富田 修平 院長の独自取材記事
新小平クリニック
(小平市/新小平駅)
最終更新日:2026/06/15
新小平駅から徒歩2分の閑静な住宅街にあるのが、「新小平クリニック」だ。ごく普通の一軒家のような外観が印象的な同院。「日常の延長線上にあるクリニックにしたかった」と話す富田修平院長は、優しい笑顔が印象的なベテランドクターで、これまでの豊富な臨床経験や研究で得た知見を生かしながら、西洋医学のみでは治療が困難な場合には、漢方による東洋医学的なアプローチも併用している。かかりつけ医として「体と心を分けない医療」の実践をめざし、「患者さんが希望を持てるような診療を続けていきたいですね」と話す富田院長に、クリニックのコンセプトや診療スタンスについて聞いた。
(取材日2025年11月14日)
体と心を分けない医療の提供をめざす
医療機関っぽくない雰囲気が印象的ですね。

当クリニックの病院らしくない一軒家のような雰囲気は、私が子どもの頃に病弱で入退院を繰り返していたことと、病気は日常の延長線上にあることに由来します。入院が長期になることが多く、自分の家が本当に懐かしく感じられました。私のいう家は、皆の心の中にある安住の地としての家です。ですので、あえて肩肘を張らず、普通の何の変哲もない一軒家のような外観にしました。日常生活となるべく変わらない気持ちで受診していただきたいという気持ちを込めました。内装は簡素にし、光と風をなるべく遮らないよう工夫しました。明るく風通しの良い空間、それでいて日常の延長線上であることが実感できるようにしています。
どのような診療を行っているのですか?
当院のコンセプトは「体と心を分けない医療」です。要するに、一般的なガイドラインに基づいた西洋医学的な標準治療と心理学的なサポートなどの心のケア、そして私の専門の一つでもある漢方薬によって体質から整えるための治療の提供をめざしています。その基本的なスタンスの中で、風邪や腹痛、インフルエンザなどの感染症、高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病といった内科一般、皮膚科、心療内科、神経内科、アレルギー科まで、かかりつけ医として幅広く診療しています。たしかに、体の不調と心の不調をそれぞれ専門の医師に診てもらったほうが良いと考える方もいるかもしれません。しかし、体と心の問題は密接に関係しています。逆にいえば、体と心を分けずに診療するほうが、理にかなっているともいえると考えています。
漢方薬を積極的に取り入れているそうですね。

東洋医学的なアプローチをすることにより、西洋医学のみでは治療が困難な慢性化した症状や原因不明の症状の改善が期待できるようになります。漢方薬は本当にさまざまな症状に有用性が見込め、当院でも積極的に処方しています。その中には、例えば打撲の症状に処方する「治打撲一方」という漢方薬があります。この薬は西洋医学的なメカニズムも解明されていて、漢方的には活血剤といいますが、末梢血管の血流改善を促すことで内出血やうっ血の治療に役立ちます。また、近年では片頭痛に対する飲み薬や注射薬もありますが、それらであまり効果がない場合や、社会不安障害やあがり症の方に漢方薬を用いることもあります。さらに、検査で異常がないものの胃の痛みやもたれ、胸やけ、吐き気などの症状が出る機能性ディスペプシアにも、漢方薬で対応することがあります。
患者との信頼関係を大切に
ほかに力を入れていることはありますか?

高血圧症の治療に、アプリケーションの利用を開始しました。これは、アプリと医師の診療によって、患者さんだけでは難しい生活習慣の改善を支援し、高血圧症を治療するプログラムです。高血圧症の治療では生活習慣の是正が欠かせませんが、医師や管理栄養士が指導をしても、患者さんは講義を聞かされているように感じてしまい、あまり前向きに取り組めないものだと思います。しかし、このアプリは並走してくれるような感覚で、患者さん自身がこれを利用して自主的に生活習慣を改善するよう導くためのものです。それによって、運動の楽しみが加わったり、余暇の時間の使い方なども変わったりすれば、患者さんが新しい自分を発見してより良いステージに進むことも望めるように感じています。そういう意味でも、この治療には期待しています。
受診の負担軽減にも努めていると伺いました。
予約がある患者さんはもちろん、予約がなくても急な体調不良などでお困りの場合には、できる限り対応するようにしています。一方で、実際の診療が予約時間より大幅にずれてしまうことや、診療が終わるのが夜遅くなってしまうこともあります。そのため、ウェブ予約システムを導入すると同時にSNSと連携させて、自分の診察まであとどれくらいなのかを電話をかけていただければわかるようにするといった工夫をしています。また、電子処方箋の発行や電子マネーでの支払いなど、少しでも受診しやすい環境を整備することにも努めています。
診療の際に心がけていることはありますか?

患者さんとの信頼関係を確立することを大切にしています。こちらから一方的に話をしても信頼は得られませんから、しっかり時間を取ってお話を伺い、その方の立場に立って心情を理解するよう努めています。開業した当初は医師目線で話してしまい、患者さんの痛みをくんで差し上げられないこともあったように思います。しかし、当院を選んで通院してくださる患者さんによって私の人間性は育てられ、いろいろな方の心に寄り添えるようになってきました。それでもいまだ完全ではなく、もっと私がわかってあげられたら良かったと思うときもありますね。私の尊敬する先生が「患者さんから教えてもらっている」と言っていたのを覚えていますが、それはこういうことだったのかと今になって感じています。
患者が希望を持てるようなクリニックをめざしたい
ところで、先生はなぜ医師を志すようになったのですか?

病弱だったこともあり、人の痛みを和らげたいという思いが医師を志す原動力になりました。そして慶應大学医学部に進学し、卒業後は同大学の精神科に入局しました。精神科の医師として歩みながら、西洋医学的アプローチを発展させるだけではなく、精神科医療における東洋医学の役割についても常に考え、その両方の勉強に没頭してきました。実は父の仕事の関係で、私は小平市にある社宅で育ったんです。夜遅くまで社宅の倉庫の戸口にボールをぶつけては、跳ね返ってくるボールをキャッチして遊んでいました。乳酸菌飲料の宅配サービスを頼んでいて、毎朝、社宅のドアの前にそれが置かれていたのを折にふれて思い出しますね。
開業の理由を教えてください。
精神だけではなく体を診療する診療科も経験したいという思いに駆られ、慶應大学の内科に入局しました。オールラウンダーを育てる気風もあり、内科全般に関して研鑽を積むことができました。その2年後に血液内科に入局し、白血病や悪性リンパ腫の治療に携わると同時に、漢方医学講座でも基礎研究や臨床などの研鑽を重ねました。その後、市川市にある慶應大学の関連病院の血液内科に勤務するか、精神科の医局に戻って国立精神・神経医療研究センター病院などで研究や臨床に携わるかと打診されました。そのまま勤務医を続ければ、血液内科もしくは精神科の専門の医師として診療を続けることになります。しかし、開業すれば内科や皮膚科、心療内科・精神科、アレルギー科など、すべての領域を統合して診療することができるのではないかと気づいたのです。幸いにも若い頃に購入した家がありましたので、そこを改装して開業しようと決意しました。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

病気になって明るい気持ちになる方はいないと思いますが、暗い気持ちになるよりは明るい気持ちになったほうが良いと思います。また、精神的な問題を抱えている方も、過去のトラウマに対して対応が不十分な場合があるのではないかと考えています。そのようなときに、病気のことだけでなく、その病気に至るまで、あるいは至った後の心境も含めて、その人のすべてを理解すること。その上で一緒に治療を進めていくことが、患者さんに希望を与えるのではないかと思っています。現在の普通の家のような雰囲気を残しつつ、そういった希望が感じられるようなクリニックをコンセプトに改装を考えています。そしてもちろん、患者さんが希望を持てるような診療を続けていきたいですね。

