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松清 靖 院長の独自取材記事

松清医院

(小平市/花小金井駅)

最終更新日:2022/03/11

松清靖院長 松清医院 main

1983年開業の「松清医院」。2021年、新院長への継承のタイミングでリニューアルした院内は、以前の優しく家庭的な雰囲気はそのままに、機能的に生まれ変わった。長年にわたって花小金井の地で診療を続けてきた同院を新たにけん引するのは、父が築いた地域との信頼関係を守るべく、早くから継承を視野に入れて研鑽を積んできた松清靖院長。肝臓を専門として豊富な経験を持ちながら、その人柄は優しく穏やかで、一人ひとりと向き合う時間を大切にする診療方針が話しぶりからも伝わってくる。現在も週3回の診療を続ける前院長である松清平理事長とともに、消化器を中心とした内科全般を診るほか、自覚症状が乏しいために悪化を招くことがある肝臓疾患の診断と治療に注力。地域とともに歩む同院が、今新たな歴史を刻み始めている。

(取材日2022年3月3日)

肝臓の専門性が加わり、対応範囲が拡大

2021年に、お父さまから医院を継承されたそうですね。

松清靖院長 松清医院1

はい。継承に合わせて3ヵ月休診させていただき、院内を大幅にリニューアルしました。規模は変わりませんが、木を多く使ったり、待合室の天井を吹き抜けにしたりしたので、開放感が出たと思います。一方で、診療室は扉で区切って個室化し、患者さんのプライバシーを守れるようにしました。発熱など、感染症の疑いがある場合は、入り口脇の扉から隔離室に直接入っていただけます。新型コロナウイルス感染症流行に際して発熱者専用の外来を設けた際には、他の疾患で待合室にいらっしゃる方にも安心してお待ちいただけるこの隔離室が活躍しました。発熱者専用の外来をきっかけに当院を知り、「これから通うわね」と言ってくださる方もいて、認知拡大にもひと役買ってくれたようです。

理事長とはどのように役割を分担しているのですか。

父は循環器が専門で、普段は地域の方の日常的な病気や、生活習慣病などを中心に週に3回診療を担当しています。長く当院に通っている方の中には、父を「大先生」と慕う方も多いので、今も現役でいてくれるのはありがたいですね。私の方は、肝臓が専門で、当院でも非常勤として勤務しながら大学病院で診療をしていました。ですから、父と同様に広くさまざまな症状を診つつ、肝臓疾患の早期診断、早期治療に力を尽くしたいと思っています。もともと継承を視野に入れて学んできたこともあり、父とは良い信頼関係が築けているので、何かあれば相談し合って診療にあたっています。

継承はいつ頃から考えていたのですか?

松清靖院長 松清医院2

大学5年生の頃だったでしょうか、父にがんが見つかり、漠然と考えていた継承がにわかに現実味を帯びました。実は、肝臓を専門にしたのも、地域に根差した診療で多くの患者さんに愛されてきた当院の診療方針を維持したいと思ったからなんですよ。もともと他の診療科を志していたのですが、患者さんの日常的で広範な訴え、いわゆるコモンディジーズに対応できるよう、消化器にシフトして肝臓を専門にすることをめざしたのです。C型肝炎の減少とともに肝臓を専門とする医師は減っていますが、他にも多くの疾患があり、悪化すると全身に影響を及ぼすことも多い臓器です。最近は、お酒を飲まない方も発症する非アルコール性脂肪肝が注目されるなど、役割はむしろ増えていると感じます。脂肪肝とは、肝臓に脂肪がたまる疾患のこと。日本人の30%ほどは脂肪肝で、そのうち約10%が非アルコール性脂肪肝だといわれているので、誰にとっても他人事ではないですね。

健康診断の数値に異常が出たら、放置せず専門の医師へ

非アルコール性脂肪肝についてもう少し詳しく教えてください。

松清靖院長 松清医院3

脂肪肝には、お酒の飲みすぎによるアルコール性脂肪肝と、先ほどお話しした非アルコール性脂肪肝があります。肝臓の疾患というとアルコールとの関連性を考える方が多いと思いますが、非アルコール性脂肪肝はお酒をほとんど飲まない、一切飲まないという方でも肝臓に脂肪がたまり、やがて肝臓の疾患に発展するのが特徴。生活習慣との関わりが深いので、運動不足や不規則な食事を繰り返している方、肥満体型の方は注意していただきたいですね。脂肪肝を放置していると肝臓が硬くなり、やがて肝硬変、肝がんへと進行する場合があります。さらに、肝硬変になると肝臓がんのリスクが高まるほか、強いかゆみや腹水がたまったり足にむくみが出たりといったADL(日常生活動作)への影響が出やすくなるでしょう。肝臓疾患は総じて全身に影響を及ぼすことが多いので、早期発見・早期治療がとても大切です。

放置すると怖い臓器なのですね。悪化を防ぐにはどうすればいいのでしょう。

肝臓は沈黙の臓器とよくいわれるとおり、かなり進行するまでほとんど自覚症状がありません。ですから、ご自身の体調から肝臓のトラブルに気づくのは至難の業だといっていいでしょう。やはり、健康診断や人間ドックの結果で何らかの異常が見られたら、放置せずに専門の医師を受診していただくのが良いと思います。専門家のもとで一度詳しく調べてみて、それほど肝臓の数値が高くなく、C型肝炎、B型肝炎もない軽い脂肪肝と診断されれば少し生活に気を配るだけで済みます。「経過観察」といわれて不安なまま過ごすよりも、しっかり診てもらって食事や運動に気を使いながら過ごすほうが心の負担も軽いのではないでしょうか。特に脂肪肝はエコーで脂肪のたまり具合を見ればおおよその診断がつき、他の原因を除外するための血液検査を行えば診断ができます。当院では、診察室内にエコーを備え、問診で必要を感じればすぐにチェックできるようにしています。

症状が出にくいと、自己判断で治療を中断してしまう方もいそうですね。

松清靖院長 松清医院4

肝臓疾患は、残念ながら治療の途中離脱がよく見られる疾患です。離脱の原因にはいろいろありますが、生活する上ですぐには困らないので治療の必要性を実感しにくいこと、毎回「運動しましょう」「体重を落としましょう」と言われるのを負担に感じる方がいること、この2つが多いですね。医者に怒られるのが嫌だとか、なかなか痩せられないから責められているように感じるとかいった患者さんの気持ちもよくわかります。とはいえ、やはり放置はよくありません。治療継続に効果的なのは成功体験を得てもらうことなので、二人三脚で励ましながら治療を進めていきます。

「頑張ろう」ではなく「頑張ってるね」で治療に並走

先生はとても穏やかで、気持ちを伝えやすい気がします。

松清靖院長 松清医院5

私も若い頃は、自分が学んできたことや、トライして良い成果が出たやり方を患者さんに当てはめようとして失敗したことがあります。年齢と経験を重ねるにつれ、当然ながら患者さんは一人ひとり違う人間であり、それぞれの個性を踏まえた治療が必要であることを実感するようになりました。例えば、働き盛りの忙しい世代に「毎日運動しなさい」といっても、「そんな時間はない」と一蹴されてしまうでしょう。その方の置かれている状況をよく見て、アドバイスの仕方を変えることが大切だと思っています。それは、治療を離脱してしまった方に対しても同じです。もし離脱してしまっても、諦めないで戻ってきてほしいですね。治療に復帰してまた一緒に取り組んでいけたら、こんなにうれしいことはないです。

温かい診療方針ですね。他に、診療の際に心がけていることはありますか?

もし数値が改善していなくても怒らないこと、そして、「頑張ったね」と褒めることはあっても「頑張ろう」とは言わないことですね。頑張ろうと言われると、「まだ努力が足りない」と言われているようでプレッシャーを感じてしまう人も多いと思うんです。「数値が良くなっていないよ、頑張って」ではなく、「維持しているよ、頑張っているね」と声をかけることで、前向きに治療に取り組んでもらえたらと思います。また、初診でできるだけ丁寧に病気のことを説明し、予想される経過を含めて病気の知識を持っていただくことも意識しています。病識を持つことで主体的に治療に取り組める方は多いと思うので、これからも時間を取って患者さんと向き合っていきたいですね。

患者さんにメッセージをお願いします。

松清靖院長 松清医院6

肝臓疾患だけでなく、すべての疾患において、「自分がどんな病気なのか」を知ることはとても重要です。常に患者さん第一で、「病ではなく人を診る」診療をしてきた理事長の方針を受け継いで診療いたしますので、わからないこと、不安なことがあれば何でもご相談ください。小児から高齢者まで、花小金井の皆さんのホームドクターとして頼られる存在になれるよう、努力を続けてまいります。

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