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鈴木 啓介 院長の独自取材記事

鈴木歯科医院

(立川市/立川駅)

最終更新日:2021/10/12

鈴木啓介院長 鈴木歯科医院 main

立川駅すぐ近くの繁華街にある「鈴木歯科医院」は、昭和のはじめに開業以来、地元の健康を支えてきた老舗クリニックだ。現院長の鈴木啓介医師で3代目。先代の頃から通う患者も多い。鈴木院長には「医師には人間性が大切」という考えが根本にある。また、治療の上手な先生に好んで話を聞き、自分の治療に生かすことで患者に還元している。今回も「何事も患者さんのため」と口にしていたのが印象的だった。

(取材日2017年2月9日)

専門的な経験を積み、老舗医院を継ぐ

こちらのクリニックは先生で3代目だそうですね。

鈴木啓介院長 鈴木歯科医院1

はい。祖父が83年前に立川で歯科医院を開業して以来、ここで診療を続けています。最初はもう少し駅寄りの一軒家に診療所を構えていたのですが、立川駅前地区の再開発などもありまして、父の代にこのビルに建て替えをしました。当初は3階で開業していたところ、少々手狭になりまして、僕の代で現在の5階に。父も82歳になりますが、まだまだ現役で、午前中はここに来て診療を行っていますよ。僕が生まれる前から通ってくださっている患者さんも多くいらして、「あんなに小さかった子がこんなに大きくなって!」と言われることもあります。

こちらにいらっしゃるまでにどのようなご経験を?

東京歯科大学を卒業した後、慶應義塾大学医学部歯科口腔外科学教室に入り研修医として、麻酔科研修も含め2年間、専修医として4年間の経験を積み、関連病院に出向もしました。慶應大学病院の歯科口腔外科では6年間ですべての科を一通り学ぶのですが、その後は補綴を専門に。中でも顎補綴(がくほてつ)という治療を中心に行っていました。顎補綴とは、口腔がんなどの手術を行った患者さんの入れ歯を作る治療です。患者さんによっては上顎や下顎、舌や目の下にかけてまで広範囲にわたって切除を行うこともあり、耳鼻科や形成外科と連携をとりながら顎機能を再建します。そこで経験を積みながら勉強を続けつつ、もともとこのクリニックを継ぐつもりでいましたので、10年ほど前から徐々に手伝うようになり、正式に院長を継いでからは3年になります。

今でも大学病院に籍を置かれているのですか?

鈴木啓介院長 鈴木歯科医院2

はい。やはり自身で治療した患者さんについては予後を定期的に見ていかなくてはいけないと思っていますし、後進の指導なども行っています。また、慶應大学病院では歯周病学、補綴学、矯正を始め、オロフェイシャルペインという、歯だけでなく口腔や顔面の痛みを扱う専門の科や、舌の痛みなどを診る粘膜専門の医師がいるので、自身の患者さんのことを相談したり、いろいろとお話を聞くことができるので非常に勉強になります。もちろん、大学病院の先輩後輩にお手伝いに来てもらえることや、紹介先としてスムーズに連携が取れるというメリットもあります。このクリニックに来た患者さんで大がかりな手術が必要な方は、そちらに送ることもあるのですが、その後の入れ歯を僕が作るだけでなく、手術にも同席して詳細を確認させていただくこともありました。

「患者さんの立場に立って常に治療を」をモットーに

先生が考えるこのクリニックの強みとは?

鈴木啓介院長 鈴木歯科医院3

まだ大学病院にも在籍していますし、近隣に大学時代の先輩後輩がたくさんいまして、立川病院や、多摩総合医療センター、慶應大学病院、東京歯科大学病院などの大きな病院とも連携がスムーズに取れることですね。歯科に限らず友人に医師が多いので、内科などとのつながりもあり、場合によってはご紹介もできます。また、顎補綴は大学病院では見てもらうことができますが、クリニックレベルで診ることができる歯科医師はまだ少ないので、強みのひとつではあると思います。

診療の際にはどのようなことに気をつけていらっしゃいますか?

患者さんの主訴に対し、治すことを第一に、良い方向に持っていけるように。入れ歯や虫歯治療、歯周病治療などの一般的なものは一通り当院でできますし、これはちょっとここで治療するのは困難だと思うものに関しては、無理にここで頑張らず、近隣の病院をご紹介するようにしています。常に患者さんのための治療を、相手の立場に立って考えることを大切にしていますね。例えば、インプラントなどは定期的に予後を見ていかないといけないものです。それを、治療するだけしたら終わり、というのは無責任ですよね。高齢の方も多くいらっしゃるのですが、仮に70歳でインプラントを入れて、10年くらいたつとクリニックまで来られなくなってしまう可能性もある。そうなったときには、患者さんの要望に応じて訪問診療をしていく必要性も感じています。

高齢の方が多いとのことですが、特に気を配っていらっしゃることはありますか?

ここのクリニックは段差などもすべてなくし、車いすのまま診察台やトイレにも入れるように完全バリアフリーにしています。また、薬を飲んでいらっしゃる方も多いので、お薬手帳の確認を行うことはもちろん、担当の内科の先生などにお手紙を書いて、詳細を確認することもあります。最近だと骨粗しょう症の薬を飲まれている方が多いのですが、そういった方はそのままでは抜歯が困難なこともあります。無理に抜くと骨髄炎を起こしてしまう可能性もありますので、いったん休薬していただいてから治療を行います。対応の面でも気を配ってはいるのですが、以前からいらしている患者さんにお叱りをいただくこともあり、本当に日々反省と勉強の繰り返しです。

予防についてはどうお考えですか?

鈴木啓介院長 鈴木歯科医院4

口は消化器官の入り口なので、口腔内の環境は全身と密接に結びついているんです。消化器系の手術前に、まず口腔環境を改善してから行うことも多いんです。糖尿病が悪化すると口腔環境も悪化しますし、口腔内の細菌が心筋梗塞を引き起こすこともあります。そういう面でも、予防は大切ですし、歯科衛生士さんの力は重要だと考えていますね。幸い、この辺りにお住まいの方は非常に意識が高く、患者さんの半分ほどがケアでいらっしゃっています。

医師である前に人として人間性を高めていきたい

診察は先生お一人で担当されているのですか?

鈴木啓介院長 鈴木歯科医院5

父の時代は一人でなんでも行っていたのですが、僕が手伝いに来るようになってからは衛生士さんにも来ていただいています。当時からいる方はもう10年になりますね。ベテランなので、高齢の方は特に安心感があるようです。治療はほかに、大学病院の後輩の女性ドクターが週に3回手伝いに来てくれているのと、父は午前中だけの診療なのでほとんど長年見ている患者さんの対応です。それから、困難なインプラント治療や外科手術には立川病院の口腔外科のとても信頼できる先生に助けていただいています。口腔外科と補綴、それぞれの専門の医師が協力して、より良い治療が提供できるのが当院の強みとも言えます。

休日は何をされているのでしょうか?

子どもが2人いるのですが、まだ小さく手がかかるので、休日は可能なときは一緒に過ごしています。とはいえ、会計などの雑務や、患者さんの治療計画を立てたり準備をしたりと結局ここに来ているんです。子どもたちもここで遊ばせていますが、じっとしていてくれない年頃なので大変です。子どもたちにはここを継ぐことを強制するつもりはありませんが、いずれは人に貢献できる仕事についてくれればうれしいですね。本来は体を動かすことも好きですし、健康のことも考えて何かスポーツをしたりジムにでも行こうかと思ってはいるのですが、なかなか時間がなくて。今は治療が上手な先生に話を聞きに行くことが楽しく、それは患者さんにも還元できるので、趣味が仕事みたいになっています。

それでは、読者へのメッセージをお願いします。

鈴木啓介院長 鈴木歯科医院6

今来ていただいている患者さんには本当に感謝の言葉しかありません。この立川にまだほとんど歯科医師がいなかった時代から続けていますので、やはり、地域の方々にとって、あそこに行けばどうにかしてもらえる、と安心して来ていただける歯科医院でありたいと思っています。そのためにも、歯科医師会を通して検診なども行っていますので、予防やケアも大事にさせていただきたいですし、今後も学会や大学病院との連携を進めていきたいと思います。また、歯科医師である前に、人としての人間性を高めていきたいです。自分自身も病院にかかることがありますが、やはり人間性は大切だと感じています。世の中は支え合って生きていますから、その一つとして、患者さんのために相手のことを思いやれる治療を続けていきます。

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