を聞いた。
(取材日2025年2月6日)
時代とともに変化する地域の主訴に、丁寧に対応
どんな患者さんが来院していますか。

生後数ヵ月の赤ちゃんから100歳に迫るご高齢の方まで幅広いですね。徒歩圏にお住まいの方が大半ですが、8台分の駐車場を備えていることもあり、東久留米市や練馬区、清瀬市、新座市などから車でいらっしゃる方も少なくありません。表通りから少し入った立地もあり、当院を知ったきっかけのほとんどはクチコミのようです。開業からしばらくは街の開発とともに転入者が増え、子育て中の若いお母さんが多くを占めていましたが、最近では少しずつ高齢化が進んでいる印象です。
もともとはお母さまが開業された診療所だそうですね。
1959年に母が開業した診療所を、2002年に私が継承しました。内視鏡をはじめ機器類は新しいものを導入していますが、建物は手入れをしながら当時のまま使っています。母が耳鼻科医、父は細菌学を研究する医師でしたので、自然と医師になっていました。東京女子医科大学に進学し、卒業後は東海大学の耳鼻咽喉科で耳や鼻、喉におけるさまざまな手術を経験しました。東海大学医学部付属東京病院では医長も務めました。その後、母の年齢と体調を考慮し、私自身も20年にわたって蓄積した知見を地域のために生かしたいと考え、当院を継いだという経緯です。
年齢層の変化とともに、主訴も変わってきているのでしょうか。

そうですね。聞き返すことが増えた、喉に違和感がある、よくむせるといった相談が増えてきました。喉の違和感にはファイバースコープ検査、むせやすい症状には嚥下機能検査を行うようにし、喉を鍛える方法もご説明しています。中でも目立つのが年齢とともに聴力が落ちる加齢性難聴。加齢性難聴に根本的な治療法はありませんが、早期に、かつ適切に補聴器を装用すれば生活の質を維持することが見込めます。当院では一人ひとりが難聴の程度や生活スタイルに合った補聴器を選択できるよう、補聴器認定技能者によるフィッティングが可能な補聴器の外来を開設しています。装用した時点では具合が良いと感じても、生活する中で聞き取りが変化していくこともあるため、一定期間の貸し出しも行っています。また、補聴器は医療費控除が適用となる場合があります。私は、そうした制度も含めて補聴器に関して専門的な知識がありますから、まずはご相談いただきたいですね。
補聴器に注力し、めまい診療の充実化をめざす
めまいについてもご相談できると伺いました。

めまいは、体のバランスを保つ機能に異常を来したことによって起こる症状です。意識障害や激しい頭痛などを伴う場合は緊急性の高い脳疾患などもありますが、日常的に繰り返されるめまいは耳に原因があることが多いんですよ。当院では、まずは丁寧にめまいが起きる詳細な状況を聞き取り、聴力検査など必要な検査をして原因を突き止めます。私の後輩でめまいに精通する医師2人が、非常勤ですが毎回一緒に診察できる体制にしております。検査の結果、脳やストレスに起因していることがわかればしかるべき医療機関を紹介し、耳鼻咽喉科の範囲であれば速やかに治療して早期回復につなげます。
アレルギー性鼻炎の診断・治療もお得意ですね。
アレルギー性鼻炎については特に症例数が多く、この病気の基礎研究で博士号も取得しました。治療法としては薬物療法やレーザー治療が挙げられますが、近年、注目されているのが根治をめざせる舌下免疫療法です。これは、舌の下に薬剤や錠剤を投与し、症状の原因となるアレルギー物質を少しずつ体に取り入れることでアレルギー症状の発生の抑制をめざす方法です。ダニアレルギーとスギ花粉を原因とする症状が適応で、2018年からは5歳以上の方に行えるようになりました。他のアレルギーについても研究が進んでいますから、早晩楽になる方が増えるといいなと願っています。
他に、最近気になる疾患はありますか。

睡眠時無呼吸症候群は、子どもから大人まで増加している印象です。お子さんの場合、上気道の狭窄などの治療管理をしながら観察します。原因によっては手術が望ましいこともあります。必要に応じて手術ができる医療機関を紹介することも可能ですので、睡眠によって日常生活に支障が出ている場合は速やかな受診をお勧めします。成人も同様に、睡眠時無呼吸症候群を放置すると慢性的な疲労感や日中の眠気の原因になり、生活習慣病を悪化させる可能性もありますから、「おかしいな」と思ったらすぐに受診していただきたいですね。CPAPという呼吸を補助する機械も良いものが出ています。ご家族のいびきがひどい場合も、ぜひご相談ください。
患者のためになることは、一歩踏み込んで伝えたい
日々の診療を通じてめざす診療所の姿を教えてください。

患者さんの訴えや不安を真摯に伺い、「ここに来て良かった」と思っていただける診療所でありたいと診療してまいりました。耳鼻咽喉科の病気の多くは一般の診療所で治療ができますが、専門的な検査や治療が必要な場合は迅速に適切な医療機関にご紹介をしています。
診療時に心がけていることもお聞かせいただきたいです。
当たり前のことを当たり前にする、ということでしょうか。面白みに欠けるかもしれませんけど、普通のことを普通に行うのって案外簡単ではないですよね。患者さんに納得していただくために、図表やイラスト、内視鏡検査の結果などをお見せしながらイメージを深めてもらっています。患者さんの表情が優れなければ、「何かわからないことがありますか」「行き違いがあれば遠慮なくおっしゃってくださいね」などとお声がけすることも。診療は人と人ですから、お互い率直に話せる雰囲気を作るようにしています。
ありがとうございました。最後に、読者へのメッセージを頂けますか。

医療情報が氾濫し、医療への不安が高まっていますが、病気に関するご質問はご遠慮なく仰ってください。またセカンドオピニオンにも応じておりますが、患者さんには信頼できる医療機関での受診をお勧めします。これからも正しい診断、的確な治療、丁寧な説明、思いやりのあるサービスをモットーに、地域の皆さま方に満足度の高い、充実した耳鼻咽喉科医療をご提供し、患者さんの不安を聞き取ることのできる姿勢を忘れずにいたいと思っています。医師として一歩踏み込んで伝えなければならないことは伝えていきたい。おせっかいかもしれないけれど、それがその方のためになると信じる限り、真摯に伝え続ける医師でありたいです。