伊東 秀記 院長の独自取材記事
立川皮膚科クリニック
(立川市/立川南駅)
最終更新日:2022/02/22

立川駅南口から徒歩約2分の医療モール3階にある「立川皮膚科クリニック」。皮膚科一般から美容皮膚科の診療まで幅広い領域に対応するクリニックだ。広々とした院内にはパウダールームも用意され、診察室とレーザー室、オペ室は完全個室。エキシマレーザーやパルスダイレーザーも早くから導入するなど充実した環境が印象的な同院。「皮膚科の領域で当院でカバーできないものはないと言っても過言ではない、それほどの自負があります」と語る院長の伊東秀記先生からは、その言葉の裏にある自身への厳しさと、大規模なクリニックならではの「自信」と「責任」の重さがうかがえる。診断がつかないことは許さない。原因は必ず追究する。伊東院長のアイデンティティーともいうべきこの徹底した姿勢の背景やクリニックの特徴などについて話を聞いた。
(取材日2022年1月25日)
病気を診るのではなく人を診ることが重要
皮膚科一般から美容に関する診療まで幅広く対応していると伺いました。

皮膚科の領域で、当院でカバーできないものはない。そう言っても過言ではないと自負しています。ただし、無理な治療は行わず、必要であれば適切な専門病院への紹介も行っています。当院は特に美容に特化しているわけではなく、じんましんの治療もすればがんの診断も行います。どの領域の診療か、保険診療か自由診療かといったことはそれほど大事なことではありません。病気を診るのではなく人を診ることが重要で、患者さんそれぞれに適した治療を提供することが大切だと考えています。
設備も充実していますね。
はい。中でも赤ら顔や赤あざなどの治療に有用な先進のパルスダイレーザーを導入しており、2021年には2台体制にしました。この装置を2台導入している施設は、全国でもほとんどないと思います。それに伴い当ビルの4階にフロアを拡張しましたので、予約が取りづらくなっていたのも解消できるのではないかと思います。また、白斑や乾癬、アトピー性皮膚炎などの治療に役立つエキシマレーザーを導入しています。国内ではエキシマライトが一般的で、導入しているクリニックはまだ少ないかと思います。さらには、大学病院などでも使用されている全身型紫外線治療器も導入しています。これは、尋常性乾癬や尋常性白斑、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などの治療で使用しますが、全身にあてることができるので1回あたりの治療時間が短くなり、少ない回数で高い成果を出すことをめざせます。治療に役立つと判断すれば、設備も積極的に導入しています。
開院までの経緯を教えていただけますか?

父が歯科医師だったこともあり、私も自然と医療の道をめざしていました。先祖は藩医で、今も親戚には医師や歯科医師が多いんですよ。婦人科の叔父に勧められ東京慈恵会医科大学に入学。卒業後は同大学附属病院の皮膚科にて研修を受けました。大学入学当初は外科志望でしたが、臨床実習の際に大きな転機が訪れました。当時は教授だった現・東京慈恵会医科大学医学部名誉教授の新村眞人先生の診察に衝撃を受け、進路を皮膚科に決めたのです。その後、新村教授の勧めもありアメリカのスタンフォード大学にも3年間留学しました。留学中に上司だったスタンフォード大学医学部部長のアン・アーヴィン教授からも、多くのことを学びました。尊敬できる医師との出会い、そして私自身も医師としての研鑽を積み、2008年にあらゆる皮膚疾患に対応できるクリニックをめざし開院しました。
恩師から受け継いだ徹底的に原因を追究する姿勢
印象的なエピソードなどはありますか?

新村教授は、臨床と研究、手術のすべてができる医師でした。学生時代の実習の時、皮膚がんが疑われる患者さんが他院からの紹介で来ました。足には悪性黒色腫(メラノーマ)というがんと思われる病変があったのですが、新村教授はそれを見ると「ブラックヒールだよ、これは」と言ってメスですぐに取ったのです。当時は今のようにダーマスコープという拡大鏡は一般的でなく、診断を下すには経験と見た目しか頼れるものがありませんでしたが、新村教授は患部を診て、わからなければ組織を見て、診断をつけることができる医師でした。「皮膚科の医師は職人でなければならない」とも話していました。大工や船大工は、一人で家や一艘の船を造れなければならないと。つまり自分の判断で研究から治療までできなければいけないということです。こうした新村教授の姿が自分の医師としての基本的な考えになっています。
診療におけるモットーを教えてください。
何の病気であるか必ず診断をつけることです。必要な検査をしっかりと行い、原因を突き止めます。これも新村教授とアン・アーヴィン教授から学び取ったものです。2人の共通点は「絶対に妥協を許さない」こと。医療へのその態度は、私自身の「必ず診断をつける」という姿勢につながっています。当院には常勤・非常勤合わせて多数の医師がおり、さまざまな角度から病態を診て、それでも原因がわからない場合は検討会を開き、わからない点をとことん追究するなど、お互いが協力しながら切磋琢磨しています。
医師として一番喜びを感じる瞬間は、どんなときでしょうか?

患者さんにとって、本当の助けになれた瞬間が私の喜びです。大学病院時代、患者さんから言われる「ありがとうございました」は「さようなら」と同じような意味でした。患者さんにとって医師が病気を治療するのは当たり前で、単なるコミュニケーションの一つの言葉だったのです。しかし、ある時に先輩のクリニックでヒアルロン酸注入によるしわのケアの様子を見せてもらったのですが、それを終えた後の患者さんの笑顔は忘れられないものでした。その時の笑顔は、私が美容皮膚科や自由診療を始めるきっかけにもなりました。心の底から「ありがとう」と言われた時の感動は、一度体験しないとわからないものでしょう。あのうれしそうな笑顔を考えると、日本の美容医療はまだまだだなと思います。それだけ患者さんを悩ませているのですから。今後も新しい施術法についてさらに勉強し、診療に役立てていきたいですね。
どんなに疲れていても最大限の診療を
皮膚科の分院のほか、心療内科や婦人科のクリニックも展開しているそうですね。

現在、皮膚科の分院を中野と武蔵小杉、戸田、新座、横浜のセンター南駅に。また、三鷹に心療内科、新宿に婦人科のクリニックも展開するなど、医療法人社団慈泰会として、見た目・心・体の悩みと包括的に女性をサポートできる体制を整えています。実は、皮膚疾患とメンタルヘルスにはとても深い関連があります。例えば、アトピー性皮膚炎や円形脱毛症を悪化させる要因の一つが心の問題です。当院にも皮膚だけではなく「元気がない」「眠れない」といった悩みも抱えた方が多くいらっしゃいます。また、女性の患者さんも多い当院では、ピルや婦人科に関する相談もよくあります。以前よりその割合があまりに多く、専門的に診る場所が必要だと感じていたので、女性の悩みに寄り添えるようにと新宿に婦人科のクリニックを開院したのです。
今後の展望をお聞かせください。
いくら自分が疲れていても、患者さんには自分の五感をフルに使って最大限の診察をすることでしょうか。どんなにつらくてもやれることはしっかりやる。逆にそれができなくなってしまうのだったら医師は引退しなければならないと思っています。私の座右の銘は「できないからやれないのではなく、やらないからできないのだ」。難しいと思われるケースにもしっかり向き合い、原因を追究して治療プランを立て、行動することが大切です。この姿勢は私だけでなくスタッフにも根づいており、待ち時間の短縮など患者さんの利便性を高める工夫に日々努めています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

今のお肌を維持できるようなケアをしながら、年を重ねてほしいですね。当院ではカウンセリングも実施しています。悩みに対してどのような治療やケアが考えられるのか、診療の流れも説明しながらアドバイスしますので、ぜひご利用ください。そして、当院には多くの患者さんが来院されていますが、「待っていられないから薬だけ処方してくれ」という方には、他院の利用をお勧めしています。なぜなら、薬だけでいいのなら私たちは必要なくなってしまうからです。診療を大事にしてくださるのであれば、私はその患者さんが笑顔になれるよう最大限尽力します。マイナスをゼロに、ゼロをプラスにして、心から笑顔になっていただけるよう努めていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのケア/1mm辺り3300円~